3歳でひらがなが読めるのは普通のことですか?
現在3歳の子を育てています。周囲のお友達には、もう、ひらがなが読めるようになった子も居るようですが、うちの子はまだなので、少し焦っています。ひらがなは教えてあげて、そろそろ読めるようになったほうがいいのでしょうか?
文字を読めるより、聞く・話す土台を育てるのが先
「ひらがなはできるだけ早く教えたほうがいいですか?」
子どもの「ことばの力」が育っていくと、こんな疑問を抱く人も多いです。また、“ことばの遅れ”が気になる場合にひらがなを教えることでことばが伸びるのでは?と期待する親御さんもいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、ひらがなを早く読めるようになったからといって、ことばの力(言語能力)全体が高いというわけでは必ずしもありません。
文字を読む力もことばの力のひとつではありますが、語彙力や文を作る力、説明などの表現力などとは別の力として、考える必要があります。
言葉の土台は聞く・話すから
幼児期のことばの発達は、まずは聞くこと・話すことで育まれます。日常生活の「聞く」「話す」(生活言語)は、「ことばの力」という大きな建物の土台。土台がしっかり固まった上に、ことばを使って考える・表現する力(学習言語)を乗せることができます。なので、読み書きの力だけでなく、ことばの力を総合的に育んでいくことが大切です。
日本語のひらがなは、文字と音の対応が規則的であるなどの理由から、早くから読めるようになるお子さんも多いようです。「周囲では2歳、3歳からスラスラ読めているお友達も居るので焦ってしまいます」というお話しも聞きます。3歳の段階では、文字を書く振りだけを真似っこをしてみるお仕事ごっこや、読んでいる振りをする先生ごっこなど、遊びのなかで自然とひらがに興味を持つような活動を取り入れてみることからはじめてみましょう。
文字を早期から取り入れることで安心して過ごせる子も
また、ASD(自閉スペクトラム症)などで文字を手がかりにコミュニケーションを取ることや、文字を活用したスケジュール表で見通しを立ててあげることで安心する子もいます。
本人に大きな負担が無さそうであり、文字を早めに獲得することでコミュニケーションがより豊かに取れる、文字を日常生活に役立てることができるなど、むしろメリットが大きいようであれば、先取り学習であるかどうかにはこだわらず、どんどん文字を活用してください。
ひらがな学習の目安は小学校入学までに
「いつ頃にひらがなを読めるようになればいいですか?」と聞かれたら、「小学校入学までに、ひらがな五十音の文字と音が対応するのがめやすです」とお答えしています。「がぎぐげご」や「ばびぶべぼ」の濁点、「ぱぴぷぺぽ」の半濁点も読めるようになる子が多いです。
ただし、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」や「っ」、カタカナは、読めるようになるのが小学生になってからの子も多いです。それから、文字を書くことも幼児期にはまだ難しく、字の形が整うことまでを「書ける」に含めるならば、入学後に少しずつできるようになる子がほとんどです。
それから、小学1年生の前後で、ひらがなの読みの苦手が気になる、授業でカタカナや漢字学習が始まってから苦手を感じるようになった、などのお子さんのなかに、LD(限局性学習症)や発達性ディスレクシアが隠れていることがあります。
その場合にも、ひたすら書く練習を強制するなどの対応を取ると、なかなか成果が上がらず、学ぶこと自体への拒否感に繋がってしまうかもしれません。少し気になるな?と感じたら、LD支援や配慮の情報を集めつつ、まずは語彙力や説明力など「聞く」「話す」の力をコツコツ育むことから取り組みましょう。