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読めるけれど字を書くのが苦手な小1。なぞり書きは大好きだけど、フリーハンドで書くのが難しい年中幼児
軽度知的障害の子、読む力はありますが、頭の中でイメージする字のバランスが悪いのか、字が上手く書けないのか、書くことが苦手です。なぞり書きでもはみ出してしまいます。集中力が無いからなのでしょうか?(小1・保護者)
ひらがな練習のなぞり書きは大好きで積極的ですが、フリーハンドで書くのは「難しい。できない」と言って、書くチャレンジもしようとしません。一歩先に進ませるには、どう言った声かけがいいでしょうか?発語ゆっくりさん、読みは8割程度です。(年中・保護者)
意外なつまずきポイントがある子もいます
発達に凸凹のあるお子さんには、文字を書くのが苦手なさまざまな理由・背景があります。
たとえば、字の形のイメージがうまく頭の中に浮かばない、手と目の動きを合わせるのが難しい、頭の中でイメージした文字がうまく手の運動として伝わらない、集中力が続かないなどです。
なかには、書くときに利き手ではない手で紙を押さえるのが苦手な子もいます。そんなことで?と思うかもしれませんが、子どもにとっては思うように文字が書けないストレスにつながっているかもしれません。
子どものつまずきポイントを理解して、自分のペースでの学習を上手にサポートしてあげたいですね。
練習はじめは、画数が少なく複雑な線のない「へ・し・つ・く・け」がおすすめ
書くことの上達には、子どもの今のレベルから少しずつステップアップしていきましょう。
子どもの好きな文字から練習すればよいですが、もしこちらで選ぶとしたら、最初は「へ」「し」「つ」「く」「け」のように、画数が少なく複雑な線が含まれない文字がおすすめです。
書くことに苦手意識が強いならば、たとえば最後の1画だけ書き足せば完成する問題を出してみてはどうでしょうか?ほとんど完成している文字に最後の1画を足すだけなので、「できた!」という達成感を味わいやすいでしょう。
紙だけでなく、粘土や小麦粉などに描くこともトライ。五感で楽しむつもりで
紙に鉛筆で書くだけが、すべてではありません。いろんな感覚を使って学ぶと、より楽しく効果的に学ぶことができます。
たとえば、砂や小麦粉の上に指で文字を書いてみるのはどうでしょう。
触った感覚で文字の形が印象に残ります。粘土や紐で文字の形を作るのも楽しいですね。ひらがな文字のスポンジブロックなど、切り抜かれた文字に触れる経験も、形の特徴をつかむよい機会になります。体全体を使って文字の形を表現してみるのも、子どもにとっては新鮮な体験になるかもしれません。
消しゴムが苦手な子は意外と多い
消しゴム掛けが苦手だから失敗したくない、と思っている子は意外と多いようです。サラサラと書けてすぐに消せるホワイトボードは、書くことへの抵抗感を減らすのにぴったりです。タブレットやスマートフォンのアプリを使って文字を書く練習をすることもできます。
また、手を使って書くことに抵抗感が強いならば、書くことはいったん置いておき、文字を1文字ずつチップにして、ばらばらのチップを並べ替えて単語を作る活動もおすすめです。はじめは手元に見本を置いておき、見比べながら並べてOKです。
使う道具を工夫し、体のいろいろな感覚を使いながら、文字の形を覚え、文字の形と音を一致させていきましょう。
「ごっこ遊び」で文字への興味を育てよう
まずは”書くふり”だけ楽しむために、ごっこ遊びに書くふりを取り入れるのもいいアイデアです。
お店の会計でクレジットカードのサイン、郵便局窓口でのハンコ押し、先生が黒板に板書…生活のさまざまな場面で、文字が使われています。身近な場面に注目することで、文字への興味関心の芽ばえにつながっていきます。
書くことに限らず、学びをはぐくむ上で大切なのは、これらが子どもの努力不足ではないとまずは理解すること。また、今のお子さんが大人になるころには文字を書くことを求められる頻度は、今よりもぐっと減っていることでしょう。書くことそのものにこだわらず、柔軟に学びを進めていくこともポイントです。子どもの苦手を理解し、子どものペースを大切にしながら上手くサポートし、焦らず楽しく、少しずつ書く力を伸ばしていきましょう。
こちらの記事では寺田先生に「子どものことばの育み方」を伺っています
イラスト/べっこうあめアマミ