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読み聞かせを切り上げたいのに、なかなかやめさせてもらえなくてキリがありません。
寝る前に読み聞かせをしていますが、冊数をきめても、「今日はここまで」と言っても、すんなり終わらせてくれません。寝る時間がおそくなるのでイライラしてしまい、気持ちよく読み聞かせを終われません。
(4歳女の子のママ)
読み聞かせを終わらせて、すっと気持ちを切り替えさせるライフハックとは?
読み聞かせを楽しんでくれるのはうれしいけれど、寝る時間が遅くなってしまうと朝起きられなくなりますし、生活リズムが崩れると、イライラしますよね。
こうした場合、読み聞かせの技というよりも、気持ちを切り替えさせる手段をいろいろと試してみましょう。
事前の見通しを立てる
「読み聞かせは3冊まで」など、冊数を決めているご家庭も多いと思いますが、もう少し具体的に、どの絵本をどの順番で読むか「読み聞かせセットリスト」を発表しておきましょう。
子どもたちが「あと何分」「あと何冊」という抽象的な概念を把握するのは、だいぶ大きくなるまで難しいものがあります。そんなときは、「事前の見通しを伝えておく」ことが大事です。登園やお出かけ前の行き渋り対策にも、今日の予定の見通しを子どもに伝えておくことって有効ですよね。そのような感じで
「今日は〇冊の絵本を、この順番で読んでいって、〇〇時にはおやすみだよー」
などと、流れを具体的イメージで伝えておきましょう。
ですが……そんな程度では、テンションが上がった子どもはまーだまーだ納得なんかしてくれない! それもあるあるですよね。
ですので、そんな状態を想定して、さらに段階を追って対策していきましょう!
「アンコールは1冊まで」をルール化しよう。
かたくなに、「もう読めない、ダメ!」と強行突破してしまうと、お互いイヤーな気持ちで一日が終わってしまいますよね。ですので、ライブと同じく「1冊はいいよ」とアンコール絵本を用意しましょう。
このアンコール絵本は、繰り返し読んで大好きなものなど何でもよいのですが、できれば、アンコールから引きずらないために「ちょい足しで読める本」を選んでおくとよいでしょう。
しっかりした絵本を1冊追加で読むのも、寝る間際はけっこうきついですよね。ですので、あんまり長くなく、「はいここまでよ」と切り上げやすい、ほんのちょっと足して読めるような本が最適です。
例えば、
『こどもに聞かせる一日一話』(福音館書店母の友編集部・編 福音館書店)
短い童話が30話掲載されている楽しい読み物の本です。子ども達が親しんできた「ぐりとぐら」や「だるまちゃん」たちの、これまで単行本化されていない秘蔵の楽しいお話が詰まっています。「一日一話」形式で読み聞かせられるので、「はい、今日のお話はここまで」とすっきり終わらせることができますよ。
『頭がよくなる! 寝るまえ1分おんどく366日』(加藤俊徳・監修 西東社)
そしてそれでも、「まだ大人しく寝てくれなさそう……」という場合は、こんな方法でたたみかけてはいかがでしょうか?
アンコール絵本を使って入眠儀式
アンコール絵本から、すっと眠りに入れるよう、「入眠儀式」につながる絵本を選んでみましょう。
おやすみ前には「明かりを消す」「ふとんにはいる」などという作業がありますよね。そんな流れに持ち込めるよう、こんな絵本があります。
『おふとんかけたら』(かがくいひろし ブロンズ新社)
「だるまさん」シリーズで有名な、かがくいひろしさんの、ゆったりふんわり赤ちゃん絵本です。ニョロニョロのたこさんにおふとんをかけたら「くーるくる」と丸まってしまったりソフトクリームさんにおふとんをかけたら「とーろとろ」ととろけてしまったり、いろんな寝相がとっても気持ちよさそうで、最後に「さあ、おふとんかけてあげるね」と入眠につなげられますよ。
『あかりをけして』(アーサー・ガイサート・作 久美沙織・訳 BL出版)
こちらは、まさにおやすみ前に「あかりをけす」流れを追っていった絵本です。とはいっても、明かりを消すまでが家中を使ったピタゴラスイッチ状態なんです! 明かりのスイッチにつながるひもが一体どうやってつながっているのか、ハラハラしながら画面を追って楽しめ、とっても満足感が高いですよ。ありがたいことに、最初の画面以外は文章がない絵本なので、親としては合いの手を入れるぐらいでOK。そして最後、絵本の明かりが消えるタイミングで、「おやすみなさい」とパチンと消せば、しずかーに入眠に入れます。
読み聞かせ時間を変えるのもあり
そもそも論としまして、寝る直前に読み聞かせをして優しく「おやすみなさい」につながればよいのですが、「もっともっと」状態になると、寝る時間もずれちゃって、パパママもイライラしやすいですよね。ということで、たとえば夕ご飯の前後やお風呂のあとなど、多少長引いてもイライラしない時間帯に読み聞かせを行ってみるのも一つの手です。
また、親の側としても、「ここで終わり」と毎日していると、「せっかく読み聞かせを気に入っているのにかわいそうかな?」と、ちょっと罪悪感をかんじることもありませんか?
そんなときは、1週間のなかで週末ですとか、「今日は好きなだけ読んであげるよー」という日を1週間の中に作ってあげると、ふだんの日にも、「じゃあこれは今度読んでね」などと、けっこう聞き分けてくれるようにもなります。
読み聞かせに没頭するって良いこと
今回は、読み聞かせというよりも、子どもの気持ちをいかにそらすかというお話しとなってしまいましたが、「もっともっと」という子に「もう寝る時間なの、これ以上遅くなったら朝起きられないの!」と正攻法で詰めよっても、結局「ギャー!」となってしまいますよね。
「読み聞かせ」にそれだけ集中してくれているって、実は良いことなんですよね。子どもの間に好きなものに没頭する時間は、大人になるまでの土台を作るために本当に大事なことだと、実証されてもいます。
ですので、そうした部分を大事にしつつも、生活リズムも進めるためには、いかに子どもの意識を別に持っていくかの勝負となります。
たとえば、入眠につながる絵本を読んだ後、実際に入眠儀式を行うのも意識をそらすには有効です。我が家で導入しているのはこの電灯なのですが、
読み聞かせをした後に、
「本日も一日おつかれさまでした! それでは! 点灯いたします!」
「点灯!」
という感じで、部屋の電気を消したあと、兄弟代わりばんこでこの星のリモコンスイッチを押すことが慣例となっております。「このスイッチを押す」というのが、読み聞かせから意識をそらしつつ、「自分で決めて寝るんだ!」と子どもも納得でき、お互いに満足をして一日を締めくくることができますよ。
そのほかにも、おふとんをかけてトントンしてあげたり、読み聞かせの後はお歌を歌うのを慣例にしたり、いろいろな方法はあると思いますが、「もっともっと」の意欲を大事にしつつ、うまーく意識を他に向かわせられる方法を、各ご家庭でいろいろ試行してみてください。
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読み聞かせの時間を作れないのは私の要領が悪いせいですか?新連載【育児の悩みは絵本で解決】vol.1