「インフレ」って何? デフレとあわせて、小学生にもわかりやすく解説【親子で経済用語を学ぶ】

「インフレ」は経済ニュースを通して、小学生でも見聞きする機会の多い言葉です。子どもから「インフレって何なの?」と聞かれるケースも十分考えられます。インフレの定義や生活に与える具体的な影響について、分かりやすく解説します。

「インフレ」って何のこと?

インフレとはそもそも、何のことなのでしょうか。対義語もあわせて言葉の意味を見ていきましょう。

物価上昇が続くこと

インフレは、「インフレーション」を略した言葉です。インフレーションは英語の「inflation」のことで、物価の上昇が続く状態を表しています。

物の値段が上がるのは、お金の価値が下がることを意味します。図のように、リンゴ1個の値段が100円から200円になった場合、お金の価値はそれまでの半分になったと考えてよいでしょう。

このような状態が継続することを、インフレと呼びます。

モノの値段が上がり、同じものを買うのにたくさんのお金が必要になる状態(右)=インフレ

逆の状態は「デフレ」

インフレとは逆に、物価が下がり、お金の価値が上がる状態が続くことを「デフレ」といいます。デフレは「デフレーション」の略で、英語の「deflation」が由来です。

デフレではお金の価値が上がるため、100円で1個しか買えなかったリンゴを、2個買えるようになることもあります。

モノの値段が下がり、同じものを買うのに以前より少ないお金ですむようになる状態がデフレ(右)

インフレと景気の関係

基本的にインフレは好景気のときに起こりやすく、デフレは不景気で起こりやすくなります。

景気がよいときは、物やサービスが売れるため、企業の収益が上がります。企業が儲かれば従業員の賃金が上がり、物やサービスはますます売れるでしょう。売れ行きが好調な商品は供給量が不足し、高くても売れるためにインフレとなります。

一方、不景気のときは、物やサービスが売れず、企業も思うような収益を得られません。従業員の賃金も上がらないため、人々は消費を控えるようになります。買う人が減れば、価格を下げてでも売ろうとすることになり、デフレが起こるのです。

景気がいいときのインフレ。物価は上昇するが、同時に賃金も上昇するので、経済活動が活発に

さまざまなインフレの種類

ひと口にインフレといっても、状況によってさまざまな種類に分けられます。「よいインフレ・悪いインフレ」とも呼ばれる、インフレの分類を見ていきましょう。

正常なインフレ

インフレは物価の上昇率が、年2~3%でゆるやかに推移する状態が正常とされています。前述の通り、インフレは基本的に景気の拡大と同時に起こります。

景気がよくなることで、賃金が上がって消費活動が盛んになり、物価も徐々に上がっていくのです。このように、物価と賃金の上昇のバランスが取れている状態が「よいインフレ」です。

よいインフレの下では企業の収益が増すため、従業員の賃金を上げるだけでなく、新規事業に参入するなどゆとりが生まれます。事業の拡大に伴って雇用も増えるため、社会全体がより豊かになることが期待できます。

悪いインフレ「スタグフレーション」

スタグフレーションは、景気の停滞を表す「スタグネーション(stagnation)」と、インフレーションを組み合わせた経済用語です。景気停滞で賃金は上がらないのに、物価だけが上がるため「悪いインフレ」とも呼ばれます。

スタグフレーションを引き起こす主な要因として、原材料費の高騰や輸入価格の上昇などが挙げられます。日本では過去に、「オイルショック」の影響でスタグフレーションが起こりました。

1970年代、産油国が多い中東で戦争が始まり、石油の供給制限や価格引き上げが行われます。そのため、石油を使用するプラスチック製品や紙製品などの生活必需品が品薄となり、物価が上がったのです。

物価は上昇するのに賃金は下落するスタグフレーションは、インフレとデフレのデメリットが同時に起こっている状態ともいえる

戦争や災害などで発生「ハイパーインフレ」

「ハイパーインフレ」とは、通常では考えられないほど急激に物価が上がっていく現象を指す言葉です。物価上昇率が前月に比べて50%以上、あるいは3年間で100%以上となることが目安とされています。

ハイパーインフレは、戦争や災害などで物資が極端に不足したときや、内戦などで政府の信用が失われ、通貨の価値が急落したときに起こりやすくなります。

戦争によってハイパーインフレが起きた例としては、第一次世界大戦後のドイツや、第二次世界大戦後の日本が有名です。またアフリカのジンバブエでは、2000年頃に政府が通貨を無闇に発行したために、インフレ率が2億3,000万%に達する事態となりました。

ハイパーインフレで発行されたジンバブエの紙幣。お金の価値が下がりすぎたたため、単位が100兆(ジンバブエ・ドル)と膨大であることに注目。Photo by Misodengaku, Wikimedia Commons

インフレと関連する経済用語

経済用語の中には、インフレやデフレにかかわるものが少なくありません。インフレとともに、押さえておきたい用語を紹介します。

「円高」と「円安」

「円高」や「円安」は、世界的な通貨とされる「ドル」に対する、日本の通貨「円」の価値を表す言葉です。円高はドルに比べて円の価値が上がっており、円安は下がっている状態です。

円安になると、外国から物を買うときにより多くの円が必要となるため、輸入品の価格が上がります。日本は食糧や資源の多くを輸入に頼っているので、円安がインフレにつながりやすいと考えてよいでしょう。

ただし、円高になればよいというわけでもありません。円高では外国から物を安く買える一方、輸出品の価格が上がります。そのため日本製品が海外で売れなくなり、輸出に頼る企業の収益が減少するのです。

また、外国人にとっては日本の物価が高く感じられ、訪日のハードルが上がって観光業に影響が及びます。

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「シュリンクフレーション」

「シュリンクフレーション」は、「縮小」を表す英語「shrink」と、インフレーションを合成した用語です。商品の価格は変わらないまま内容量が減る状態を指し、「ステルス値上げ」とも呼ばれています。

ステルスとは、敵のレーダーには映らない戦闘機のことです。まるでステルスのように、値上げの事実に気付きにくい様子が由来となっています。

ステルス値上げは、身近な食品でもよく起こっています。値段は変わらないのに、ある時期からお菓子の個数が少なくなったり、牛乳のパッケージが小さくなったりしたと感じた経験がある人も多いでしょう。

お金の価値が下がるインフレでは、同じ値段で買えるモノの量を減らす「ステルス値上げ」が実施されやすい

近年、日本では円安や原料費の高騰などが続き、生産コストは上がる一方です。しかしその割に賃金は上がらないので、企業は増えたコストを商品価格に上乗せしにくい状況となっています。ステルス値上げは、従来の価格を維持して、収益を上げるための苦肉の策といえるでしょう。

小学生から知っておきたいインフレの影響

インフレとは、継続的に物の値段が上がる状態を指します。物価の上昇は、小学生の日常にも無関係ではありません。100円で買えたお菓子が200円になってしまうと、今までの半分しか買ってもらえないかもしれないのです。

経済用語は難しく感じがちですが、身近な例を引き合いに出しながら親子で話し合ってみると、社会経済への関心が深まるでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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