自然薯(じねんじょ)は、 皮に含まれる栄養分が豊富ですから、皮ごと食べるのもおすすめです。また、一般的な長芋との違いについても、まとめました。調理法に違いはなく、口にするとその違いは歴然です。
山芋類の中でも特に貴重な自然薯。扱い方を確認しながら、自然薯ならではの、粘りの強さが楽しめるレシピをご覧ください。
自然薯レシピと食べ方
自然薯は生で食べることもできますし、焼いてもおいしい食材です。
生食なら、とろろにするのが最もポピュラーですね。短冊状にカットして酢しょうゆで食べても、シャキシャキした歯ごたえが楽しめます。焼きものなら、すりおろしてフワフワに焼いてもいいし、スライスしてそのまま焼いても、おいしいですよ。
ベーコンやソーセージとの相性も抜群。和風にも、洋風にも使えるので、アイデア次第で様々な料理に生かせます。
皮の下処理や、味付けを詳しくみながら、自然薯の扱い方について、確認しましょう。
とろろ
山芋類に含まれるレジスタントスターチ(難消化性デンプン)は、便秘改善、血中コレステロールの減少、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。これは、加熱すると減ってしまう栄養素なので、生食はおすすめです。
自然薯で作る、とろろの作り方をみていきましょう。白ご飯や、麦飯にかけて食べると、おいしいですよ。
・材料
自然薯 200g
大根おろし 自然薯と同量 (200cc)
かつお節 3g
青のり 小さじ2
麺つゆ(ストレートタイプ) 大さじ3
・作り方
【1】自然薯の皮は薄いため、すりおろせば食べることができます。その際、ひげ根が残ると口当たりの悪さが出るため、火で焼き切ってから用います。
方法は、コンロの火に自然薯の表面を当てるだけ。ひげ根がチリチリ燃えて、なくなります。
【2】ひげ根の処理が終わった自然薯を、そのままおろし器ですりおろします。あまりに皮が多いと、えぐみが出ますから、部分的に皮をむいて調節してください。
【2】すりおろした自然薯はすり鉢に移し、すりこ木でよくすります。これで、口当たりのなめらかさが出ます。すり鉢がない場合は、この工程はとばしてもOK。シャリシャリ感が残っていますが、問題はありません。
また、混ぜる際に力がいるので、この工程はミキサーなどの器具を利用するのも一案。
【3】大根おろし、かつお節、青のりを加えて再度すります。最後に麵つゆで味を整えてください。
・ポイント
出汁を加えてゆるめたい場合は、一度に加えると混ざりにくいため、少量ずつ3回に分けて加えます。出汁の量は、自然薯の2~3倍量を目安に。
焼きとろろ
すった自然薯をフライパンで焼いたり、ネギ焼き、お好み焼きに加えたりするのも、おすすめの調理法です。フワフワの食感を生かすこの方法は、ハンバーグやつくねにも応用できます。
・材料
自然薯 200g
卵 1個
しょうゆ 大さじ1/2
酒 大さじ2
かつお節 適量
青のり 適量
ポン酢 適量
・作り方
【1】自然薯の皮をむき、おろし金ですりおろします。最後まで、手で握る部分の皮を残しておくと、おろしやすいですよ。
【2】すりおろした自然薯に、卵としょうゆ、酒を加えます。よく混ぜて、なじませてください。
【3】フライパンを温めて、油をひきます。【2】の自然薯を流し込みます。
【4】中火で1〜2分焼き、焼き目を付けたらひっくり返してください。
【5】弱火にして5~6分ほどで加熱して、じっくりと中まで火をとおします。
【6】かつお節、青のりをふりかけ、ポン酢でお召し上がりください。
自然薯フライ
フライドポテトの応用で、自然薯のフライに仕上げます。ソーセージとにんにくを加えると、味の幅が広がります。
・材料
自然薯 200g
ソーセージ 10本
皮付きのにんにく 1玉
揚げ油 適量
塩 適量
・作り方
【1】自然薯は皮をよく洗い、食べやすい大きさにカットします。
【2】揚げ鍋に、自然薯とソーセージ、皮つきのにんにくを入れ、常温の油を注ぎます。量は、全体がヒタヒタになるまで。
【3】コンロに火をつけて、強火で加熱します。自然薯がカラッと揚がったら引き上げ、塩を振りかけてお召し上がりください。
自然薯とは
自然薯の特徴について、確認します。山芋類との違いは、どんな点にあるのでしょうか?
天然の自然薯
自然薯とは、もともと野山に自生していた植物でした。
天然物は非常に粘りが強くて味も抜群なことから、栽培を熱望されますが、収穫までにはなんと、3〜4年もかかります。また、全体にねじれたような形をしており、長さは1mを超すものもあるので、掘り起こすのは非常に難しいもの。手慣れた人が、丁寧に根気よく掘り起こして、やっと収穫できるのが自然薯なのです。
このことから、市場に出回ることはほとんどなく、立派なものは非常に高価。ごくわずかながら出回るので、見かけたときはチャンスですよ。
むかご
自然薯、または長芋の、茎に相当する部分が、養分を蓄えて小指の先ほどの球状になったものが、むかごです。
ご飯と一緒に炊いて、むかごご飯や、塩ゆで、素揚げにするとおいしい食材で、地方によっては「いもご」「いもしかご」「ばちかご」などと呼ばれることも。
山芋類の粘り
山芋には、自然薯、長芋の他にも、大和芋、つくね芋、いちょう芋などがあります。
これらを生のままスライスして口にするとシャキシャキしていますが、不思議なことに、すりおろすと初めてネバネバが生じます。山芋類に含まれる粘質物とは、すりおろすことで細胞外に飛び出し、ネバネバに変化するのが、その理由。
シャキシャキ感、ネバネバ感、それぞれ両方の食感を生かした調理法があるので、お好みに合わせて料理をお楽しみください。
重厚な食感がおいしい自然薯
非常に貴重で手に入りにくい自然薯ですが、長芋よりも強い粘りをもち、調理に用いるとその独特の食感を感じることができます。収穫は10月頃から始まり、お正月に向けて出荷が増えてきます。見かけた際は、ぜひ手に取ってみてくださいね。強いネバネバがもつ、重厚な食感を味わってください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)