子どもに「ダンゴムシ」を飼いたいと言われたら。飼育方法は? 必要な道具やエサの与え方もチェック

ダンゴムシは人間にとって身近な生物の一つです。見つけやすく捕まえるのも簡単なので、子どもにも人気があります。子どもからダンゴムシを飼ってみたいとせがまれたら、どうすればよいのでしょうか? 飼育に必要なものや、注意点などを解説します。

ダンゴムシの特徴

公園遊びや庭いじりなどでよく見かけるダンゴムシですが、どのような特徴がある生物なのか、詳しく知らない人もいるでしょう。生物を飼育するなら、その生物の特徴を知っておいて損はありません。ダンゴムシの生態や種類について紹介します。

ダンゴムシは土を豊かにする

ダンゴムシは枯れ葉や枯れ木などを食べて分解し、土を豊かにする益虫です。名前に「ムシ」と付いていますが、実は虫ではなくエビやカニと同じ甲殻類の仲間で、脱皮を繰り返して大きくなります。

ダンゴムシにはたくさんの足が生えており、足の数は幼体のときは12本、成体は14本です。危険を感じると、柔らかいおなかを守るために丸くなって、背中の硬い殻を盾にします。

石や植木鉢の下などの湿り気のある場所を好み、寿命は2〜4年です。昼は鳥やトカゲなどの天敵に見つからないようにあまり動かずに過ごし、夜になると活動的になります。

世界中に多くの種類がいる

ダンゴムシは日本全国に分布しており、本州にいる種類の多くは「オカダンゴムシ」です。ヨーロッパを中心に生息し、日本に生息するようになったのは明治時代ごろといわれています。

世界中に多くの種類が生息し、その数は約5,000種類です。ワラジムシもダンゴムシの仲間で見た目はそっくりですが、ダンゴムシとは違って丸くなれません。

もともと海で暮らしていた種類が陸でも暮らすようになったとされ、海にも多くの仲間がいます。深海に生息するダイオウグソクムシも、ダンゴムシの仲間です。

ダンゴムシを飼育する前に用意するもの

ダンゴムシを飼育する際、特別な道具は必要ありません。ほとんどが100円均一ショップで手軽に入手でき、あまりお金をかけずに飼えます。飼育に使うものをチェックしましょう。

飼育容器

まずは、ダンゴムシを飼育するための容器を準備します。昆虫用として売られている、プラスチックの飼育ケースがおすすめです。中の様子を観察でき、土を入れる深さがある容器を選びましょう。

ペットボトルやプラスチックの容器、空き瓶などをよく洗って乾かしてから使用する方法もあります。できるだけ口が広い方が、掃除や世話をしやすくなります。

ペットボトルを使用する場合は、飲み口が付いている上半分をカットして底の部分を使いましょう。ダンゴムシの逃亡防止と、乾燥しやすい状態になるのを防ぐために、ラップと輪ゴムを使用してふたをします。その際、つまようじや目打ちなどで、ふたに空気穴を空けることが大切です。

床材

ケースの中に敷く床材は、ダンゴムシがいる場所の土か、昆虫用として市販されている腐葉土がおすすめです。昆虫用の腐葉土を使うと、ミミズやダニなどの他の生物が混入する心配が減ります。

土を容器に入らたら、落ち葉・小石・小枝などを適度に入れ、乾燥を防ぎましょう。落ち葉や小枝は、ダンゴムシのエサにもなります。園芸用のミズゴケがあれば少量入れると、乾燥防止に効果的です。

ダンゴムシは乾燥に弱いので、土を湿らせるための「霧吹き」も準備しておきましょう。土が手に入らない場合、応急的に水で湿らせたキッチンペーパーや脱脂綿などを使用する方法もあります。

エサ

ダンゴムシは枯れ葉や草の根、昆虫の死骸などを食べています。家庭で飼育する際は、キャベツ・キュウリ・ニンジンなどの野菜の皮や切れ端を与えましょう。ヘタや茎の部分など、普段は捨ててしまう部分を活用できます。

また、動物性たんぱく質を補うため、ニボシや金魚のエサなども時々与えるとよいでしょう。雑食性なので、食べられるものの範囲が広いのがダンゴムシの特徴です。何をどれくらい食べたか観察して好き嫌いをまとめてみると、ダンゴムシの食の好みを把握できます。

ダンゴムシが生息している場所に近い環境で飼育するのがコツ

ダンゴムシの飼育方法

ダンゴムシの飼育に必要なものが手に入ったら、世話の仕方も押さえておきましょう。置き場所やポイントさえ知っていれば、子どもでも世話ができます。本州に生息するオカダンゴムシの飼育方法を解説します。

ダンゴムシを採取し飼育環境を整える

3〜10月ごろに家の花壇や、公園の落ち葉の下を探すとダンゴムシの成体が見つかります。植木鉢やプランターをそっと持ち上げて、探してみましょう。

生物を飼育する際は、本来の住処に近い環境を整えてあげることが基本です。ダンゴムシがいる場所をよく観察し、もといた環境に近づけてあげましょう。

飼育容器に土を3~5cmほど入れ、その上に落ち葉や小石を置きます。あまりにも土が少ないと湿度を保てず、ダンゴムシにとって心地良い環境を作りづらいため、注意が必要です。

排泄物は土にかえるので掃除の必要はありませんが、食べ切れなかったエサは交換します。食べ残しを放置すると、コバエが湧く原因にもなります。

室内か風通しの良い日陰に置く

ダンゴムシは暗くて湿度の高い場所を好みます。暑さや乾燥に弱いので、直射日光が当たらない場所に飼育ケースを置きましょう。

雨と日差しを遮る場所なら、庭やベランダなどでも飼育できます。水分の蒸発と温度の上がりすぎを防ぐため、植木の陰や日よけを利用するなどして、置き場所を工夫しましょう。

2〜3日に1回は霧吹きで保湿します。置き場所や季節によっても乾燥しやすさが変わるので、小まめに土の様子を見てあげるのがポイントです。

ダンゴムシ飼育の注意点

ダンゴムシの飼育は子どもでも比較的簡単にできますが、注意したい点もあります。衛生面や繁殖などに関する注意点を見ていきましょう。

カビ対策をする

ダンゴムシは湿度が高い環境で飼育するので、飼育容器内にカビが生えることがあります。小まめに床材を点検し、カビが生えた部分を見つけたら取り除きましょう。

カビが生えてしまった部分だけを、スプーンなどでくりぬくように除去します。土が減ってきたら、取り除いた分だけ適宜追加しましょう。

エサと床材が直接触れるとカビが生えやすくなるので、アルミホイルやペットボトルのふたなどを使用して、エサ皿にするのがおすすめです。エサを与える場所を決めると掃除しやすく、カビが生えにくくなります。

繁殖を防ぎたいなら1匹で飼う

ダンゴムシは一度の産卵につき、10〜100個の卵を産みます。オスとメスがそろっていて環境が良いと、増えすぎる場合があるので注意が必要です。

数を増やしたくないときは1匹だけ飼うか、オスとメスを分けて飼う方法があります。体に模様があるかないかで、オス・メスを見分けましょう。背中を見たとき、黄色っぽい模様が目立つものがメスです。

中には模様があるオスもいるので、完璧に見分けるには、生殖器の有無で判断します。腹側のお尻のほうを見て、縦方向に複数の筋があるものがオスです。

ダンゴムシのオス(奥)とメス(手前)

触りすぎに注意

ダンゴムシは自分の身を守ろうとして丸くなります。丸くなる様子が面白いので、つい刺激を与えたくなってしまいますが、あまり触りすぎるとストレスを与える心配があります。

触らずに細部を観察する際には、虫メガネがあると便利です。一時的に、土などを入れていないプラスチックケースやガラス瓶などに移すと、より観察しやすくなります。

足の本数や触覚、背中の節の数など、発見した特徴を記録してみるとよいでしょう。ただ飼育するだけでなく毎日の様子を観察すると、子どもの生物の学習や夏休みの研究などに役立ちます。

 

親子でダンゴムシの飼育に挑戦してみよう

ダンゴムシは見つけるのも捕まえるのも難しくはなく、世話も簡単なので初めて生物を飼う子どもに向いています。子どもが慣れるまでは、世話の仕方を教えながら一緒に飼育するとよいでしょう。

飼育容器は一般的な昆虫用のプラスチックケースや、ペットボトルなどが使えます。雑食性なので、エサの種類も難しくありません。

室内や日陰に飼育容器を置き、湿度が高い環境になるように注意しながら飼育しましょう。ただ飼育するだけでなく、ダンゴムシを観察して日記や絵を描くなどするとよい経験になります。

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構成・文/HugKum編集部

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