藤原道長と紫式部の関係は
藤原道長といえば栄華を誇った一生とともに、『源氏物語』の著者・紫式部とも縁の深い人物として語られています。紫式部が仕えた一条天皇の中宮・彰子は道長の娘。紫式部は道長の意向のもと、彰子の家庭教師をつとめる女房として抜擢されたといわれています。
時の権力者である道長の庇護があったからこそ、あのような大長編を書き上げる環境と機会に恵まれたのではないでしょうか。それではここでクイズです。
藤原道長が、紫式部に『源氏物語』を書かせた理由は次のうちどれでしょうか。
① 貴族社会を風刺させることによって、敵対する勢力の力を削ごうとした。
② 自分の伝記をフィクションのように書かせて朝廷に献上し、天皇にアピールしようとした。
③ 知的な話題と取り巻きへの興味で、娘の彰子のところに一条天皇を通わせようとした。
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それでは『小学館版 学習まんが人物館 藤原道長』から、紫式部の登場シーンを見てみましょう。
一条天皇のもとに入内した、道長の娘・彰子。道長は彰子が帝の子どもを産むことで、外戚としての力をもつ野心を抱きます。そのため多くの人手と財力を使って、あらゆる方法で神仏に祈りを捧げる道長でしたが……
知的で華やかな彰子のサロンから生まれた『源氏物語』
外戚として権力をふるった道長でしたが、最初からすんなりうまくいったわけではありませんでした。長兄・道隆の娘の定子が彰子より先に入内しており、その定子と一条天皇との間には皇子が生まれます。
その後、定子は亡くなりましたが、彰子のほうは幼くして入内したので、一条天皇との間になかなか子どもが生まれません。
そこで道長は、かつて定子に仕える女房に『枕草子』で有名な清少納言がいたように、娘の彰子にも才能豊かな女房を仕えさせ、知的で文化的なサロンをつくりだします。それもこれも一条天皇が彰子のもとに頻繁に通うようになるための演出だったのです。
こうして道長の庇護を受けて紫式部という才能が花開き、千年の時をこえるロングセラー『源氏物語』が生まれたのです。
まんが/田中顕 シナリオ/大野智史 監修/倉本一宏
『小学館版 学習まんが人物館 藤原道長』より
問題の答え:正解は③
知的な話題と取り巻きへの興味で、娘の彰子のところに一条天皇を通わせようとした。
平安時代を深く知りたい人のために
『小学館版 学習まんが人物館 藤原道長』
上のまんがは、伝記まんがの決定版「学習まんが人物館」シリーズの藤原道長の巻からご紹介しました。
藤原一族の繁栄の極みというイメージがある道長ですが、彼をその栄華にまで運んだのは決して幸運ばかりではありませんでした。晩婚で娘が生まれるのが遅かったことから、上で見てきたような工夫や策略もあってようやく手にした権力だったのです。
「学習まんが人物館」シリーズは、大人にも子どもにわかりやすい伝記まんがの決定版です。上でご紹介した藤原道長のほか、『清少納言と紫式部』の巻では、宮中に仕えた女房たちの視点から同時代を描いています。
平安時代をさらに理解するために、同時代に活躍したこれらの人物史をなぞってみてはいかがでしょうか。
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構成・文/HugKum編集部