「鳥類」に共通する特徴とは? 学術的な分類やそれぞれの種類もチェック【親子で学ぶ生物】

鳥類は非常に多くの種類がいて、空を飛ぶことなく地上で暮らしているものもいます。あらためてどのような生物かと聞かれると、簡単に説明できない人も多いのではないでしょうか。鳥類に共通する特徴や、分類の仕方などを紹介します。

「鳥類」とは何を指す?

ひと口に鳥といってもさまざまな種類がいるので、分け方が難しいと感じる人は多いはずです。鳥類とは、具体的にどのような生物を指すのでしょうか。一般的な分け方を紹介します。

鳥の仲間を示す総称

鳥類とは鳥の仲間のことで、空を飛び樹上で暮らすものもいれば、陸や海で暮らしているものもいます。一般的には、スズメ・ダチョウ・ペンギンなどをまとめて鳥類と呼んでいます。

現在、世界で確認されている種類は約1万種と、非常に多いことが特徴です。研究によって、新しい種や絶滅したと考えられていた種が発見されることも珍しくありません。

国内でも絶滅したと思われていた海鳥「オガサワラヒメミズナギドリ」の野生生体が、新しく発見されたことがあります。今後も絶滅したと思われていた種類が、実はどこかで生きていて、発見されることもあるかもしれません。

オガサワラヒメミズナギドリ(小笠原姫水薙鳥)学名:Puffinus bryani。Photo by Svtiste, Wikimedia Commons(PD)

分類学上では爬虫綱に含まれるという考えも

鳥の足には鱗があり、卵を生んで増えるなど、爬虫類と同じ点が見られます。爬虫類は「爬虫綱」に分類される生物で、爬虫類に含まれるものはトカゲ・ヘビ・ワニ・カメ・恐竜などです。

恐竜の一部が鳥に進化したとして、鳥類を爬虫綱の下位に分類するという考え方があります。鳥類は分類学上は鳥綱に分類されますが、近年では爬虫綱の中に含めたほうがよいのではないかという考えが有力です。

DNAの研究が進み、進化の過程がさらに明らかになれば、これまで定説となっていた分類法が変化する可能性は十分にあるでしょう。

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多くの鳥類に共通した特徴

鳥類と聞いて「羽が生えている」「空を飛べる」などのイメージを抱く人は少なくありません。鳥類には、さまざまな共通した特徴があります。どのような共通点があるのか見ていきましょう。

くちばしを持つ

鳥類にはくちばしがあり、ものを食べたり毛づくろいをしたりすることが特徴です。種類によってさまざまな形状のくちばしを持っているのは、住んでいる場所や食料事情によって、使いやすく変化させてきたからだと考えられます。

例えば、水中の魚を食べる鳥のくちばしは細長い形状です。肉食の猛禽類は、肉を食べやすくするために刃物のように鋭いくちばしを持ちます。

さらに、固い穀物や木の実などを食べやすいよう、ペンチのような太く短いくちばしを持つ種類もいます。

クロツラヘラサギ。ヘラ状のくちばしは、魚を挟んで捕食するのに適している

 

エトピリカ。体に比べて大きいくちばしは、多くの獲物(魚)を巣まで運ぶのに便利

卵生であり恒温動物

鳥類は爬虫類や魚類などとは異なり、体温を一定に保つ恒温動物です。全て卵から生まれ、体は寒さから身を守る羽毛で覆われています。体温を保つための羽は綿状で、ふわふわしていることが特徴です。

飛ぶために余計な重さを排除した体のつくりをしており、卵を生むのもメスの鳥が飛べなくなるのを防ぐためだとされています。体内で子どもを育てず、卵として排出することで体重を軽くしているのです。

ハトの巣と卵

前肢が翼になっている

鳥類は空を飛ぶために、前肢が翼状になっています。どのようにして飛ぶのかは諸説ありますが、翼を上下に動かして体を浮かせ空気の流れに乗って飛んでいます。

ただし、ダチョウやペンギンのように飛ばない種類もいるので、全ての鳥に当てはまるわけではありません。

体温を保つための羽とは違い、飛ぶための羽は板状でしっかりとした芯を持ち、力強く羽ばたくために胸の筋肉が発達しています。体を軽くするために、骨の中は空洞となっています。

空気を体内に取り込んで排出する「気嚢(きのう)」という袋を備えている点も特徴です。この袋は肺とつながっていて、呼吸を助けています。

鳥類は2つに大別される

鳥類は頭部や口蓋(こうがい)の骨格・関節などの特徴によって、古顎類(こがくるい)新顎類(しんがくるい)の2種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

古顎類

古顎類は頭部の骨格が連結され、口蓋に関節を持っていない鳥類を指します。一部を除いて飛べない種類が大半を占め、ダチョウやエミュー、キーウィなどは走鳥類とも呼ばれ、陸上を走って移動します。

古顎類は世界に100種類程度しかいません。主な生息地は、アフリカ・オーストラリア・南アメリカ・ニューギニア・ニュージーランドなどです。

古顎類の一種、エミュー。飛べない走鳥類に属する

新顎類

古顎類以外の鳥類は全て、新顎類に分けられます。上あごの可動性が高く、頭骨と口蓋骨が連結していないことが特徴です。上あごを柔軟に動かせるので噛む力が強く、さまざまなものを食べられます。

一般的に見かけるほとんどの鳥類が新顎類です。例えば、普段野外で見かけるスズメ・カモ・ハトなど、幅広い種類が当てはまります。

中でも、スズメ目は種類が多く、現生鳥類の半分以上が該当します。ウグイス・エナガ・カラス・シジュウカラ・セキレイ・ツグミなど、小型の鳥の多くがスズメの仲間です。

ツグミ(スズメ目ヒタキ科ツグミ属)

身近な鳥類を屋外で観察してみよう

鳥類は日本でも多くの種類が見られ、身近な野鳥を観察するとさまざまな発見があります。スズメやカラスなどの一年中見かける鳥も多いので、観察してみると楽しいでしょう。

観察する際は、何を食べているのか、どのように鳴くのかなど、ポイントを絞るのがおすすめです。見かけた鳥の種類や特徴、場所などの情報を記録しておくと、後から比較したいときに役立ちます。

鳥類の祖先に恐竜がいたと考えると、ロマンが感じられるはずです。鳥類と他の生物の違いや共通点などをチェックすることも、勉強になるでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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