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沖縄の「ぬちぐすい」
沖縄には「ぬちぐすい」という言葉があります。「ぬち」は「命」、「ぐすい」は「薬」という意味。つまり「ぬちぐすい」とは、「命の薬」という意味です。薬になるような栄養が豊富な食べ物や、心も身体も元気になるような食事などを、そう表現します。
沖縄料理には、「ぬちぐすい」となる食べ物がたくさんあります。「にんじんしりしり」は、まさにその中の一つで、にんじんの栄養素をたくさん摂ることができる料理です。
そんな、美味しく栄養満点な、にんじんしりしりについて、基礎知識や、にんじんが苦手な方も食べやすくなるコツ、基本のレシピや簡単レシピなどを紹介していきます。
沖縄の家庭料理「にんじんしりしり」
沖縄の家庭料理、「にんじんしりしり」は、細く切ったにんじんを油で炒め、具には卵・ツナなどを入れ、塩やカツオ節、醤油などで味付けしたものです。最近では沖縄だけでなく、多くの場所で食べられています。
ところで、この「しりしり」とは、どういう意味なのか、気になりませんか?
沖縄の言葉で「しりしり」とは?
沖縄では「にんじんしりしり」または、「にんじんしりしりー」と語尾を伸ばしていうことが多いようですが、この「しりしり」とは、にんじんなどを、おろし金でおろすときの「すりすり」という音を表現したものだといわれています。沖縄では、にんじんなどの野菜をおろす専用の「しりしり器」というものがあり、各家庭に必ずあるそうです。
また、おろし金で野菜をおろすことを、「しりしりする」と表現する場合もあります。
「にんじんしりしり」は、にんじんの栄養価をより吸収できる料理
にんじんといえば、βカロテンが豊富に含まれていることで知られています。βカロテンは、強い抗酸化作用を持ち、目や皮膚の健康を保つために重要な栄養素です。
にんじんしりしりは、βカロテンを効率よく吸収するのに最適な調理方法なんです。
このβカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、脂溶性のビタミンです。生のにんじんをそのまま食べても、ビタミンAは、ほとんど体内に吸収されません。しかし、加熱し油と一緒に食べることで、吸収率がグンと上がるといわれています。
そのことから、油で炒める、にんじんしりしりは、ビタミンAを効率よく吸収するのにぴったりな料理なのです。
にんじんが苦手な子どもに食べてもらうコツは?
にんじんは、栄養価も高く、子どもにも積極的に食べて欲しいものですよね。しかし、「にんじんが嫌い」という子どもも少なくありません。そんなにんじん嫌いの子どもたちは、にんじん特有の青臭さが苦手であることが多いようです。
にんじんを食べやすくするポイントは、このにんじん特有の青臭さを消すことです。そのためにはどうするとよいのか、おすすめの方法を紹介していきます。
ポイント1:切ったにんじんはサッと洗う
切ったにんじんをサッと水で洗うことで、にんじんの青臭さをが軽減します。
ポイント2:油でよく炒める
切ったにんじんは、塩を入れ、油でよく炒めるのが青臭さを消すポイントのひとつ。にんじんの甘みが出て、青臭さは感じにくくなります。その際は、ごま油で炒めるのがおすすめです。香ばしい香りに仕上がります。
ポイント3:卵やツナを多めにする
上記のふたつのポイントを実施した上で、にんじんに対して、卵やツナなどの具を多めにするとさらに食べやすくなるでしょう。また、カレー粉を入れたり、子どもが好む味付けにするのも手です。
基本の「にんじんしりしり」のレシピ
基本の「にんじんしりしり」のレシピを紹介していきます。「にんじんが苦手」という方は、上記の「にんじんが苦手な子どもに食べてもらうコツ」を参考にしてみてください。
材料(2人分)
・にんじん… 1本
・溶き卵… 1個分
・ツナ缶… 1缶(油を軽くきる)
・白だし… 大さじ1~1.5
・塩… 適量
・油… 適量
・ごま油… 仕上げに適量
作り方
1.にんじんは皮をむき、スライサーでカット、もしくは包丁で千切りにします。
2.フライパンに油を入れ、温まったら、1のカットしたにんじん、塩を入れ炒めます。
3.にんじんに油が馴染んだら、蓋をして弱火で1分くらい蒸します。
4.にんじんが、ある程度柔らかくなったら、白だし、ツナを入れ、混ぜながら炒めます。
5.4に溶き卵を入れ、お好みの硬さになるまで炒めます。
6.最後にごま油を回し入れ、香りが立ったら、火を止め、完成です。
卵・ツナなし、めんつゆ使用、レンジでチンの超簡単レシピ
にんじんしりしりは、卵やツナがなくても大丈夫! 十分、美味しいんです。
卵・ツナなし、めんつゆを使ってレンジで加熱する、超簡単レシピを紹介します。卵やツナ缶がないとき、とにかく簡単に作りたいときにおすすめです。
材料
・にんじん… 1本
・めんつゆ(2倍濃縮)… 大さじ1
・塩… 少々
・ごま油… 適量
・かつお節… お好みで
作り方
1.にんじんは皮をむき、スライサー、もしくは包丁でで細かく切っておきます。
2.1のにんじんと塩を耐熱容器に入れて混ぜ、ふんわりとラップをして600Wのレンジで1分間加熱します。
3.2を1度取り出し、めんつゆを入れ混ぜます。
4.再度、ラップをして600Wで2~3分加熱します。
5.4にごま油を回し入れ、よく混ぜたら完成です。
大人はラー油でピリ辛にするのもおすすめ
最後にラー油を入れると、ピリ辛になって、ご飯のお供やお酒のおつまみにもピッタリですよ。
あると便利なしりしり器
「しりしり器」を使っておろすのは、にんじんだけではなく、大根やさつま芋にも使われるそうです。もしなければ包丁で千切りにしますが、しりしり器があると、とても便利ですね。
ののじ サラダおろし
小柳産業 ジュジュ 野菜調理器 蜂の巣
沖縄のぬちぐすい「にんじんしりしり」
美味しくて、にんじんの鮮やかなオレンジ色が明るい気分にさせてくれ、しかも栄養素を効率よく摂取できるとは、まさに「ぬちぐすい」の「にんじんしりしり」。にんじんがあったらぜひ作ってみてください。
作っておくと、冷蔵庫で2~3日は保存可能です。にんじんを大量に消費したいときにもおすすめです。また冷凍保存も可能で、カップに小分けして冷凍保存しておくと、作り置きのお弁当のおかずにもなりますよ。
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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)