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壮大な楽曲が映画を彩る!寺田心「声変わり前の声をこの素敵な作品で形に残すことができて光栄」
公開に先駆け12月6日に東京オペラシティ コンサートホールで開催されたのが、“映画公開前に行われるのは邦画史上初”の、全編フル・オーケストラの生演奏で映画が上映された「ジャパン・シネマ・オーケストラ」。
上映後には声優を務めた寺田心さん、鈴木梨央さん、仲里依紗さん、イッセー尾形さん、百瀬義行監督、西村義明プロデューサー、主題歌を歌うア・グレイト・ビッグ・ワールドのイアン・アクセルさんが揃って登壇しました!
神奈川フィルハーモニー管弦楽団による極上のフル・オーケストラ演奏で本作を味わったラジャー役の寺田さんは、この日本作を観るのは3回目になるといい「毎回観る視点が違いますし、あくまで考察になるんですけど、3回目になると最後にかかる主題歌の『Nothing’s Impossible 』がラジャーとアマンダのお父さんがアマンダや皆さんに向けて言いたいこと、伝えたいことなのではないかと歌詞について考えさせられました。
僕も音楽を少し学んでいるので、(演奏の)すごさがすごく分かるというか、素晴らしかったです!」と感激しきり。「いろいろな方が何年もかけて作られた作品なので、この作品に僕自身が関われてとても嬉しく思いますし、僕の声変わり前の不安定な時期の作品で、その声をこの素敵な作品で形に残すことができて光栄です。素敵な体験でした」と感慨深い表情。
またアマンダ役を演じた鈴木さんは、「素敵な演奏とともに映画を観ることができて…なんだか涙があふれてきちゃうんですけど」とステージ上で思わず涙。「この作品に携わることができてとても幸せだなと改めて感じます」と胸の内を吐露。
イマジナリの町でラジャーが出会う少女のエミリを演じた仲さんは「今日も同じところで涙が止まらなくなって、ずっと『これメイク直さないまま登壇するんだよな』って考えていました(笑)」と告白。さらにイッセーさんは「最初からオケの音が聞こえてもう鳥肌が立って、泣きっぱなし」だったとも。
また、スタジオジブリで多岐にわたり活躍し、これまでの仕事人生のすべてを懸けて本作に挑んだという百瀬義行監督は「アニメーションは数秒のカットを仕上げるのに、3日〜1週間くらいかかるんですけど、今日みたいなコンサートはみんなと共有できるもの。今回こういう形で自分が携わった作品でライブ感を体験できたというのは、すごくいい体験でした」と感謝を述べました。
つづいて、西村プロデューサーも「本作がこれからどんどん共有されていくと思うと、とても嬉しい気持ち。実は本作は500人くらいのクリエイターたちが見えないところでがんばっていて、その中のスタッフが何名かこの会場に来ているので、ぜひ拍手をしてあげていただきたい」と紹介すると、観客からは盛大な拍手がおくられました。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の栗田指揮者は、「映画っていいですよね。音楽っていいですよね。そして『屋根裏のラジャー』最高ですよね!」と笑顔で語ると、「公開前にフルオーケストラコンサートでやるという初めての経験をとても嬉しく思っています。個人的に難しかったのは、屋根裏でアマンダが泣いているシーン。このシーンで(主題歌の)『Nothing’s Impossible 』がかかりますけど、僕も映画を観た時に泣きました。ラジャーとアマンドの約束で『泣かないこと』ってあるんですけど、僕も一回目で泣いちゃいました(笑)」と思わず述懐する場面も。
さらに、グラミー賞受賞アーティストであるア・グレイト・ビッグ・ワールドとレイチェル・プラッテンの奇跡のタッグで誕生したのが本作の主題歌「Nothing`s Impossible」。この日、緊急来日を果たした同メンバーのイアン・アクセルは、映画の鑑賞と演奏を終えて「もう夢が叶ったという感じ」だと語ると「細部に渡って顕微鏡を見るように作曲していましたが、数年後にこういう形で日本に来てこのようなステージに上がって演奏ができ、魔法のような瞬間で本当に嬉しく思っています」と嬉しそうな笑顔。
不可能はない、自分の愛しているものと離れても心の中の記憶はずっと残る
今回の主題歌オファーについて、西村プロデューサーは「僕が6~7年前にア・グレイト・ビッグ・ワールドの全米大ヒットソング「Say Something」に巡り会いました。当時もう100回くらい聞いていたとても好きな曲なんですけど、劇中での最後のラジャーのセリフがあのようなセリフなので、その時イアンの声を思い出して『あっイアンの声だったら、ラジャーの後に締めくくる声になるかもしれない』と彼にオファーしたんです」とその理由を告白。
イアンは今回のオファーについて、「どんなことを求めているのか伺い、台本を読んで僕も泣きました。僕自身も2人の息子がいるお父さんで、ちょうど息子とこんな話をしていたんです。『私たちは自分の愛しているものと離れても、心の中の記憶はずっと残っている。大事にしている人が亡くなってもずっと繋がりは残るし、時間を超えてずっとあり続ける』。この映画はそういったメッセージが込められていたと思います。
情熱プロジェクトという感じの作品だったので、そういう作品に関われて本当に光栄でした」と胸の内を明かしました。
また難航した本作の製作過程について、西村プロデューサーは「作品の制作期間が延びて公開を延期したのですが、当時は僕も現場もめちゃくちゃ大変で『この作品、もうできないんじゃないか』と混乱していた時に、2021年の年末くらいにイアンからデモ曲がきたんです。もう無理だとなっていたんですけど、それを聴いたら涙が出ちゃって…。『Nothing`s Impossible』って、映画ができないかもしれないのに『できるよできるよ』って言われていると(笑)。できないこともあるんだと感じましたが(笑)、ちゃんと完成しました。
この曲がなければラジャーは生まれていなかったかもしれないし、この声が最後映画を締めくくっているのが奇跡的です。イアンが僕たちの声に応えてくれたのがすごく嬉しいです」とイアンに感謝を述べる姿も。
実に6年ぶり!スタジオポノック待望の新作映画がついに公開
イギリスの詩人・作家の A.F. ハロルドによる「The Imaginary」(「ぼくが消えないうちに」 こだまともこ訳・ポプラ社刊)が原作となっている本作。悲しみを抱えた少女アマンダが生み出したイマジナリ=想像の友達であるラジャーを主人公に、現実と想像が交錯する世界で繰り広げられる大冒険がスタジオポノックの繊細で丁寧な描写とダイナミックな映像が融合した圧倒的アニメーションによって描かれます!
アマンダにしか見えないイマジナリのラジャー。しかしイマジナリには、人間に忘れられると消えてしまうという切ない運命がありました…。そしてある出来事をきっかけに、ラジャーは人間に忘れさられた想像たちが身を寄せ合って生き続ける“イマジナリの町”へと辿り着き、仲間のイマジナリたちと共に、ある目的のため想像を超える大冒険へと勇気をもって挑んでいきます。
オリジナリティ溢れる様々なキャラクターが登場する本作ですが、豪華な声優陣も見どころのひとつ!
主人公のラジャーを演じるのは、本作がアニメーション映画初参加とは思えないほどラジャーを魅力的に体現した寺田心さん。
また、少女アマンダの声を演じるのは数々の作品に出演する現在18歳の鈴木梨央さん。
そしてアマンダの母リジーを、同じく本作がアニメーション映画初参加となる安藤サクラさんが、さらにラジャーを付け狙う謎の男ミスター・バンティングをイッセー尾形さん、イマジナリの町でラジャーが出会う少女のエミリを仲里依紗さん、ラジャーの前に現れる怪しげな猫のジンザンを山田孝之さん、イマジナリの老犬を本作が声優初挑戦となる寺尾聰さんが演じるなど、実力派豪華俳優陣が生命力あふれるキャラクターたちに命を吹き込みます。
公開を記念して“ぬいぐるみお泊り会”も随時開催中!
また、先日12月9日には、映画の公開を記念して東京港区三田図書館でラジャーの仲間たちと“ぬいぐるみお泊り会”を実施。
“ぬいぐるみお泊り会”は、初めて聞いた方も多いのでは…?
子どもたちが本に興味を持つようにするための取り組みとして、アメリカの公共図書館で行な われるようになったこの企画。2010年に日本でも始まり、図書館を親しむ施策として全国各地の図書館で盛りあがりを見せています。
母と子、父と子、友達、仲間、物語のすみずみまで温かいメッセージが丁寧に詰め込まれた『屋根裏のラジャー』は、まるで1ページ1ページ大切に作られた絵本をめくるような体験で最大級のワクワクと感動にあふれています。
我が子との関係と思わず重ね合わせて、涙してしまうお母さんお父さんもきっと多いはず!ぜひこの冬、家族揃って大スクリーンで堪能していただきたい一作です。
映画『屋根裏のラジャー』は全国公開中!
キャスト:
寺田心 鈴木梨央
安藤サクラ
仲里依紗 杉咲花 山田孝之
高畑淳子 寺尾聰
イッセー尾形
監督:百瀬義行
プロデューサー:西村義明
(C) 2023 Ponoc
取材・文/富塚沙羅