知識として知っておきたい!地政学リスクって何?コロナ禍以降、注目されたワケとは【親子で語る国際問題】

いま知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は最近よく聞く「地政学リスクについて」考えていきましょう。

地政学リスクとは?

近年、テレビや新聞などでは地政学、地政学リスクという言葉がよく使われます。また、それに関する書籍も多く発刊され、海外に進出する企業の間でも地政学リスクにどう対処するかという意識が強くなっています。

簡単に説明すると?

地政学とは簡単に説明すると、地理学と政治学を合わせた用語で、国の地理的な条件をもとに、政治的、社会的、軍事的な影響を研究する学問における研究分野です。難しいような印象を受けますが、企業目線で簡単に言えば、「A国に進出しようと思っているがA国ではテロは発生しないか」、「A国は隣国B国と仲が悪いが、B国との間で戦争になることはないか」、「紛争当事国Cの隣国Dに社員5人を駐在させようと思うが、どのように対処したらいいか」などをイメージすると分かりやすいかと思います。

コロナ禍以降、地政学リスクが注目された

コロナ禍以降、ウクライナ情勢や米中貿易摩擦、イスラエル情勢などの地政学リスクを起点に想定外の事象に見舞われた企業も多く、日本企業でも有価証券報告書に“地政学リスク”に関する記載を行う企業の割合が急増しており、BCP観点も含め、企業としてレジリエンスを向上させることがきわめて重要なテーマになってきているのです。

今、一番大きなリスクとなるのは米国と中国の対立

今日、政府や企業を含め最大の地政学リスクになっているのが、米中対立です。特に、秋の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば地政学的に様々な変化が生じる可能性があり、世界中がその行方を注視しています。最近、メディアで頻繁に言われる“もしトラ”にあたります。

トランプ氏がもし、大統領になったら?

“もしトラ”が現実となれば、確実に発生するのが中国との貿易戦争です。バイデン政権も中国への貿易規制を強めているので既に起こっている現象とも言えますが、トランプ氏は大統領に返り咲けば中国からの輸入品に対して60%の関税を課すとも主張しており、そうなれば中国側も米国製品に報復関税で対抗するのは目に見えており、米中2大国が貿易戦争を仕掛けることで、世界経済は大荒れになるでしょう。

米国と欧州も分断される可能性がある?

また、“もしトラ”は米国と欧州との分断を誘発する危険性があります。欧米の分断は極めて重い地政学リスクですが、第1次トランプ政権の時、米国は国連やNATOを軽視し、欧州との関係は最悪なレベルにまで冷え込みました。その再来はなるべく避けなければなりませんが、欧米の分断は中国やロシアによる対外的な覇権活動を活発化させ、世界秩序の安定という視点から大きな化学反応をもたらす恐れがあります。

今日の世界は、グローバル化社会から大国間競争の時代に回帰し、欧米主導の世界は終わりを告げてきています。それによって今後多くの新しい地政学リスクが浮上してくるでしょう。

この記事のPOINT

  • ①地政学とは、地理学と政治学を合わせた用語で、国の地理的な条件をもとに、政治的、社会的、軍事的な影響を研究する学問における研究分野。
  • ②コロナ禍以降、ウクライナ情勢や米中貿易摩擦、イスラエル情勢などの地政学リスクを起点に想定外の事象に見舞われた企業が多い。
  • ③現在、政府や企業を含め最大の地政学リスクになっているのが、米中対立。秋の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば地政学的に様々な変化が生じる可能性があり、世界中がその行方を注視。

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記事執筆/国際政治先生

国際政治学者として米中対立やグローバスサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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