赤ちゃん抱っこで乗るのはNG!?「子供乗せ自転車」のヒヤッとする瞬間とは?【Safe Kids Japan】

イラスト 久保田 修康(Safe Kids Japan「子どもの傷害予防カレンダー 2019」より)

 

「子供乗せ自転車」のあぶない事故が多発!

自転車に乗るのが心地よい季節になりました。毎日の通勤や通園、お買い物、お子さんの習い事などに自転車を利用している、という方も多いと思います。

しかし「子供乗せ自転車」による事故は多発しています。Safe Kids Japanでは昨年12月、未就学のお子さんを自転車に乗せて運転することがある方約300人を対象にアンケートを実施しました。「お子さんを自転車に乗せて運転している時、『あぶない!』と思ったことがありますか?」という質問には、実に60パーセントの方が「ある」と回答しました。

「お子さんを自転車に乗せて運転している時、『あぶない!』と思ったことはありますか?」(Safe Kids Japan「自転車1000」アンケートより)

 

では実際にどのような時に「あぶない!」と思ったのでしょうか?寄せられた声の一部をご紹介します。

・小学生が急に飛び出してきてヒヤッとした。

・自動車が一時停止をせずに直進してきて、衝突しそうになった。

・強風で倒れそうになった。

・子供が後部座席で寝てしまい、重心が変わって倒れそうになった。

・車輪が溝にはまってヒヤッとした。

・上の子ふたりを前後に乗せ、3人目は抱っこ。しかも荷物がいっぱいでいつもヒヤヒヤ。

・子供が何か興味のあるものを見つけ、手を伸ばして取ろうとしてバランスを崩した。

 

皆さん、実に大変な状況で自転車の運転をされていることがわかりますね。

自転車で子供はどこに座っている?

アンケートでは、「お子さんを自転車のどこに座らせているか」についても聞いてみました。

多い順から

①後ろシートに子供を一人

②前シートに子供を一人

③前シートと後ろのシート、各一人ずつ(子供は二人)

④後ろシートに子供一人と抱っこ

⑤前シートに一人とおんぶ

⑥前シートと後ろのシートに各一人とおんぶ(子供は計三人)

⑦後ろシートに二人とおんぶ(子供は計三人)

⑧牽引型シートに子供一人

⑨抱っこひもで抱っこ

となっており、①の「前シートに子供一人」、または②の「後ろシートに子供一人を乗せている」と答えた方が約70パーセントいました。「前シートまたは後ろシートに子供一人とおんぶまたは抱っこ(子供は計二人)」という方や、「前シートと後ろシートに各1人とおんぶ(子供は計三人)」という方もいました。

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確認しよう、子供乗せ自転車のルール

あらためて、子供を乗せて自転車を運転する際のルールを確認しておきましょう。実は道路交通法には特に記載はなく、各自治体がそれぞれ規則を作って「乳幼児一人をおんぶひも等で背負った状態であれば運転してよい」等と定めています。東京都の例を見てみましょう。

【一般の自転車】

16歳以上の運転者は、幼児用座席を設けた自転車に6歳未満の幼児を1人に限り乗車させることができます。
さらに運転者は幼児1人を子守バンド等で背負って運転できます。

【幼児2人同乗用自転車】

16歳以上の運転者は、幼児2人を同乗させることができる特別の構造又は装置を有する自転車(幼児2人同乗用自転車)に6歳未満の幼児2人を乗車させることができます。
幼児2人を乗車させた場合、運転者は幼児を背負って運転することはできません。

整理してみますと、東京都では、

一般の自転車に幼児1人+赤ちゃんおんぶ→〇

一般の自転車に幼児1人+赤ちゃん抱っこ→×

幼児2人同乗用自転車に幼児2人→〇

幼児2人同乗用自転車に幼児2人+赤ちゃんおんぶ→×

幼児2人同乗用自転車に幼児2人+赤ちゃん抱っこ→×

ということになります。

赤ちゃんをおんぶしての運転は安全?

前述したように、東京都では「一般の自転車に幼児1人+赤ちゃんおんぶ」は認められています。しかし「おんぶ自転車」による死亡事故も起きています。2016年5月、東京・国分寺市で生後7ヶ月の赤ちゃんをおんぶして自転車を運転していた保護者が道路を横断中に乗用車と接触、自転車ごと転倒した際に赤ちゃんが投げ出され、頭を強く打って死亡しました。

この事故を受け、Safe Kids Japanでは、赤ちゃんをおんぶ、または抱っこした状態で転倒した場合の頭部への影響を調べる実験を行いました。その様子はこちらの記事に詳しく掲載されています。

この記事にもあるように、転倒時の衝撃は、おんぶでも抱っこでも、「骨折するとされる衝撃の基準値の最大約17倍」という衝撃的な結果でした。多くの自治体では「おんぶ」は認められていますが、この実験からは「おんぶでも抱っこでも同じように危険」ということが言えます。

子供乗せ自転車の新しいカタチ

では、子供、特にヘルメットをかぶることができない赤ちゃんを連れて安全に自転車を運転するためにはどうしたらよいのでしょうか?

写真は一般の自転車に取り付けるベビーカータイプのトレーラー(BURLEY)で、幼児2人が並んで座ることができるようになっています。欧米でよく見かける形ですね。このトレーラーを輸入・販売しているライトウェイプロダクツジャパン株式会社によりますと、万が一自転車が転倒してもトレーラー部分は倒れないので、中の子供には影響がなく安全ということでした。トレーラー部分のみベビーカーとして使用することもできるそうです。実際に押してみましたが、大変軽く、驚きました。

実際の走行には課題もあると思いますが、このような選択肢もあることを知っておきたいですね。

BURLEY

 

内部のようす

 

 

Safe Kids Japanとは

私たちSafe Kids Japanは、事故による子供の傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人です。2018年6月からこのHugKumで、子供の傷害予防に関する記事を配信しています。基本的に毎月1回、季節や年中行事などに関連した内容の記事をお送りしたいと考えています。

さて、「事故による傷害」、「傷害予防」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。私たちがなぜ「事故」ではなく「傷害」という言葉にこだわっているのか、について、はじめに少し説明させてください。

 

事故?傷害?その違いは?

「事故」という言葉を辞書で調べてみると、「思いがけなく起こった良くないできごと」とあります。英語で言うとaccidentですね。accidentは「意図しない不幸なできごと」という意味で、「避けることができない運命的なもの」という意味も含まれています。海外でもかつてはaccidentを使っていましたが、最近ではinjuryという言葉が使用されるようになりました。injuryは「ケガ」「負傷」という意味です。「事故」は科学的に分析し、きちんと対策すれば「予防することが可能」という考え方が一般的になり、「運命的な」という意味を含むaccidentではなく、injuryという言葉を使用することが勧められるようになったのです。今ではaccidentという言葉の使用を禁止している医学誌もあるくらいです。

そのinjuryに対応する日本語として、Safe Kids Japanでは「傷害」という言葉を使っています。よく「事故予防」と言われますね。もちろん事故そのものが起きないことがいちばんなのですが、たとえ事故が起きたとしても、(重大な)ケガはしないように備えよう、そんな思いも込めて、「傷害予防」と言っています。

 

NPO法人Safe Kids Japan

 

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