連日ほぼ満室状態「愛育産後ケア子育てステーション」の詳細をレポ!自治体補助も出てきょうだいの宿泊も可。産後ケアで「ひとりで頑張らなくていい」

「産後ケア」とは、出産後間もない女性の心身のケアや赤ちゃんのお世話の支援などを行うサービスのこと。2017年、厚生労働省が「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」を発表。2019年からは産後ケア事業への取り組みが市区町村の努力義務となっています。いつ、だれが利用できるの? どんなサービスがあるの?産後ケアの気になるあれこれについて、2023年、東京都港区にオープンした「愛育産後ケア子育てステーション」に伺ってきました。

 

2023年9月にオープンした「愛育産後ケア子育てステーション」

サービスは、宿泊型(ショートステイ)と日帰り型(デイサービス)の2タイプ。宿泊型は、産後5日目以降から産後5カ月未満までの母子、日帰り型は産後5日目以降から生後7カ月未満の母子が対象です。20239月のオープンから約半年の間、宿泊型は連日ほぼ満室の状態が続いており、日帰り型も、のべ500人以上が利用しています。

出産の1か月前から「仮予約」が可能。現在7つの自治体が利用料の助成の対象に

 

予約のタイミングは?

予約は専用サイトから行います。出産予定日の1カ月前から「仮予約」が可能。出産後にあらためて連絡し、予約を確定します。

気になる利用料金はどれぐらい?

宿泊型は、スタンダードタイプの場合、1泊あたり65,000円(税込)、日帰り型は1回あたり28,000円(税込)。ただし、産後ケア施設の多くは自治体の支援の対象になっています。条件を満たせば助成金が支給されるため、自己負担額はそれほど高額にはなりません。

自治体の助成を受けた場合の自己負担額は?

「愛育産後ケア子育てステーション」は、東京都港区、目黒区、新宿区など7つの自治体の助成の対象になっています。たとえば港区の助成を受けた場合の自己負担額は、宿泊型なら1泊あたり8,000円(課税世帯の場合。非課税世帯、生活保護世帯は全額免除)、デイサービスなら1回あたり2,000円です。

 助成を受けられる日数・回数は?

東京都港区の場合、宿泊型は最長67日まで(数回に分けて使ってもよい)、日帰り型は6回まで助成を受けて利用することができます。

助成の対象となる施設や条件、自己負担額などは自治体によって異なります。事前の申請も必要なので、施設を予約する前にきちんと調べ、必要な手続きもすませておきましょう。

決められているのは食事の時間のみ。自分の時間をマイペースで楽しめます

「愛育産後ケア子育てステーション」 では、産褥期の女性の体の専門家である助産師が利用者に寄り添ってくれます。ゆっくり体を休めることができるのはもちろん、育児や自分の体に関する不安やモヤモヤも気軽に相談することができます。

決められているのは、食事の時間だけ。あとの時間は、自由に使うことができます。赤ちゃんを預かってもらうこともできるので、のんびりお風呂に入ったり、ひとりでぐっすり昼寝をしたり……なんていうことも可能です。

おいしい3食+おやつ付き!

宿泊型は13食+おやつ、日帰り型はランチ+おやつが提供されます。共用のカフェスペースで食べることもできますが、自室での食事を希望する人がほとんどだとか。

母親のメンタル面もきめ細かくケア

入所時に提出する問診表には、メンタルヘルスに関するチェック項目が多く含まれています。回答内容に応じて助産師が見守り、サポートしていきます。利用者からの希望があれば、愛育クリニックの周産期メンタル専門医などとの面談(有料)につなげることもあります。

パートナーや小学生以上の子どもが一緒に宿泊できる部屋も完備

利用者が過ごす部屋は、3タイプ。赤ちゃんと母親の宿泊が基本ですが、予約時に希望を伝えておけばパートナー(または小学生以上の子ども1名)の宿泊も可能です。

スタンダードタイプ

ホテルのシングルルームのようなタイプで、シャワー・トイレ付き。アメニティ類やタオル、おむつなどは持参する必要があります。

 

スーペリアルーム

広さにゆとりがあり、ベッドはセミダブル、バスルームにはバスタブも。アメニティ類やタオル、おむつなども用意されています。

 

和モダンタイプ

畳マット敷きのスペースがあり、子ども(赤ちゃんのきょうだい)の宿泊も可能。シャワー、トイレ付きで、アメニティ類はスーペリアと同じものが用意されています。

心身のメンテナンスに役立つオプションケアも充実

子育てに役立つさまざまなミニ講座のほか、心身のメンテナンスに役立つさまざまなオプションケアも用意されています。

 日替わりで開かれるミニ講座

113本程度、専門家のレクチャーが受けられるミニ講座(有料)が行われています。栄養士による「離乳食講座」、小児科医による「父親教室」、歯科衛生士による「赤ちゃんと母親のお口ケア」など、テーマはいろいろ。

アロマケアやリンパマッサージも。母親のためのケアもいろいろ

安心して赤ちゃんを預けられる環境だから、アロマケアやリンパマッサージといった自分自身のケアも楽しめます。親子で楽しむヨガや赤ちゃんのためのタッチケア、小児科・産科看護師経験のあるカメラマンによる赤ちゃんの写真撮影など、楽しいプログラムも用意されています(すべて有料)。

産後ケアで「ひとりで頑張らなくていい」を実感してほしい

産後の女性に必要なのは、まずはゆっくり休むこと!これからの子育てに備えて、心と体のエネルギーを取り戻す必要があります。特に責任感が強い頑張り屋の女性は、子育ても、家事も、仕事も……と、すべてを抱えこんでしまいがちです。

「赤ちゃんの世話をひとりでこなすなんて、絶対に無理。周りの人に、どんどんヘルプを出していいんです。産後ケアの目的のひとつが、施設のスタッフに“手助けしてもらう”経験をすること。利用者さんに、ひとりで頑張らなくていい、人に頼っていいんだ、と実感してもらえたらいいな、と思っています」(愛育産後ケア子育てステーション・澁谷紀子先生)

産後ケアを賢く使って、まずは自分自身をケア!元気な体と、ほどよく緩めた心で、これからの子育てに臨みたいですね。

愛育産後ケア子育てステーション>>>

港区南麻布5-6-8 最寄り駅:日比谷線「広尾」/南北線または大江戸線「麻布十番」

※記事の内容はすべて「愛育産後ケア子育てステーション」(20246月現在)のものです。

 取材・構成/野口久美子 写真/五十嵐美弥

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