「おなかがすいた~」の訴えに、ついごはん前にお菓子をあげてしまい罪悪感に悩むママ~専門家のアドバイスとは

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長年多くのリスナーに愛されいてるNHK「ラジオ深夜便」で、月に一回(毎月第4木曜)、子育て中のママ・パパを応援する「みんなの子育て☆深夜便」が放送されています。2020年4月から定期放送となり3年を経て、番組に登場した多彩なゲストの方が送ってきた子育てへのエールが、この度一冊の本にまとまりました。その『子育ての不安が消える魔法のことば』から、抜粋構成して、子育ての珠玉のアドバイスをお届けします。

「おなかすいた~」と泣かれると、ついついごはん前にお菓子をあげてしまう罪悪感に悩んでます

ついつい、欲しがるとお菓子をあげてしまう、偏食がひどくて…など子どもの「食」は、多くの子育て中の方が抱えている悩みの一つです。発達心理学の中でも「食発達」の研究を専門とされる外山紀子先生が、リスナーのママからのお悩みに答えてくれました。

「子どもにおなかすいた~」と泣かれると、ごはん前にお菓子やバナナをあげてしまい、あまりごはんが進まないという悪循環に悩んでいます。(30代のママ)

子どもは体に正直に食べるもの。食べることは楽しいこと、という原点を忘れずにおおらかに構えて

食についての悩みがつきないのは、成長、健康、栄養、マナー、しつけ…といろんな要素が絡み合っているから。でも、子どもは子どもで、食べることはとても生物学的な行為なので、自分の欲求や気持ちのまま好き勝手に食べたいんですよ。つまり、子どもと親の対立や葛藤をそもそも含んでいるのが食事の場面なので、親の思うようにいかないわけです。

お菓子は……あげちゃいますよね(笑)。ただ子どもは、大人よりもずっと体に正直に食べるんです。大人の場合は、頭でコントロールして食べるんですが、子どもの場合、前の食事との時間間隔によって食べる量が変わってきます。たくさん時間があけばたくさん食べるし、少ししか時間があいていなければちょっとしか食べない。だから、おなかをすかせた状態で食事に臨めることが一番の解決策なんですけれど、そうはいかないこともあります。

例えば、ルールを決めて少しずつ守れるようにする、手順を決める、といった工夫していくしかないと思います。「食事の前には手を洗う」「食べるときは一緒に準備をする」「配るのを手伝ってもらう」みたいな手順ですね。

〇〇くんが育てた、などの固有名詞やエピソードのある食べ物にしてみるのも手

自分で育てたり収穫したりすると「僕が育てた、私が収穫した枝豆」のように「固有名詞のある食べ物」になりますよね。「〇〇ちゃんがゆでてくれた」といった固有名詞・エピソードのある食べ物に変えるのも楽しんでできる工夫かと思います。

あとは、食べ物自体ではなくて、例えば「お母さんが食べさせるのがイヤ。私は自分で自由に食べたいのに」「スプーンはイヤ。私は手づかみで食べたいの」といったこともあるかもしれませんね。

子ども自身も自分でコントロールしにくいことがあるので、長い目で見る、おおらかに構えることが大事なんだと思います。

情報があふれていて、自分の子育ての基準をもつことは大変な時代。食べるのは楽しいという原点を忘れずに

情報が多すぎることが、この時代の特徴です。食のことだけでなく、しつけや勉強のことをネットで検索すると、いかにも正しそうな情報があふれているわけですよね。あふれる情報のなかで、自分で基準をもって判断していく……これはとても難しいことなんですけれど……それが必要になってくる。今の時代に子育てするのには、そういう大変さがあるのかと思います。

ごはんを食べることは楽しいですよね。そういう自分の身体感覚というものを取り戻すこと。情報も食べ物もいっぱいある時代だからこそ、「原点に返る」といったことが大事なんだと思います。

外山紀子さん|早稲田大学人間科学学術院教授
1993年東京工業大学総合理工学研究科システム科学専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は発達心理学(認知発達、食発達)。おもな著書に『生命を理解する心の発達』『発達としての供食』などがある。

 「真夜中の子育て応援団」から届いたことばの贈り物が本になりました~みんなの☆子育て深夜便

『NHKラジオ「みんなの子育て☆深夜便」 子育ての不安が消える魔法のことば』編著・NHKアナウンサー 村上里和  青春出版社

(執筆者一覧・五十音順)青山誠、あまんきみこ、荒井良二、犬山紙子、内田也哉子、遠藤利彦、大日向雅美、大豆生田啓友、加瀬健太郎、角野栄子、工藤直子、小林エリカ、小林よしひさ、五味太郎、汐見稔幸、柴田愛子、春風亭一之輔、新沢としひこ、谷川俊太郎、てぃ先生、外山紀子、中川ソニア、中川李枝子、東直子、福丸由佳、水野美紀、宮﨑駿、茂木健一郎、山崎ナオコーラ、ヨシタケシンスケ

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構成/Hugkum編集部 写真/繫延あづさ

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