伝承料理「六宝」を再現。お好みの魚がプレミアムな卵かけ丼に! 各種のご当地「鯛めし」もご紹介

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愛媛県宇和島市には観光客に人気の「宇和島 鯛めし」がありますが、じつは、この料理には元祖といわれる料理があります。これが伝承料理「六宝(ろっぽう)」です。「六つの宝」と呼ばれる調味料を使って作るこの料理。いったい、どんなものなのでしょうか? 

地元では名物とされ、古くから馴染み深い料理として愛されてきたのが宇和島市津島町の「六宝」です。穫れたての新鮮な魚を、白いご飯の上にのせて食す、いわば”海鮮丼”なのですが、特徴的なのは「六つの宝」と呼ばれる調味料が使われる点です。この中には、卵の黄身が含まれるため、”超豪華な卵かけご飯”ともいえる六宝。瀬戸内海からの恵みをおいしくいただく工夫と、古くから続く暮らしが感じられる、魅力的な料理について詳しくみていきます。

六宝について

その日に手に入る旬の魚から好きな魚を選び、しょうゆベースのタレに漬け、白いご飯にのせていただくのが「六宝」です。使われる材料と作り方について、ご覧ください。

使われる素材

使われる魚は真鯛をはじめ、ヒラメやイサキなど、赤身、白身、青魚を問わず、各々の好み次第。そのため、魚の種類については決まりがないのが実際のところです。

そして、「六つの宝」といわれる、漬けこみタレは以下の6種類です。


みりん
砂糖
しょうゆ
ごま
生卵

「六宝」という名前の由来は、6種の素材を使うことから、という説がある他、あまりのおいしさに、歌舞伎の所作である「六方」をおもわず演じてしまった、というユニークな説もあります。

この地方には漁師由来の料理が数多く存在するため、陰に隠れがちな六法は「津島六宝保存会」によって食文化の継承活動が行われています。ちなみに、津島町では、11月6日が「いい六宝の日」とされているそうですよ。

タレの作り方

六宝に使うタレは事前に仕込み、しっかりと冷やしてから用います。

タレの材料

(4人分)

だし汁 100cc
濃い口しょうゆ 50cc
酒 50cc
みりん 50cc
砂糖 16g

タレの作り方

【1】鍋に酒、みりんを入れて加熱し、アルコール分を飛ばしてください。

【2】その他の材料を加えて、ひと煮立ちさせます。

【3】粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やしてください。

六宝への仕上げ

お好きな魚を用意して、六宝を作ってみましょう。マグロやアジなど、手に入りやすい魚でおいしくできます。おもわず歌舞伎の六方を踏んでしまうようなおいしさですよ(笑)。

材料

(1人前)

ご飯 お茶碗1膳分
刺し身 10切程度
タレ 60〜80cc
卵 1個

すりごま、海苔、刻みネギ、わさび、など

六宝の作り方

【1】タレに刺し身を漬けこみ、冷蔵庫で15分ほど寝かせます。
サクから切る場合は、薄めのそぎ切りに。

【2】お椀に温かい白ご飯を盛り付け、【1】の刺し身をのせます。

【3】少量のタレと共に卵を溶いて【2】に加え、すりごま、海苔、刻みネギなどをのせていただきます。

地元の飲食店などでは、薬味に温州みかんや、ゆずなどの柑橘の皮が使われることも。

衛生上、卵は新鮮なものを使い、食べる直前に割り入れます。

簡易的な作り方

タレに魚を漬けず、浸すだけで食べる場合もあります。

【1】卵黄と、少量のタレをよく混ぜます。

【2】刺し身を【1】に付け、薬味と共にご飯にのせて、いただきます。

鯛めしのバリエーション

瀬戸内海や宇和海では鯛の他、アジ、メバル、エソなどが豊富に穫れることから、「漁師めし」と呼ばれる魚料理のバリエーションが豊かです。中でも「鯛めし」は鯛を丸ごとのせた炊き込みタイプと、海鮮丼タイプの2つがあり、この地域特有の食文化として現代に伝えられています。そこには、古代から続いてきた人々の暮らしが生き生きと感じ取れます。

北条鯛めし

東予・中予地域では、鯛を炊き込みご飯にした「北条鯛めし」が主流です。

その始まりは古く、神功皇后が朝鮮出陣へと向かわれた伝承にまで遡ります。鹿島明神に戦勝祈願をされた折、地元漁師が鯛を用いてご飯を炊き、献上したことが発祥の逸話です。高縄半島の西、風早(かざはや)浦の漁師達が献上した鯛は、吉兆として喜ばれたと、言い伝えが残ります。

野菜などの具は使わず、丸ごと一匹の鯛と、だし昆布だけで作られるのが特徴です。見た目の豪華さから、祝い事に使われる料理として代表に挙げられる料理です。

宇和島鯛めし

南予の宇和島では、骨からひいた”だし”でタレを作り、鯛刺し、生卵、薬味をご飯にのせる「宇和島鯛めし」が有名です。

江戸時代に宇和島の日振島(ひぶりじま)を本拠地にしていた、伊予水軍。ここの兵士達は日頃から、船の上で魚の刺し身をあてにして、茶碗酒で酒盛りをしていたそう。その茶碗に残った酒にご飯をつぎ、しょうゆをかけた魚をのせて食べていたのが由来なんだとか。豪快な逸話です。

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日向飯(ひゅうがめし)

西与の明浜に伝わるのは、「日向飯」です。魚を次の日までタレに漬け、生卵と一緒に食べる料理で、六宝とよく似ています。水軍が発達していた土地柄だけに、海を渡った日向の国(現在の宮崎県)で食べられていたものが伝わった説もあり、九州との交流の軌跡ともいわれる食文化です。

魚が鯛だった場合のみ「鯛めし」と呼ばれ、漁獲量が少なかった頃の特別な料理でもありました。

お取り寄せ

底曳き網漁が始まった昭和のはじめ、全国的に鯛の流通量が増えました。その後、昭和40年頃からは養殖も始まり、鯛はより身近な魚となりました。現在では、オンライン通販で愛媛県から手軽に鯛めしを取り寄せることができます。

愛媛の絶品 鯛めし食べ比べ4食セット

炊き込みタイプと、漬け丼タイプの食べ比べができるセットが購入できます。お魚好きの方への贈り物にもおすすめです。

あいさと 鯛めしのたれ 宇和島 愛媛県産 真鯛だし使用 20g×4

新鮮なお刺し身を用意してこのタレに漬ければ、簡単に鯛めしが作れます。地元宇和島の味をご賞味ください。

豊かな海の恵み、六宝

海の幸が豊かな土地柄ならではの食事が、六宝と呼ばれる伝承料理でした。魚の種類を問わず、簡単に作れて、華やかさがある郷土料理です。新鮮な魚の味を生かしながら、生卵を使うところも特徴的ですね。おいしい魚が手に入ったときに、試してみたい料理です。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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