【子どものタイプで見極める】小学生になったら読み聞かせはやめてもいい? 我が子のタイプをチェックすれば、ぴったりの読書方法と本が見つかる!

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子育てのなかでの絵本に関する悩みを解決していくこちらの企画「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」。今回は「読み聞かせっていくつまでやればいい?」というママからのご相談。読み聞かせに卒業時期はありませんが、忙しい日々の中、少しずつ一人読みに移行したいですよね。そんな方法を絵本編集者であり、「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」室長の筆者が解説します。

Q.そろそろ自分で本を読ませるべき? 絵本から文章の本を読むタイミングって?

春から小学生になる女の子がいます。習慣として読み聞かせをしているのですが、小学生になると宿題もあり忙しくなるので、もう読み聞かせはしなくていいかな、絵本から長い文章の本に移行もさせたいなと思っています。いつ頃になれば読み聞かせを卒業していいものでしょうか?

(6歳女の子のママ)

    A.読み聞かせはコミュニケーションの機会。いくつになってもOK

    「いくつまで読み聞かせすればいいのかしら?」小学生に近づいてくると、だんだん疑問に思ってきますよね。

    大前提として、子どもが求める間はいくつになってもしてあげて構いません。読み聞かせに卒業時期はありません。

    忙しい小学生にとってこそ、読み聞かせにはメリットがあるんです。それはなんといっても「コミュニケーション」!

    親子ともども忙しい毎日の中ですと、たとえ同じ部屋にいても「宿題やったの?」「早く寝なさい」など、会話というよりも「指示」になってしまっていることも多いのではないでしょうか? そうした中、10分でも1冊の絵本に親子で向き合う時間は貴重なコミュニケーションの機会となります。

    本を読む親子
    本に一緒に向き合うのは親子のコミュニケーションのひとつにも

    ですが、自分で文章を読めるようになると自分のペースで読みたい子も出てきますし、独立心旺盛な子は親に構われるのを嫌がることもあります。また、小学生以降こそ、読書を習慣づけてあわよくば読解力もついてほしい……と考えると思いますが、せっかく読み聞かせを続けてきたのにパパママが働きかけないと一気に読まなくなる子もいます。

    子どもたちが大きくなるにつれて、満足する文章量の本を読んであげるのはパパママにとっても大変になこと。

    ですので、パパママの負担を減らしつつ、自立した読書の習慣に向かっていけるよう、お子さんのタイプから、今後の読み聞かせの方向性を考えていきましょう。

    【小学生以降の読み聞かせ】

    「一人で読めるようになったし自分のペースで読みたい!」という子

    →①パパママからの読み聞かせから、パパママとの“読書時間”へ

    まだ自分から主体的に本を読む感じではない子

    →②“ちょっと読み聞かせ”のスモールステップで読書習慣を定着

    ①パパママからの読み聞かせから、パパママとの“読書時間”へ

    自分のペースで読みたい、自分の時間は自分の好きなことをしたい!という独立心旺盛な子は、基本おまかせで好きな時に好きな本を読んでもらっていいと思います。

    ですが、家族バラバラで好き勝手なことをするよりは、コミュニケーションをとる時間として「同じ本の回し読み」をしてはいかがでしょうか? たとえ読み聞かせではなくても、“1冊の本”に親子で向き合うことで、対話やコミュニケーションが生まれます。

    絵本よりもちょっと文章量が多い、でも読みやすくて考えさせられる、そんな親子の読書時間におすすめな本をご紹介します。

    『すてきなひとりぼっち』(なかがわちひろ のら書店)

    小学生の男の子・一平くんが主人公。一平くんはいじめられているわけでもなく嫌われているわけでもありませんが、なぜだか人の輪から外れてしまってひとりぼっちになってしまうタイプ。こういうシチュエーションって子どもに身近ですよね。ある日、ついてないことが続きすぎてどん底の気分になり、いつもと違う行動をとりますが……。

    子どもの日常のよくあるシチュエーションに親子で共感できる題材であり、読み物でありながら絵がふんだんにあって、読みやすく楽しめるお話です。

    『ワニのガルド』(おーなり由子 偕成社)

    こちらも小学生が主人公。友だちについて考えさせてくれる本です。

    小学三年生のヒナちゃんは「学校にいきたくないな……」と思っていると、突然ワニのガルドに出会います。ガルドは、さびしい人にしか見えないワニのおばけ。学校にまでついてきますが、案の定友だちのいないヒナちゃん以外にガルドは見えません。しかし、休み時間にガルドと一緒にいると視線を感じます。それは、モデルの仕事をしているクラスで大人気のアヤカちゃんでした。いつも人に囲まれているアヤカちゃんになぜ見えるのだろうと思っていると……。

    学校に居場所のない気持ち、大勢と一緒にいても誰のことも信用できない気持ち、友だち関係にまつわるいろいろを、親子で話し合えます。

    「学研 まんがでよくわかるシリーズ」(Gakken)

    上の書籍は『ウイルスのひみつ』ですが、ほかにもこうした身近な疑問を教えてくれるシリーズで、親子で気になるテーマを選んで読み合うのも面白いですよ。最近では『Wi-Fiのひみつ』といった最新技術や『カプセルトイのひみつ』など身近だけれど意外と仕組みを知らないもの、大人でも名前はわかっても詳細は説明しづらい、といったテーマが網羅され漫画形式でわかりやすく伝えてくれます。

    • ​​この本は、書店での一般発売はなく小学校や図書館借りてこないといけませんが、「今度これ読もうよ」などと親子で相談しあうこともコミュニケーションになりますし、電子書籍版は無料公開されているのでその場で決めてさっと読め、その時々の親子の興味を掘り下げることもできますよ。

    ②“ちょっと読み聞かせ”のスモールステップで読書習慣を定着

    一方、パパママが読み聞かせをしないと、自分では本を手に取ることはないかも……という子は、読み聞かせはちょっとでも継続していったほうがよいと思います。ですが忙しい毎日の中、親の負担は軽減させたいですよね。

    ですので、1冊の中に小さな物語がいくつか入っている楽しい読み物を選んで、最初の1編は読み聞かせて、徐々に自分読みにつなげていきましょう。

    『こぶたのピクルス』(小風さち/文 夏目ちさ/絵 福音館書店)

    ピクルスはこぶたの男の子。素直で真面目ながんばりやですが、目の前のことに一生懸命になりすぎて、すとんと大事なことを忘れてしまうことも。そんなピクルスの楽しい日常を描いたほんわかした物語です。

    挿絵も多くて読みやすく、親子で一緒に読むのにぴったりのかわいいお話ですので、まずは最初の1編を読んであげれば、後に続く物語にもすんなり入って行けると思います。

    『なぜ? どうして? 1年生』(村山哲哉/監修 高橋書店)

    この本は、「テントウムシはなぜ水玉もようなの?」「火よりあついものってあるの?」など、生活の中の自然や科学の不思議について、1つの質問について1見開きでスパッと短く分かりやすく教えてくれる本です。興味のある質問だけ読んだり、1つ読んであげて他は自分で読んでもらったりと気軽な読書ができますよ。

    「楽しく学べる」シリーズとして1年生、2年生、3年生と学年ごとや、社会、算数、言葉などジャンルごとに選べるので、子どもの興味に応じて選んでみてください。

    自分読みへのハードルを下げてみよう

    “ちょっと読み聞かせ”を続けていくと同時に「これだったら自分でも読める!」という本で、読書の自信をつけていくことも有効です。

    そうした自分読みへのハードルを下げていくおすすめ本を紹介します。

    『絵くんとことばくん』(天野祐吉/作 大槻あかね/絵 福音館書店)

    小学4年生の優太くんはおこづかいが少ないことに悩んでいますが、お母さんに口ではかないません。なのでポスターを作って訴えようと考えます。そして、頭の中の「ことばくん」がキャッチコピーを、「絵くん」がそのキャッチコピーを魅力的に伝える絵を考え出し、自分の考えを人に伝えるにはどうすればよいかという大切なテーマを、ことばくんと絵くんの丁々発止なやり取りで楽しく見せていきます。

    絵本の体裁をとっているので、まず手に取りやすく、それでいて成長していく上での大切なテーマを扱っています。文章量も充実していて、満足感が高い1冊です。

    また、今、小学生に大人気のシリーズがこちら。

    「つかめ! 理科ダマン」(シン・テフン/作 ナ・スンフン/まんが 呉華順/訳 マガジンハウス)

    まんが形式で楽しく「おしっこってガマンしたらどうなるの?」「宇宙人って本当にいるの?」といった理科の話題を楽しく知ることができます。1冊に話題がたくさん詰まっていながら、まんが形式でユーモラスに描かれているので、どんどん読み進めることができますよ。

    読み聞かせも一人読みも、どちらも取り入れて読書習慣を

    あらためて「読み聞かせはいくつになっても続けてOK」ということをお伝えしたいと思いますが、子どもたちもどんどん大きくなって「読み聞かせ」という形を取りづらくもなっていきますよね。

    ですが、小学生以降の読書時間は15年前と比べて約半分というデータもあり、意識しないと「読書時間」はどんどん減っていってしまいます。

    スマホで遊ぶ子ども
    意識しないと読書時間はどんどん減少・・・

    それに、子どもの成長は早いもの。子どもと一緒に過ごす時間は大きくなるにつれてあっという間になくなっていきます。ですので、読み聞かせという形をとらずとも、「パパママとの読書時間」を親子のコミュニケーションの機会と捉えて、楽しく親子で読書に親しんでいっていただけたらと思います。

    「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」を1話から読む!

    読み聞かせの時間を作れないのは私の要領が悪いせいですか?新連載【育児の悩みは絵本で解決】vol.1

    【育児の悩みは絵本で解決】連載担当者は……

     
    徳永真紀/「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」室長
    フリーランスの児童書編集者。児童書制作グループ「らいおん」の一員として“らいおんbooks”という絵本レーベルの活動も行っている。7歳と5歳の男児を相手に「読み聞かせとは何ぞや」を問う日々。最近は幼稚園・小学校でも読み聞かせおばちゃんとして活動中。絵本ナビスタイルにて「絵本で伸ばそう!これからの子どもに求められる力」を連載中。

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