青木裕子さんが実践する「平等」な兄弟子育て。パパ似の長男、ママ似の次男は習い事も別々。小学校受験も、性格に合わせた向き合い方を

フリーアナウンサーであり、小学3年生と5年生の男の子を育てるママでもある青木裕子さん。著書『3歳からの子育て歳時記』(講談社)にあたり、青木さんの兄弟子育てについてお話をうかがいました。

兄弟それぞれに向き合う時間を作る

「兄弟を比べず、それぞれと向き合い、ふたりとも平等に。そう心がけています」(青木裕子さん)

―兄弟育児をする中で気をつけていることはありますか?

「比べない」ことですね。次男に対しては特に、長男の経験から先入観を持ってしまいがちなので、できるだけ一人一人と向き合うことは大事だと思っています。それから、できる限り「平等」を心がけています。

—同性の兄弟だと特に、比べたり先入観を持ったりしてしまうことは多いですよね。具体的にはどのように平等にしていますか?

長男は「自分ばかり怒られている」と思っているようです。私は三姉妹の長女ということもあり、どちらかと言うと長男の気持ちがよくわかるので、長男ばかり叱っているつもりはないのですが、本人はそう思っているんですよね。ですから、例えば次男に注意する時には、あえて長男の前で言うようにしたり、「今はお兄ちゃんかわいがりタイム」を作るようにしたりします。そればかりだと次男も嫉妬するので、それぞれに対して、その時にできる「平等」を意識するようにしていますね。

—普段の生活の中で、ふたりのお子さんと過ごす時間のバランスはいかがですか?

長男はサッカーをやっているので、パパに見てもらいたいという気持ちが強いんです。なので、週末は長男とパパ、次男と私となることが多いですね。

—そうなんですね。長男×パパ、次男×ママの相性はいかがですか?

性格的には長男は夫に似ていて、次男は私に似ています。同族嫌悪じゃないですけど、自分とタイプが似ている方にイライラしてしまいがちです(笑)。私が「次男に対して本当にイライラしてしんどい!」と夫に言うと、夫は「そう?」って感じで、長男に対してのほうがイライラすると言うんです。
そういう話をしている時に、「それは流せばいいんだよ」「そこは彼のやさしさなんじゃない?」なんて話し合って、自分にはない視点に気がつくことも多いですね。一緒にいる時間の長さもあるかもしれませんが。ちなみに長男は顔もパパ似、次男は私似です。

—兄弟の仲はいかがですか?

兄弟仲はすごくいいんです。もちろんケンカもしますが、頼られたい長男と頼りたい次男でバランスを取っているようで。次男がたまに我を出すとケンカになってしまうのですが、長男が頼られているうちはすごく平和です。二段ベッドで寝ているんですが、どっちかのベッドに2人で寝ていることもあるくらいです。

習い事は兄弟で別々。同じことが合っているとは限らない

「子どもたちは、それぞれ興味を持ったことが違うので習い事も違います」(青木裕子さん)

—同じベッドで寝るのは仲がいいですね! 兄弟それぞれの習い事はどうですか?

長男はサッカーをしていて、次男は空手をしています。

—ご兄弟で違う習い事をしているんですね。長男がサッカーをしていたら、自動的に次男も、という流れも多そうですが。

もちろん、次男もサッカーの体験には行きましたが、同じチームの自分以外の子がゴールを決めたり、ボールを持っていたりすると、悔しくて泣いてしまうんです。体験に連れて行ったのが年少の頃で、小さかったのもあるんですけどね。それで個人競技を探して、周りでもやっている子が多い空手に行ってみたんです。そこで長男も一緒に体験したんですけど、全然ハマらなくて、結局次男だけ空手をやることになりました。

—兄弟で違う習い事をしてみていかがですか?

兄弟で同じ習い事をしていて、上の子が下の子に抜かれるのって気持ち的につらいこともあると思うんです。私、昔ピアノをやっていたんですけど、妹だけが賞をとったことがあって、プライドが傷ついた思い出があります。同じスポーツではなくても、それぞれが興味を持てることをできているから、結果的にはよかったと思っています。

—兄弟それぞれのタイプに合わせて接するのは難しいことですよね。青木さんは小学校受験も経験されていますが、受験の中でもそこは意識されていましたか?

そうですね。それぞれの性格に合った接し方をしていたつもりです。長男はお尻を叩くと頑張れるタイプ。自分だけ宿題をやっていないという状況を本人が嫌だと思うタイプなので、ちょっとお尻を叩くとやるんです。でも、次男はやらなくても平気で、どちらかというと褒めて伸びるタイプ。ちょっとしたことでも褒めていると、長男には「僕、連絡帳を書いただけで褒められたことなんてないよ」なんて言われるので、ちょっと困っていますけど(笑)。そういうところが兄弟育児の難しいところですよね。

子育てでは「やってあげてる」を「私がたのしいからやってる」に変えてみる

「上手じゃなくても恥ずかしくないでしょ?そう長男に言われ、ピアノの発表会に挑戦しました」(青木裕子さん)

—そこは難しいところですよね。青木さんは、育児を楽しまれているイメージがありますが、なかなかそうもいかない時もありますよね。そういう時の切り替え方や発想の転換の仕方を教えてください。

子どもに対しても夫婦関係も、そもそも人間関係全体に言えることだと思うんですけど、「あまり期待し過ぎない」ということでしょうか。いくら親とは言え「こんなにやってあげてる」という、見返りを求めるような気持が出てくることってあると思うんです。
だから、「私がやりたいと思うからやってる」くらいのスタンスで構えるようにしていますね。例えば、子どもの習い事の付き添いも「私がママ友に会うのが楽しいから行ってる」とか、その場その場で自分にとって楽しいことを見つけて、モチベーションを作って「私も楽しんでる」って思うことが大変にならないコツかなと思います。

—ママ自身が楽しむのは、子どもにとってもいいことですね!

はい。私、子ども達と一緒にピアノを習っているんですが、先生に「お母さんも発表会に出ませんか?」と言われたんです。同じ教室にピアノがすごくお上手なパパさんがいて、そのパパさんは毎年出られているんです。子どもたちに「あのパパさんみたいに上手に弾けないし、恥ずかしいから出たくない」と言ったら、「僕たちにはいつも、上手じゃなくても恥ずかしくないって言ってるじゃん」と言われて。確かに!と思い、挑戦してみたんです。自分が実際にやってみることで気づくことってたくさんありますよね。

—子どもに痛いところをつかれることってありますよね。

そうなんですよ。子ども達には「完璧な人間なんていないんだよ。お母さんにもできないことあるよね。直したいと思っているし、これでいいとは思っていないんだよ」と伝えたこともあります。母親だからといって、完璧な人間になれるわけではないじゃないですか。
例えば、習い事でお友達が勝つことがあって、子どもには「人のことも喜んであげるんだよ」と言いつつ、私自身が人の成功をいつも喜べているかと言ったら、そんないい人間じゃなかったり。だから「お母さんが言うことが全部正しいわけじゃないからね」ってことは伝えるようにしています。いろんな大人と接して、いろんな価値観と接して欲しい。親が「絶対」だと思わないで、ということは子どもに伝えたいことです。

新著書でも紹介!5月におすすめしたい親子で楽しめる体験

青木さんの新刊「3歳からの子育て歳時記」でも紹介している柏餅作りは5月におすすめ。(写真はイメージです)

—本の中では子どもと一緒にできる「体験からの学び」を季節ごとに紹介されています。5月におすすめの体験はどんなことがありますか?

5月に挙げているのは柏餅作り。何年か前に友人に誘ってもらって挑戦して以来、我が家では恒例となっているのですが、ここ3年ほど『あんこの内藤』の手作りキットを使っています。“柏餅”の名前の由来について子どもたちと話をしたり、毎年恒例にすることで、去年より今年、今年より来年は上手になっているという成長を感じる機会にもなります。
もうひとつおすすめしているのは、昆虫飼育。我が家ではクワガタやカブトムシを飼育していたこともあるのですが、ダニやコバエとの戦いが絶えません。その点、アゲハチョウの幼虫飼育は、とても快適に飼育ができて、昆虫飼育初体験の方にもおすすめです。幼虫から羽化するまでの過程を観察できるので、子どもが興味を持ちやすく、羽化した時の美しさには感動します。

—どちらも子どもと一緒に楽しめそうなことですね。

毎月、我が家で実際にやっていた体験を紹介しているので、ぜひ、みていただけるとうれしいです。そして、小学校受験や中学校受験の専門家の先生方が、それぞれの観点からアドバイスしてくださるページにも注目していただきたいです。

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2人の男の子を育てる青木裕子さんのFRaUwebの連載『子育て歳時記』を書籍化。親子の「共育」として3歳から一緒に楽しめる12カ月のさまざまな体験実例や、子どもの小学校受験の振り返り、子育てお悩みエッセイも収録。小学校受験専門サロン『コノユメSCHOOL』主宰の大原英子先生や、中学受験専門塾『スタジオキャンパス』代表矢野耕平先生のコラム、受験も勉強も教えない教室『探究学舎』代表の宝槻泰伸先生と青木裕子さんの対談にも注目です。

プロフィール

青木裕子|フリーアナウンサー

1983年1月7日生まれ、埼玉県出身。2005年に慶応大学を卒業し、TBSテレビにアナウンサーとして入社。『サンデージャポン』や『News23X』をはじめ、バラエティ・報道・スポーツ等多くの番組を担当し天真爛漫な人柄で注目を集める。2012年12月末にTBSテレビを退職し、フリーアナウンサーとして活動をスタート。2014年に第1子、2016年に第2子を出産し2児の母として、現在はモデル、ナレーション等活動の幅も広げ活躍中。Instagram@yukoaoki_official

 撮影/黒石あみ ヘアメイク/塩澤延之 取材・文/本間綾

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