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共働き世帯こそ、キャリアポートフォリオを描こう
夫婦で家事育児は当たり前。夫婦でキャリアのリスク分散も当たり前。夫婦のチームプレイに欠かせないのが、キャリアポートフォリオです。
キャリアポートフォリオとは
「ポートフォリオ」とは、直訳すると「紙ばさみ」や「折りかばん」「書類を運ぶケース」という意味がありますが、業界によって使われ方が異なります。みなさんが「ポートフォリオ」と聞いて、一番に思いつくのはクリエイターが面接などで持ち込む作品集ではないでしょうか。
また、金融業界では、保有の金融資産を「何をどの割合で持っているか」を表すものが「ポートフォリオ」と呼ばれています。
では、キャリアポートフォリオとは一体何でしょうか?
キャリアポートフォリオとは、本業のみならず副業なども掛け合わせ、キャリアのリスク分散を行いながら、最大リターンを求めたり、やりがいなどを追求しながら自分オリジナルのキャリアの組み合わせにすることです。
夫婦のキャリアポートフォリオの形は6タイプ
では、実際にどんな夫婦のキャリアポートフォリオの形があるか、具体例を出しながらご紹介します。各家庭によって状況は様々ですが、主に6つのタイプがあります。
保障たっぷりで安定感抜群<守り×守り>
① 堅実安定型夫婦
夫婦どちらかが会社員でメインの安定収入を得て、パートナーが家庭に重きを置きながら働く。
例:会社員総合職 × 会社員一般職(時短)
稼ぐ側と家庭を支える側という役割のメリハリがあり、子供にトラブルがあった時など、どちらが仕事を早退するかや、家事の分担で揉めることは少なくなるが、家庭を支える側がそれを納得してやっているかどうかが今後の夫婦関係の火種になる可能性がある。
② ハイキャリア型夫婦
夫婦共に、稼ぎ頭の会社員としてお互い仕事も家庭も上手く回しながら働く。
例:会社員総合職 × 会社員総合職
どちらも安定収入があり、今後のキャリア展望も明るいが、家庭とのバランスが難しくなる。子供にトラブルがあったときにどちらが迎えに行くかで揉めたり、家庭のオペレーションが綱渡りになる可能性が高い。子供が元気であること、近隣に祖父母が住んでいることなど、ある程度恵まれた条件が揃わないと実現ハードルが高い。
リスクとリターンのバランス感◎<攻め×守り>
③ハイブリッド型夫婦
夫婦どちらかがベースで会社員の安定的な収入もあり、パートナーが自営業(起業・フリーランス)で働く。
例:自営業(フリーランス)× 会社員総合職
夫婦どちらかが会社員でベースの収入を得ていて安定感があり、そのパートナーはフリーランスとして収入に波はあるが稼げるときは会社員以上に稼げる。また、フリーランスは会社員と比較して時間の自由度が高いので、子供のトラブルなどには柔軟に対応しやすい。収益と家庭のオペレーションのバランス感が◎。ただし、自営業側が女性だった場合、産休育休手当がないので、緩急つけながら働き続ける可能性がある。
④ 夢実現サポート型夫婦
夫婦どちらかが自営業(起業・フリーランス)で、パートナーが家庭に重きを置きながら働く。
例:自営業(起業)×会社員一般職(時短)
夫婦どちらかが会社員としてベースの収入があり、かつ家庭に重きを置く働き方なので、パートナーの自営業(起業)はチャレンジがしやすい。起業してから特に初めは“忙しいのに稼げない”時期があっても、会社員のパートナーに安定収入があり、かつ家庭もサポートしてもらえる。自営業(起業)がうまくいけば、収入も青天井。
自由度高めで人生謳歌<攻め×攻め>
⑤チャレンジャー型夫婦
夫婦どちらも自営業として、別々の事業で働く。
例:自営業(フリーランス)×自営業(フリーランス)
どちらも自営業として働くので、時間的自由度も高く、子供のトラブルが発生しても柔軟に対応でき、仕事との両立がしやすい。収入は会社員以上に高収入も望めるが、安定的ではないので、家計には波がある。しかし、夫婦で別事業をしているので、どちらかが傾いたとしてもリスク分散できる。場所を問わず働ける可能性が高いため、地方移住なども実現しやすい。
⑥ワンチーム型夫婦
夫婦どちらかが起業もしくは家業を継ぎ、パートナーがその事業を手伝う。
例:自営業(起業)×自営業(フリーランス)の場合
夫婦どちらかが起業にチャレンジしたり、家業を継いだりして、パートナーがその事業をその会社の社員、もしくは業務委託などで手伝う。事業に対して、夫婦の二馬力分を費やせるので、事業に注力できるというメリットがあるが、収入に波がある。家庭のことは、事業を手伝う側のパートナーが担うケースが多いので、家事育児の分担で揉めることは少ない。
働き方の選択肢が増えた今こそ、キャリアボートフォリオが必要
なぜ今、キャリアポートフォリオを描く必要があるのでしょうか。
政府も副業解禁を唱え、これからの時代は本業のみで定年まで働く方が珍しくなるかもしれません。コロナ禍でリモートワークも普及し、また実際に大手企業でも副業解禁を行ったり、週休3日制度の導入など、働き方の選択肢も増えてきました。日本でのフリーランス人口も年々増加しており、すでにアメリカでは全労働人口の3分の1がフリーランスとなっており、日本もその動きに追随すると見られています。
そんな昨今、自分自身でキャリアの全体像を俯瞰して、自分自身でバランスを見ながらキャリアの戦略を立てることが、より重要になってきます。そのためにキャリアポートフォリオを描く必要があります。
また、働き方もキャリアの選択肢も増えた分、唯一無二の自分のキャリアポートフォリオを描くのはとてもワクワクすることだと思います。
夫婦でキャリアポートフォリオを描いた方がよいワケ
キャリアポートフォリオは一人で描くことも重要ですが、夫婦で描くと令和を生き抜くより強固なキャリアポートフォリオになります。
共働き世帯が増えたので、家事育児も夫婦で行う家庭が多いと思います。キャリアの負荷、家庭の負担も夫婦で共有し、一つのチームとして共同戦線ができると強いです。また、お互いのキャリア展望を共有することで新たなシナジーが生まれる可能性もあります。夫婦のチームプレイに役立つのが「夫婦で描くキャリアポートフォリオ」になります。
夫婦間で重要なのは、お互いが納得していること
重要なのはお互いが納得してそうなったのか、流れでそうなってしまったのかで夫婦で揉める可能性が違ってくることです。お互いのキャリアの状況、働き方、収入、家事育児の分担、サポート体制など、すべて洗い出して夫婦にとってベストなポートフォリオを探していきましょう。
後編では『夫婦でキャリアポートフォリオを描くコツ』をお伝えします>>
後編はこちら
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記事を書いたのは…
株式会社LASSIC代表取締役CEO。主に法人向けにマーケティングPR支援事業と個人向けにキャリアデザイン事業を展開し、自身も国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得。大手広告代理店勤務を経て、33歳で起業。自身が不妊治療と仕事の両立で悩んだ経験や“キャリア迷子”を経て独立した経験から、ワーママや女性のキャリア支援に尽力。会社設立から3か月後、第一子出産。現在は3歳&0歳の娘の子育てと起業に奮闘中。
※写真はイメージです