スリナムってどんな国?
南米大陸の北東部にあって、ブラジルの隣にある小さな国、スリナム。
イギリスとオランダがスリナムの領有権を争い、オランダの植民地となり、やがて1975年に独立を果たしました。ただ独立後もオランダとの関係が深く、他民族が暮らしながら、オランダ語が公用語として使われています。
そんなスリナムがどんな国なのか、順に見ていきましょう。
スリナム基本情報
まずは、スリナムの場所や面積、人口などの基本情報から確認しましょう。
国名
スリナム共和国
首都
パラマリボ
場所
スリナムがあるのは南米。東にフランス領ギニア、南にブラジル、西にガイアナと接し、北はカリブ海と大西洋に面しています。
日本との時差
12時間
日本のほうが、スリナムより12時間進んでいます。
面積
163,820㎢
日本の面積は約378,000㎢ですから、スリナムの面積は日本の約半分です。
エリア
スリナムは10の地方にわかれ、さらに各地方はレソートに分かれています。首都パラマリボ
があるのは、パラマリボ地方です。
人口
592,000人
日本で最も人口が少ない都道府県は鳥取県で、鳥取県の人口は約55万人です。つまり、スリナムの人口は鳥取県よりやや多い程度と言えます。
言語・公用語
オランダ語(公用語)、英語、スリナム語など
オランダから独立した後も、学校教育ではオランダ語で行われ、オランダ語が広く普及しています。
通貨
スリナムドル
1スリナムドル=4.3円(2024年3月26日時点)
宗教
キリスト教(プロテスタント、カトリック等)、ヒンドゥー教、イスラム教など
歴史
スリナムを初めて訪れたヨーロッパ人は、15世紀末にスリナムの地に足を踏んだスペイン人だったと考えられています。その後、イギリス人もスリナムを訪れ、続々とイギリス人を植民させていき、1650年にはイギリス人によってスリナムがイギリス領であることが宣言されました。
その後、イギリスとオランダ間でスリナムの領有権をめぐり抗争が起こり、1667年にはオランダが持っていた北米の地をイギリスに譲ることで、オランダがスリナムの植民地とすることが決まりました。そして1815年のパリ条約によって、スリナムはオランダ領土となったのです。
1954年にはスリナムが自治権を獲得してオランダ自治領となり、1975年にはオランダから正式に独立しました。
天気・気候
スリナムは赤道に近い国で、熱帯性気候。季節は、9〜11月頃の乾季と、5〜7月頃の雨季があります。気温は年間を通してあまり変化がなく、25〜28℃ほど、最高気温は34℃くらいです。
スリナムの治安・住みやすさ
スリナムの治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安はあまり良くない
外務省「海外安全ホームページ」では、スリナム全土で危険情報は発令されていません。しかし、日本とは違って海外の国なので、人込みの中でスリやひったくり、強盗、窃盗などの事件が発生しています。
また、スリナムで多く発生しているのが違法薬物や銃の密売に関連した犯罪。とくにブラジル、フランス領ギアナ、ガイアナとの国境付近では、そのような密売を巡る犯罪組織の抗争が発生しやすく、日本と比較すると人口あたりの犯罪発生率は高く、注意が必要です。
日本からスリナムを訪れるなら、置き引き、ひったくりなどの被害に遭わないように、貴重品は持ち歩かず、安全な場所に保管して、おきましょう。高級腕時計や宝石類、カメラなどを持っていると、犯罪者に狙われやすくなるため、それらは持って行かないほうが安全です。
住みやすさは疑問
スリナムの治安は、南米の中では比較的悪くはありませんが、それでもブラジル、ガイアナといった近隣諸国の治安は決していいとは言えません。
またスリナムでは、マラリア、デング熱といった熱帯性地域特有の感染症が発生しています。これらは、蚊を媒介として感染するケースがほとんど。スリナムは森林が多く、もし森林や自然保護区を訪れる場合は、防虫剤を使うほか、暑くても長袖・長ズボン・靴下をしっかり着用するといった心がけが大切です。
スリナムの衛生状態は決して良くないため、これらのことを総合して考えると、スリナムの住みやすさはいいとは言えないでしょう。
スリナムの見どころ・観光
スリナムの観光スポットや見どころをご紹介しましょう。
パラマリボ旧市街
パラマリボはスリナムの首都であり、スリナムの観光スポットとしてはずせない場所。旧市街には、大聖堂や要塞、教会などがあり、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。オランダ植民地時代の面影を残す町並みを見てまわるのは、人気の観光ツアーです。
中央スリナム自然保護区
首都パラマリボの南西約130㎞のところにある「中央スリナム自然保護区」は、手つかずの熱帯雨林が広がり、ジャガー、オオカワウソ、アメリカバクといった希少な野生動物が生息する地域。2000年に世界自然遺産に登録されています。
ペパーポット自然公園
パラマリボ郊外にある自然公園で、もともとオランダ人によるプランテーションがあった場所です。現在は熱帯林になり、リスザルなどの野生動物が生息しています。
スリナムの特徴・有名なもの
スリナムにはどんな特徴があるでしょうか?
南米最小の国
南米といえば、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、コロンビア、ブラジルなど12の国があります。この中で最も面積が小さいのが、スリナム。ブラジルやアルゼンチンのような広大な国がある一方で、スリナムは日本の面積の約半分と、とても小さい国なのです。
他民族が暮らす国
スリナムはさまざまな民族が暮らす国です。
最も多いのはインド系で、全体の27.4%を占めています。次いで、マルーン系(21.7%)、クレオール系(15.7%)、ジャワ系(13.7%)、混血(13.4%)となっています。
これだけ他民族なのは、オランダに植民地とされていた時代があったことが関係します。オランダに統治されていたとき、同じくオランダの支配下にあったインドネシアから、多くの労働者がスリナムに送り込まれました。
スリナムがオランダから独立したのは1975年と、まだ約50年しかたっていません。そのため、アジア系の人々がスリナムには多いのです。
森林率は世界一
スリナムは国土に占める森林の面積がとても多い国。国連のデータによると、スリナムの森林率は93%。
日本も森林の割合がとても高く、国土の67%が森林で占められていて、世界でも森林率の高い国として知られています。しかし、スリナムの森林率93%はかなり驚異的。
世界には森林率が0%の国も多くありますが、それだけスリナムは森林に囲まれた自然豊かな国であるということが言えるでしょう。
南米の国スリナムについて知ろう
南米は日本から遠く離れた場所。その中でも最小の国であるため、スリナムという名前を聞いたことがない方も多いかもしれません。でも、スリナムにはたくさんの民族が暮らし、森林が多く占めているなど、さまざまな特徴があります。
この記事をきっかけに、南米やスリナムという国に興味を持ってみてはいかがですか?
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文・構成/HugKum編集部