目次
新学年では、必ず学習内容の難度が上がります
春休みを控え、ちょっとほっとしている保護者の方、多いと思います。子どもたちも宿題がない春休みは一番のんびりできる時期として楽しみにしているかもしれませんね。
気候もいいこの時期、のんびりするのはとてもいいことです。でも、のんびりし過ぎるのは禁物。保護者の方はえてして「新学年になったら子どもも気持ちを切り替えてがんばるはず」と、春休みというトンネルの向こうに勉強に意欲を燃やす賢いわが子がいるものと錯覚しがちですが、それは理想にすぎません。
そして、当然ですが新学年では前の学年より学習内容がやさしくなることは決してなく、必ず格段に難度が高くなります。春休みこそ段取りよく勉強スケジュールを立て、新学年には余裕をもってのぞみたいものです。
1日1時間、苦手項目を3つ減らすことを目標に前学年の復習を
春休み期間中には外出や旅行などの予定もあるかと思いますが、日程を見ながら1日1時間程度、勉強の時間も確保したいものです。宿題がなくて余裕がある春休みこそ、勉強するチャンスと言えるでしょう。
春休みにするべきこと、それは前の学年の復習しかありません。特にしておきたいのは苦手項目を見つけてなくしておくことです。
たとえば、小学校2年生の算数なら、以下のように間違えやすい項目は決まっています。
・九九(8の段が怪しいお子さん、いませんか?)
・筆算(くり上がり、くり下がりが危険ゾーン)
・長さと量(1mは100㎝、1ℓは10㎗などの単位変換は算数の難所です)
何が苦手なのかをワークブックで明らかにする
市販のワークブックなどを使って苦手を見つけ出し、繰り返し問題を解いて理解しておきましょう。70%はすらすら解ける問題集を選んで解いていき、鉛筆が止まって進まない項目があればそこが苦手分野です。
全部解消するのは難しいという場合は、「5つのうち3つなくせばいいわ」ぐらいの気持ちでOK! 半分以上の苦手がなくなったという自信で新学年を迎えることができます。
家庭学習で一番難しいのは取りかかり。勉強スタイルは臨機応変でいい
のんびりしがちな春休み時期、子どもを家庭学習に誘導するのはことさら難しいものです。
勉強の中で一番の難関は“最初のとりかかり”です。
わが家ではだいたい夜7時30分ごろを勉強開始時間にしていました。時間が来ると、私がパチパチと手を叩き「さあ、みなさ~ん、勉強の時間ですよ~」と促して、子どもたちは皆、しぶしぶと勉強を開始していました。
最近になって子どもたちに聞くと「本当にあのパチパチ手を叩く音がイヤだった!」と口を揃えて言っていましたが(笑)。
その代り、私は勉強を始めるときはどんな姿勢、どんな場所でもいいと言っていました。
わが家のリビングにはこたつがありますが、そこで寝そべって問題集をしてもいいことにしていました。最初、だらだらと始めてもだんだん集中してくると、起き上がって座ったり、さらに集中すると机に向かって勉強するようになります。もちろん、そのまま寝そべったままでもOK! 勉強は形ではなく内容が大事だからです。
新学年の教科書に準拠したワークブックで勉強の見通しをつける
私は春休みに新学年の教科書に準拠したワークブックを買っていました。まだ教科書は配られていないので、子どもは次にどんな勉強をするのかわかりません。
大人は入学、就職など人生の節目を経てきているので新しいことにどう対処したらいいかがなんとなくでも分かっています。でも、子どもは初めて経験することばかりでその度に不安を抱きやすいのです。
私は子どもに不安という名の霧の中を歩かせたくなかったので、少しでも安心できるように、ワークブックを見せ、「こんなことをするんだね」と話していました。目次だけでもいいから見ておきましょう。五里霧中の状態から少し霧が晴れ、先を見通すことができ安心できます。
文房具を一新して、進級する喜びを実感させていました
また、私は春休みに子どもたちの文房具を一新していました。新学年を迎えるまであと数日という日、子どもたちを引き連れて近所の文房具店に行き、「好きな文房具を買っていいわよ」と言って筆箱、シャープペンシル、消しゴムなど欲しい文房具を買わせていました。子どもたちは喜んで選び、夜、文房具を枕元に置いて寝ていましたね。こうすると新学期が楽しみになり勉強へのモチベーションが高まります。
勉強するにはノリも大事! 保護者の方は名演出家になって子どもの気分をアゲて勉強へと誘導しましょう。
最近ではおしゃれでカッコいい安価な文房具がたくさん出ています。1人2000円ほどの予算があれば大丈夫。これで新学期に向けての意欲が湧いたら安いもの。ぜひおすすめしたい春のお楽しみイベントです。
親もクリアファイルを用意して書類整理の準備を
子ども用の文房具といっしょに親もクリアファイル(透明ポケットがブック形式になったもの)を用意しましょう。新学期は学校から渡されるプリントもたくさん。失くして子どもが忘れ物をしないようにプリントをもらったらすぐにファイルしておきます。
我が家は長男は青、次男は緑…というように子ども別にファイルの色を分け、表紙に学年を書いたシールを貼ってわかりやすくしていました。
一番上の子のクリアファイルはその学年が終わっても1年間はとっておくようにしていました。たとえば「遠足はいつごろあるのかしら」と思ったとき、同じ小学校に通うのであれば、上の子のクリアファイルを見てだいたいの日程が予測できるからです。
十分な備えをすることで、 親も子も楽しく新学年を始めたいものです。
こちらの記事では、佐藤ママが我が子の読解力を上げるためにやっていたことをお話ししています。
教えてくれたのは
大分県生まれ。津田塾大学英文科卒業後、高校で英語教師に。結婚後、3男1女を育て、全員が東京大学理科Ⅲ類から医学部医学科を卒業する。母親ならではのきめ細かい学習サポート法が注目されている。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、様々なメディアで発信している。著書に『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数 国語 絶対やるべき勉強法』『3男1女全員東大卒医師に!一点集中ムダ取り勉強法』(幻冬舎)などがある。
構成/今津朋子 写真/岡本尚樹(佐藤さん)