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大迫力の恐竜ロボット制作現場に行ってきました!
『HugKum』編集部では、2023年12月、この恐竜博覧会にて世界初公開となるスピノサウルスの新作恐竜ロボットの制作現場を取材。制作に関わる2名のクリエイターに恐竜ロボットの制作エピソードや展覧会の見どころを伺ってきました。
スピノサウルス・恐竜ロボットの制作は、多種多彩なロボットを手がける「ココロ」が担当
スピノサウルス・恐竜ロボットを担当しているのは、〝心を動かすロボットづくり〟をモットーに1984年からロボット制作を続ける「株式会社ココロ」さんです。
同社は、株式会社サンリオグループの会社で、恐竜ロボットだけでなく、人体型ロボットや昆虫ロボット、受付案内ロボットやキャラクターロボットなど、バラエティーに富んだロボットを数多く製造しています。
今回は、スピノサウルス・ロボットのデザインを担当している横田祐子さんと、設計を担当している金井久典さんにお話を伺いました。
取材日はスピノサウルス・ロボットの頭部と胴体の合体作業中! 全長15mの巨大な姿に大感動!!
取材させていただいたのは、年越しが迫る2023年12月20日。作業場では、それまで別々に作ったスピノサウルス・ロボットの頭部と胴体部分を合体させていました。頭部と胴体を合わせるのは、この日が初めてとのことでした。
これが合体作業を行っていた倉庫。大勢の人が集まっていました。
倉庫内にはスピノサウルスのほかに、これまでに制作したさまざまな恐竜ロボットが並んでいて、これだけでもとてもインパクトがあります。
合体作業を拝見しながら、お話を伺いました。
新作のライフサイズ(実物大)のスピノサウルス・ロボットは、「オダイバ恐竜博覧会」にて世界初公開!!
――現在行っているのは、スピノサウルス・ロボットの頭部と胴体部分の合体作業ということですが、どのような意味があるのでしょうか?
金井さん(以下金井):今回のオダイバ恐竜博覧会で展示するスピノサウルス・ロボットはライフサイズ、つまり実物大で、全長15メートルもの大きさになります。このサイズのロボットを、今回はフジテレビ本社屋の球体展望室で展示することになったのです。そのため、非常に小さな入り口から搬入しなければなりませんでした。それで、どういう作り方がいいか、社内で何度も検討したんですよ。
その結果、ロボットの頭部と、PVCシートで作った胴体を組み合わせて完成させることにしたのです。この仕様は初めての試みで、構想からこれまで2年の間、どの工程も手探りで試行錯誤を繰り返しながら進めてきています。
本日の作業は、そうして作った頭部と胴体部分を合体させて、カラダ全体のバランスや機構部分の動作チェックするのが目的となっています。
――頭と胴体が合体すると、ものすごい迫力ですね!這って歩いているイメージなのでしょうか?
横田さん(以下横田):スピノサウルスは、水の中で生活していたといわれている恐竜なんです。そのため、今回の博覧会では水中を泳ぎながら魚を捕まえようとしている姿を表現しようと考えて、このような姿にデザインしました。
実際に展示するフジテレビの展望室はガラス張りの球体ですので、東京都心の風景をバックに空間を遊泳するイメージになります。
――頭部が動くと、リアル感が増してドキドキしますね。
金井:今日のところは動作確認をするだけですので、ゆっくりと首が上下左右に動いたり、口が開閉するだけですが、これからプログラミングをして首をグイッと持ち上げたり、口の開け閉めなどに緩急を付けたりして、さらにドラマチックな動きをするようになるんですよ。
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また、胴体にはさらに彩色を施していきますし、頭部には表面にシリコンで皮膚を作り、その上に何度も塗装をして凹凸の奥行きを出してリアル感をより高めていきます。博覧会場ではスピノサウルスの声も披露しますので、完成品をぜひご覧になっていただきたいです。
――それは本当に楽しみですね! そもそも「オダイバ恐竜博覧会」にスピノサウルスのロボットを展示しようと考えたのはどうしてなのでしょう?
横田:今博覧会の全面協力をしていただいている「福井県立恐竜博物館」の研究者やスタッフの方々と、博覧会の構成を考えたとき、まず思い浮かんだのが「ティラノサウルスに負けない〝王者級の恐竜〟のロボットを展示しよう」ということでした。
そこで、さまざまな恐竜たちの中から選んだのが、大型で、水棲のスピノサウルスだったのです。
©ココロ
今回の「オダイバ恐竜博覧会」には「福井県立恐竜博物館」が収蔵するトリケラトプスやアクロカントサウルスなどの全身骨格およそ20体をはじめ、福井で発見された化石標本など約70点の標本が展示されるのですが、スピノサウルス類の恐竜は福井でも発見されているので、馴染みのある点もいいと判断しました。
――制作を進める途中で、気を付けたのはどんな点でしょうか?
横田:スピノサウルス・ロボットだけではありませんが、恐竜というのは現代人が生きている姿を誰も見たことがない生物なので、恐竜ロボットを作る際は監修する研究者の考えに沿って作るのが基本となっています。
ですから、制作をするときには、監修者の先生と制作現場の私たちとの意思疎通がスムーズにできるかどうかがとても重要なんですよね。
その点、今回、博覧会の監修統括をされた「福井県立恐竜博物館」の柴田正輝先生とは、これまでに博物館内常設の恐竜ロボットの制作や、特別展などでの信頼関係もあり、スムーズな意思疎通ができたので、大きな問題もなく制作が進みました。
博覧会では実物大のティラノサウルスと、子育て恐竜・マイアサウラも必見!!
――「オダイバ恐竜博覧会」で、ほかにオススメの見どころポイントがありましたら教えてください!
横田:「オダイバ恐竜博覧会」では、弊社の恐竜ロボットがほかに2体展示されているので、ぜひ観覧していただきたいですね。
ひとつは会場内に入ってすぐの場所に展示されるティラノサウルス・ロボットです。
©ココロ
「福井県立恐竜博物館」にも全長7メートルのティラノサウルス・ロボットが展示されていますが、「オダイバ恐竜博覧会」で展示されるものは全長12メートルの実物大。迫力が断然違います!
また、もうひとつは第二会場に設置されるマイアサウラです。
©ココロ
マイアサウラは1978年に営巣地が発見されたことで、集団で暮らしながら子育てをしていることが判明した植物食恐竜なのですが、今回はその子育ての様子を再現しています。
卵から生まれたての赤ちゃんを、やさしく見守るお母さん恐竜の姿をご覧になれます。子育てする恐竜がいたことを実感できると思います。
金井:スピノサウルス・ロボットの展示では、しっぽの下が通路になっていて、その迫力を身近に体感できるんですよ。
また、スピノサウルスに関しては、ロボットだけでなく日本では初公開となる実物の化石標本の展示も行われます。スピノサウルスは現在も謎の多い恐竜です。ロボットと化石標本をご覧になって、その謎について親子で語り合うというのも、おもしろいと思います。
――ぜひ、会場へ行き、その迫力を体感したいと思います!本日はありがとうございました!
3月20日(水・祝)~5月6日(月・休)、お台場にあるフジテレビ本社にて開催!「HugKum」では、開催間近により詳しい内容を再度ご案内します!乞うご期待ください。
取材・文・構成/山津京子
撮影/五十嵐美弥