大谷の「おお」は、なぜ「OH」と書くのか?
メジャーリーグ(MLB)のドジャースの大谷翔平選手のユニフォームの背には、大谷選手の名前がローマ字で「OHTANI」と書かれています。「おお」を「OH」と書いていますが、「O」と書くのとどう違うのでしょうか?
大谷選手に限らず、一般人でも名前をローマ字で書かなければならないことってけっこうあると思います。
たとえばパスポートとかクレジットカードなどがそうです。姓名に「おお」あるいは「おう」とよむ漢字がある人は、ローマ字でどのように書くべきか悩むことが多いのではないでしょうか。
「ヘボン式ローマ字つづり」が基本のパスポートでは「OTANI」だが…
パスポートの場合はどうでしょう。パスポートを取ったことがある人ならご存じでしょうが、パスポートに記載する氏名のローマ字表記にはルールがあります。それは旅券法施行規則第五条「旅券の記載事項」により決められていて、基本的に「ヘボン式ローマ字」を使って表記することとされています。
「ヘボン式」というのは、アメリカの宣教師で医師だったJames Curtis Hepburnが、和英辞書『和英語林集成(第三版)』(1886年)の中で使ったローマ字表記からそのように呼ばれています。後に一部修正を加えられましたが、修正したものもヘボン式と呼びならわしています。たとえば、シ・チ・ツをshi ・chi ・tsu 、フ・ジをfu ・ji などと書き、英語のつづり方に基づいているものです。
「おお」という長音(「おう」も含む)のつづりは、『和英語林集成(第三版)』ではŌで、Oの上にマクロン(長音記号)を付けています。でもこのŌは現在では使われず、 O と表記することになっています。つまり、「大谷」はOTANI になるわけです。でもこれですと、「おたに」と区別できませんね。そこで、パスポートでは例外として、「おお」「おう」(末尾の「おお」は除く)の長音は、OH と表記することも認められているのです。
「OH」の元祖は「王貞治」だった?
以前、プロ野球の王貞治選手がやはりユニフォームのOHという表記で話題になったことがありました。「王」は「おう」と読みますからOUですが、「オー」と発音するので、OHの方が外国人にも分かりやすいと考えたのでしょう。「おお」「おう」をOHと表記するのは、おそらく王選手によって広まったものと思われます。
大谷選手はパスポートも「OHTANI」なのか?
大谷選手のパスポートがどのように表記されているのかはわかりませんが、「OTANI」でも「OHTANI」でもいいわけです。ただ今後は、「おお」「おう」を「OH」と表記する人が増えてくるでしょう。その方が本来の発音を表しているように思えますので。
ただ、すでにパスポートで「OH」ではない表記を使っている人は注意が必要です。一度記載した表記の変更は原則として認められていないからです。でも例外もあるようで、この長音の表記(OO,OU,UU,OH)は変更が認められるケースもあるそうです。家族内での表記がバラバラなので統一したいというケースも同様のようです。該当する人は、パスポートセンターに相談した方がいいでしょう。
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