山芋(ヤマイモ)の常温・冷蔵・冷凍保存のコツ。長芋との違いや、とろろの変色についても解説

加熱しても、生食でも、すりおろして「とろろ」にしても美味しい山芋(ヤマイモ)。意外に活用範囲の広い食材ですが、正しい保存方法を知らない方も多い様子。ここでは常温・冷蔵・冷凍のケース別、またすりおろした状態の保存方法等について確認していきます。
山芋と長芋の違いについてもチェックしておきましょう。

山芋の基礎知識

世界中にイモ類は数あれど、唯一、生食できるのが山芋(ヤマイモ)です。特徴は、でんぷんの分解を促す消化酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)を多く含むこと。そのパワフルな分解酵素のお陰で、生食しても胃にもたれず消化がよいというわけです。

栄養素としては、食物繊維やカリウム、ビタミンB1が豊富。滋養強壮効果でも知られていますので、これからの夏バテ予防にも最適です。

山芋は乾燥に弱い野菜

山芋は、「乾燥」だけでなく「光」や「水分」が弱点。特に使いかけの場合は、乾燥しやすく、光や水分にさらされがち。

また、酸化しやすく切り口から変色がはじまりますので、できるだけ空気に触れさせないことが大切です。ラップなどで包み、保存用袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

使いかけの山芋は、切り口をラップで密封して輪ゴムを留めると外れません。

山芋と長芋は違う?

山芋と長芋って違う芋のイメージは、ありませんか?

本来、自生種のジネンジョのみをヤマイモまたは、ヤマノイモと呼んでいました。現在では、中国原産で17世紀頃に日本に入ってきたナガイモやイチョウイモなどを含めてヤマイモとして販売。つまり、みんな仲間なんです!  分類学的な種の名前は、「ヤマノイモ」が正式名です。

長芋も山芋の一種です。

すりおろした山芋、変色しちゃっても食べられる?

山芋がすぐに変色してしまうのは、「ポリフェノールオキシダーゼ」という酵素が働き、酸化を促してしまうためです。この酵素は、ごぼうやバナナなどにも多く含まれる酵素なので、品質自体に問題はありません。

ただ、長く放置して黒く変色してしまったり、臭いに変化があるような時は、酵素の影響ではなく腐敗している可能性も。その場合は、食中毒の原因になりますので食べないこと。

山芋の保存方法

生食ができる分、繊細な山芋は保存方法が大切です。「常温」と「冷蔵」「冷凍」の場合の保存方法を、それぞれチェックしてみてくださいね。

山芋の常温保存方法

丸ごと保存する場合は、新聞紙などに包み、風通しのよい日陰に保存しておきましょう。室内の温度差が激しい場合は、常温は不向きです。

切らずに新聞紙に包み、風通しのよい冷暗所で保管しておきましょう。

 <h4>山芋をおがくずで保存する方法

もし、おがくずが入手できた場合は、山芋の保存に使ってみてください。おがくずは、湿気と乾燥から守ってくれるため、より長持ちさせることができます。段ボールなどにおがくずを入れたら、山芋におがくずをかぶせて冷暗所へ置いておくだけです。

 <h4>土付き長芋の保存方法

泥付きの長芋は、洗わずにそのまま保存するのが正解です。新聞紙に包んで冷暗所におくか、もしくは新聞紙に包んでからポリ袋などに入れて乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

山芋の冷蔵保存方法

新聞紙に包んだまま、冷蔵庫の野菜室へ。カットしたものは、切り口をラップでぴっちりと包んで保存用袋に入れます。

新聞紙で包んだ後、さらにポリ袋へ入れれば乾燥を防げます。

山芋の冷凍保存方法

山芋は、冷凍保存することもできます。形状を変えて冷凍しておくと料理に大活躍しますので、詳しい冷凍保存の仕方は、こちらの記事↓からチェックしてみてくださいね。

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山芋の保存期間

「常温」「冷蔵」で保存期間は異なりますので、こちらからチェックしてくださいね。

山芋を常温で保存したときの保存期間

丸ごと新聞紙で包み、冷暗所で保存した場合で約2週間ほど。

山芋を冷蔵で保存したときの保存期間

冷蔵庫の野菜室で丸ごと冷蔵保存した場合で約1ヶ月ほど。

※すりおろしやカットした状態では、1~2日程度。

*  *  *

山芋は、カリウムを多く含むため浮腫み予防にも効果的。ナトリウムの排泄を促し、高血圧予防にも期待できますので、夏場は特に活用の幅を広げるといい食材です。

食欲のない時には麦ご飯に冷たいとろろ汁も絶品。山芋は、加熱すると消化酵素の働きが弱くなるので、とろろ汁にする時は、だし汁が冷めてから入れるのがコツです。ぜひ、試してみてくださいね。

撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)
参考資料:日本食品成分表2019年(七訂)

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山芋を使ったおすすめレシピ

ここからはHugKum編集部セレクトの山芋活用レシピを2種ご紹介します。じょうずに保存した山芋を使って、毎日の食卓にお役立てください。

【1】ズッキーニのミニハンバーグ

お肉じゃなく、ズッキーニでつくるハンバーグ。山芋をつなぎに使いしっとり焼き上げます。

◆材料

(大人2人+子ども1人分)
ズッキーニ 2本(200g)

【A】
しいたけ(みじん切り) 3枚
くるみ(細かく砕く) 大さじ2
しょう油 小さじ2
コリアンダーパウダー※ 少々
塩 少々

【B】
パン粉 1/2カッップ
山芋のすりおろし 大さじ1
小麦粉 大さじ3

オリーブオイル 大さじ1
ケチャップ 適量
※コリアンダーパウダーのかわりにこしょう少々でも可。

◆作り方

【1】ズッキーニは2mmの輪切りにし(8枚)、残りはみじん切りにする。
【2】ズッキーニのみじん切りに【A】を入れて混ぜ合わせ、【B】を順に加えて混ぜ、全体をひとまとめにする。8等分して、円形を作る。
【3】フライパンにオリーブオイルを熱し、【2】と輪切りのズッキーニを並べ、弱~中火で両面をこんがり焼く。
【4】器にハンバーグを盛り付け、ズッキーニをのせてケチャップを添える。

◆ポイント

ズッキーニには、風邪の予防に効くβ-カロテンが豊富。
低カロリーでビタミン・ミネラルが豊富な夏の新定番食材。免疫力を高めるβ-カロテン、歯や骨を強くするカルシウム、むくみに効くカリウムなども豊富。

みじん切りでマイルドな味に!
野菜はみじん切りにすると、クセが和らぎ、メニューの幅が広がります。フードプロセッサーを使えば簡単ですが、なければ包丁で。

教えてくれたのは


カノウユミコさん

野菜料理研究家。鳥取県の専業農家に生まれ、生来の野菜好き。高校時代から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理・精進料理を研究。現在は鳥取に住み、自ら野菜を自然栽培。東京でも毎月、野菜料理教室を開催している。

『めばえ』2017年7月号

【2】マグロとろろ

マグロにとろろ+たれをかけるだけ。1分かからず絶品おかずが完成!

◆材料

(2~3人分)
マグロ(角切り) 200g
しょう油 小さじ1
とろろ(山芋のすりおろし) 80g
だししょう油だれ 1/2量
刻みのり 適量

◆作り方

【1】マグロにしょう油をまぶし、器に盛りつける。
【2】とろろにだししょう油だれを混ぜて【1】にかけ、のりをのせる。

◆ポイント

【だししょう油だれ】
だし 大さじ3
しょう油 大さじ1
みりん 大さじ1/2
※だしは、昆布やカツオ節から取るほか、市販の白だし・顆粒だしを使ってもOK。その場合は、表示どおりの濃度に薄めて使いましょう。みりんは耐熱容器に入れてラップをせず、電子レンジで約40秒加熱(600Wの場合)して沸騰させ、アルコール分を飛ばします。

教えてくれたのは


橋本加名子さん

料理研究家・栄養士・フードコーディネーター。料理教室「おいしいスプーン」主宰。働きながらの子育て経験を活かし、簡単でも〝手抜き〟ではないおいしい家庭料理を提案。雑誌や書籍、WEB発信のほか、企業のメニューコンサルティングなども行う。

『めばえ』2018年8月号

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構成/HugKum編集部

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