日本の休日「国民の祝日」って何?
まずは「国民の祝日」がなぜあるのか、「国民の祝日に関する法律」について解説しながら見ていきましょう。
国民の祝日の基本 – 「国民の祝日に関する法律」とは?
「国民の祝日」は「国民の祝日に関する法律」によって定められています。この法律は昭和23年(1948年)7月5日に成立し、同年7月20日に交付・施行されました。
国民の祝日の意味は?
「国民の祝日に関する法律」には、以下のような意義があると記載されています。
自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
また、この法律によって祝日は休日とする、とされています。
祝日の数は16日。3つのタイプがある
2023年現在、祝日は1年間で16日あります。祝日には、以下の3つのタイプがあります。
・日にちが固定されているもの
(元日、建国記念日など)
・「○月の第○月曜日」のように毎年連休になるもの
(成人の日、海の日など)
・天文学上の暦から日にちが確定するもの
(春分の日、秋分の日)
こんなにある!祝日とそれぞれの意味
1年間で16日もある「国民の祝日」。ここでは、それぞれの意味を解説していきます。
元日(1月1日)
1年で最初の祝日です。「年のはじめを祝う」という意味があります。
成人の日(1月第2月曜日)
かつては1月15日と日付が固定されていましたが、平成12年から1月の第2月曜日に変更になった祝日です。
成人の日の意味は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」。
建国記念の日(2月11日)
昭和41年に設けられた祝日です。意味は「建国をしのび、国を愛する心を養う」。
天皇誕生日(2月23日)
天皇の誕生日を祝う日です。
春分の日(春分日)
昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。春分の日には「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という意味があります。
昭和の日(4月29日)
昭和時代には、昭和天皇誕生日だった日です。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」という意味があります。
憲法記念日(5月3日)
日本国憲法が施行された日。「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」という意味があります。
みどりの日(5月4日)
みどりの日は、平成元年に設けられた祝日です。この祝日には「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」という意味があります。
こどもの日(5月5日)
「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という意味がある祝日です。
海の日(7月の第3月曜日)
海の日は平成8年から施行された祝日です。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」という意味があります。
山の日(8月11日)
平成28年から設けられた祝日。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という意味があります。
敬老の日(9月の第3月曜日)
「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」という意味の祝日です。
秋分の日(秋分日)
秋分の日も、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」という意味があります。
スポーツの日(10月の第2月曜日)
かつて「体育の日」と呼ばれていた祝日です。「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」という意味があります。
文化の日(11月3日)
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という意味がある祝日。祝日法が制定される前までの11月3日は、明治天皇の誕生日ということから、祝日の「明治節」として休日とされていました。
勤労感謝の日(11月23日)
「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」という意味があります。
昔と今の祝日は違うの?
昔と今とでは祝日の呼び名が違っていたり、日にちが変わったり、新たな祝日ができたりしていることがあります。どうやって祝日が決まるのか、祝日が変わる理由などについて説明していきます。
祝日はどうやって決まった?
祝日を定める法律「祝日法」は、昭和23年に制定されました。そのときに選定された祝日は、元日、成人の日、春分の日、天皇誕生日、憲法記念日、子どもの日、秋分の日、文化の日、勤労感謝の日の9つでした。この祝日は、国会で検討され決められました。
上記の9つ以外の祝日も、国会で決められています。
祝日が変わる理由
かつては1月15日が「成人の日」、10月10日が「体育の日」というように、祝日の日は固定されていました。しかしこれらの祝日は、昨今では「第◯月曜日」などに変わっています。固定日だった祝日の日付が変わった大きな理由に、「ハッピーマンデー制度」があります。
「ハッピーマンデー制度」とは、従来の固定日から特定週の月曜日に移動させた法改正のことです。平成12年の成人の日に、はじめて適用されました。
ハッピーマンデー制度の趣旨は、月曜日を祝日とすることで、土・日・月曜日を3連休にして余暇を過ごしてもらおうということからだったといわれています。
祝日と日本の文化
祝日は、日本の文化や伝統と深く関わりがあります。どのような関わりがあるのか見ていきましょう。
祝日と日本の伝統
祝日に関連する食文化や風習があります。各祝日の伝統は次のとおりです。
●元日
初詣に出かける。おせちやお雑煮を食べる。
●成人の日
各地で成人式が行われる。
●建国記念日
神社などで建国祭が行われる場合もある。
●昭和の日
各地で昭和の時代を語り継ぐイベントなどが開催されている。
●春分の日・秋分の日
ご先祖さまのお墓参りをする。ぼたもち、おはぎを食べる。
●憲法記念日
各地で法律にまつわるイベントが開催されている。
●こどもの日
鯉のぼりを飾る。菖蒲湯に浸かる。柏餅、ちまきを食べる。
●文化の日
美術館、博物館が無料になることも。文化勲章の授賞式が行われる。
祝日を通じて学ぶ日本の歴史
祝日を通じて、日本の歴史や人物を知ることができます。
日本の歴史とつながる祝日は「建国記念日」「憲法記念日」「昭和の日」「文化の日」です。
「建国記念日」「憲法記念日」は、それぞれがはじまった日を記念して祝日となっています。
「昭和の日」は昭和天皇の誕生日でした。また「文化の日」もかつては明治天皇の誕生日で、祝日だったことから、今でも祝日となっています。また今生天皇の誕生日である2月23日も、祝日となっています。
これから新しい祝日は増えるの?
昨今、新しく祝日となったのが「山の日」です。山の日は、2020年に新たに設定されました。その背景には、海の日が長い歴史を持つ祝日になったことにより、山岳団体や自然保護関係者から「山の日も制定したい」という希望があったからだといわれています。
このように社会や文化の変化に応じて、今後も新しい祝日が設定される可能性は十分に考えられます。
祝日には、その意味を考えて過ごしてみませんか
「国民の祝日」は、よりよい社会、より豊かな生活をつくるために、国民みんなで祝い感謝する日です。それぞれの祝日の意味を考えながら、一日を過ごしてみるといいですね。
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文・構成/HugKum編集部