【医師監修】小学生の体重管理の仕方は? 成長期の健やかな発育をサポートするためにできること

小学生の時期は、身体がぐんぐん成長する大切な時期です。そんな小学生の体重は、どのくらいが適正なのでしょうか。この記事では、小学生の年齢ごとの平均体重や、肥満と痩せすぎを防ぐ方法、小学生の体重の管理方法について解説していきます。

小学生の体重と成長の基礎知識

まずは、小学生の成長にともなう体重の基礎知識を学びましょう。

成長曲線とは?

成長曲線とは、年齢別の身長と体重の標準が曲線で示されたグラフのことです。自分自身の年齢ごとの体重と身長を書き入れ、それぞれの曲線のカーブにそっているかどうかを見れば、成長の様子を視覚的に捉えることができます。

小学生の平均体重と身長

令和2年度に全国小学校で測定された、小学生の平均体重と平均身長を見てみましょう。

●小学生男子の平均体重と平均身長
6歳 22.0kg 117.5cm
7歳 24.9kg 123.5cm
8歳 28.4kg 129.1cm
9歳 32.0kg 134.5cm
10歳 35.9kg 140.1cm
11歳 40.4kg 146.6cm

●小学生女子の平均体重と平均身長
6歳 21.5kg 116.7cm
7歳 24.3kg 122.6cm
8歳 27.4kg 128.5cm
9歳 31.1kg 134.8cm
10歳 35.4kg 141.5cm
11歳 40.3kg 148.0cm

肥満度の計算方法

肥満度を知るための計算方法もあります。小中学生はローレル指数を使います。計算方法は次の通りです。

ローレル指数 = 体重(㎏) ÷ 身長(m)3×10

計算したローレル指数により、やせているのか、正常なのか、肥満なのかが判断できます。
100未満:やせ
100~115:やせぎみ
115~145:正常
145~160:肥満ぎみ
160以上:肥満

たとえば小学4年生の女の子で体重が30kg・身長が135cmの場合、ローレル指数は122となり、正常の範囲です。

健康的な体重範囲とその重要性

なぜ体重を把握していたほうがよいのか、その重要性について解説します。

なぜ体重範囲を知ることが大切なのか?

体重は、子どもの成長を示す証です。成長曲線のカーブから異常にそれていた場合、何らかの原因がある可能性があり、病気が隠されている場合があります。早期発見、早期治療につなげるためにも、体重範囲を知ることが重要です。

食事と運動:体重管理の二大要素

体重管理には、食事と運動が大切です。体重管理におけるそれぞれのポイントを解説しましょう。

栄養バランスの整った食事の重要性

栄養バランスの整った食事を摂ることは、小学生の身体づくりの基本です。バランスのよい食事が、身体づくりに役立ちます。子どもの成長や発達のために、栄養バランスの整った食事は重要なのです。

適度な運動が丈夫な身体をつくる

体重管理には、運動も欠かせない要素です。適度な運動をすることが、筋力や持久力の発達、基礎体力づくり、適正な体重維持につながります。

小学生の身体づくりに、運動は不可欠

子どもの肥満・低体重を防ぐ方法

ここでは、子どもの肥満と痩せすぎ、それぞれのサインと対処法について解説します。

肥満のサインと対処法

●肥満のサイン
子どもの肥満のサインには、次のようなものがあります。
・身長と体重のバランスが悪い
・ウエストのサイズが身長の半分以上ある
・早食いしてしまう
・あまり身体を動かしたがらない

●肥満のリスク
肥満になると、次のようなリスクがあります。
・肥満成人につながる
・高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病になりやすくなる
・呼吸器・循環器に負担がかかる
・運動能力の低下

●対処法
次に挙げる対処法を生活に摂り入れましょう。
・好き嫌いせず、バランスのよい食事を心がける
・運動量を増やす
・おやつの量と回数を決める
・ゆっくりよく噛んで食べる
・食べすぎを防ぐため食事をワンプレートにし、1回の食事量を制限する

低体重のサインと対処法

●痩せすぎのサイン
子どもの痩せすぎのサインには、次のようなものがあります。
・身長と体重のバランスが悪い
・食が細い
・偏食がある

●痩せすぎのリスク
痩せすぎだと、次のようなリスクがあります。
・骨の構造が弱いままに成長してしまう
・ホルモンや消化器系、心臓、肝臓、心の病気などが原因になっている可能性がある
・疲れやすく、病気になりやすくなる

●対処法
次に挙げる対処法を生活に摂り入れましょう。
・タンパク質や炭水化物をしっかり摂れる食事を心がける
・おやつの量・回数を増やす
・食べる量が少なくても、栄養バランスが偏らないようにする

専門家に相談するのも対処法のひとつ

太りすぎ、痩せすぎが気になるようなら、かかりつけの小児科を受診するのも対処法のひとつです。太っていることや痩せていることの原因が、病気の可能性もあるからです。

小児科では、病気の有無を診察してもらうことはもちろん、具体的な改善策をアドバイスしてもらえます。

家庭でできる体重管理のコツ

健やかな成長を維持するために

「食事」「運動」「生活習慣」の3つのコツをおさえて、体重管理につとめましょう。

栄養バランスが整った食事を心がける

栄養バランスが整った食事をすることが大切です。このとき、厚生労働省および農林水産省より発表された「食事バランスガイド」を活用すると、栄養バランスが取りやすくなります。

食事バランスガイドでは、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理グループに分け、1日分の量が示されています。これらに従って献立を作るとよいでしょう。

厚生労働省|「食事バランスガイド」について
農林水産省|「食事バランスガイド」について

簡単なアクティビティを毎日行う

簡単なアクティビティを毎日行って、体を動かす習慣をつけるようにしましょう。

たとえば、エレベーターを使わずに階段を使う、散歩する、運動系テレビゲームで体を動かす、ストレッチやダンスの動画を見て体を動かすなどです。

決まった時間に家族みんなでやるようにすると、習慣づけることができるでしょう。

規則正しい生活が健康な身体をつくる

規則正しく生活することも、体重管理には重要です。

ホルモンの分泌や生理的な活動が整いやすくするためにも、以下の生活習慣を心がけましょう。
・決まった時間に寝起きする
・朝ご飯はしっかり食べる
・1日3食食べる
・湯船に浸かる
・しっかり睡眠をとる

子どもの自尊心と体重のバランス

健康的な食生活は家族みんなの課題

最近では、過剰に体重を気にする子どもが増えてきています。子どもが体重を気にしているようなら、親がサポートしてあげましょう。

子どもとの対話

子どもと対話することは、子どもの健康づくりに有効です。対話をするときのポイントは、まずは子どもの話を聞くこと、そして身体に関するネガティブなことを言わないことです。

また親自身の身体についても、悪くいうのはやめましょう。その上で、体重管理においていっしょにできること、サポートできることを話し合うといいでしょう。

ポジティブな体重観を育む環境作り

体重のことをポジティブに話し合うためには、環境も大切です。親ができることのひとつに、悪い食習慣をやめ、子どものお手本となる行動をとることがあります。

たとえばだらだらと食事をしない、決められた量のおやつを食べるなどです。また人の見た目を批判したりせず、よいところを言い合う、多様性を認め合うのもよいでしょう。

体重管理をサポートしてあげましょう

子どもの成長には、個人差があります。また成長段階であるため、過剰に体重を気にすることはありません。ただし、極端な太りすぎ、あるいは痩せすぎがあるなら体重管理が必要です。必要があれば医療機関を受診する、日ごろの食事や生活の管理をするなど、親が体重管理のサポートをしてあげましょう。

あなたにはこちらもおすすめ

体重の変動から「女子のいじめ」がわかった!知っておきたい、発育に表れる「心の状態」【子どもの発育の専門家が解説】
成長曲線グラフの体重の変動からいじめが判明 身長は伸びていないのに体重の変動が激しかったA子さん このグラフは、ある東京都内の中高一...

記事監修

竹綱庸仁|医師
たけつな小児科クリニック 院長。2004年、愛知医科大学医学部卒業。同大学で臨床研修終了後、小児科に入局。2013年、奈良県内の病院で小児科の立ち上げに従事。2017年、たけつな小児科クリニックを奈良県生駒市に開設。「すべては子どもたちのために」をモットーに、一般的な疾患から、てんかんなどの神経疾患、食物アレルギーやぜんそく、日本でも数少ない小児頭痛を専門とするなど幅広い診療を行う。現在は病児保育室バンビを運営する他、言語発達遅延の子どもに言語訓練を行う児童発達支援施設「のびいく」を運営している。2023年5月に初の著書「行列のできる子ども健康相談室」を発刊。現在は「たけつな先生」として毎週月曜日の21時半からTikTokライブを通じて子どもたちの医療相談を行っている。
たけつな小児科クリニック
文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事