皮つきの栗は下処理が必要
皮つき栗はそのまま置いておくと、乾燥して香りや糖分が抜けていき、実が縮んでしまいます。食べる前に下処理をしましょう。
栗の下処理のやり方
表面を見て、穴が開いているものは虫食いの可能性などがあるため取り除き、ボウルなどに入れて軽く水で洗いしてから、たっぷりの水に半日ほど浸けます。
生栗はそのままでも食べられる
むいた栗は、生で食べることもできます。韓国や中国では、生で食べる人も多いそう。コリコリとした食感で、香ばしい味わいですが、栗は虫がついている場合が多いので、生で食べると虫がいる場合もあるため注意が必要。また、固いので、たくさん食べると消化しにくいという難点もあります。
皮つき栗の保存方法
すぐに調理をしない場合は、どのような保存方法が良いのか紹介します。
常温で保存する場合
大きなボウルなどに水をはって、栗を水に浸しておくと1週間ほど日持ちします。1週間くらい常温保存する場合は、毎日水を替えましょう。
冷蔵保存する場合
「天日干してから」と「茹でてから」と、2通りの冷蔵保存方法を紹介します。
【1】天日干ししてから冷蔵保存
①栗拾いした新鮮な栗は水分が多いので、天日干しをすると適度に水分が抜け、甘みが凝縮します。栗の表面の汚れをふき取り、天日で1日ほど干しましょう。もしも、中に虫がいた場合でも、天日干しすることで逃げていくはず。また、穴が開いていたり、軽かったりする栗は取り除きましょう。
②その後、新聞紙で包み保存用のポリ袋などに入れ、冷蔵庫に入れます。湿気があるとカビが生えやすくなるので、新聞紙が湿ってきたらその都度交換しましょう。この状態なら、3カ月ほど保存することができます。
【2】茹でてから冷蔵保存
① 栗の表面の汚れを落とし、たっぷりの水に半日ほど浸ける。※浮いてきた栗やごみは取り除く。
②鍋に栗を入れ、たっぷりの水を注ぎ、塩を加える(水1リットルに対し10グラム)。
③ 強火にかけ、沸騰させる。
④ 沸騰したら火を弱め、小粒なら30~40分、大粒なら50分ほど茹でる。
⑤火からおろし、そのまま冷ます。
鬼皮ごと茹でた栗が冷めたら水分を拭き取り、保存袋に入れて冷蔵庫へ。3日ほどで食べ切るようにしましょう。
冷蔵保存の注意点
栗は低い温度で保存すると糖度が増すので、野菜室より冷蔵室やチルド室などで保存すると、美味しい状態が保てます。
冷凍保存する場合
皮つき栗を冷凍する場合も、2通りのやり方を紹介します。
【1】そのまま冷凍保存
栗の表面の汚れをふき取り、穴が開いていたり、軽かったりする栗は取り除きましょう。冷凍保存用のジッパー付きの保存袋などに入れ、できるだけ空気を抜いて冷凍庫へ。
冷凍すると、長期保存ができる上、一度冷凍すると、栗の鬼皮も渋皮も簡単にむけるようになるという利点もあります。皮つき栗は冷凍しても、味もほぼの劣化しないのでおすすめです。
【2】茹でてから冷凍保存
冷凍保存する場合は、皮付きのまま固めに茹でます。水分をよく拭き取り、冷凍用保存袋に重ならないように並べて冷凍庫へ。1カ月くらい保存可能。
解凍方法
自然解凍(30分くらい)。冷凍すると、鬼皮も渋皮もむきやすくなります。
生むき栗の保存方法
生のむき栗は、常温保存できません。また、冷蔵保存でも3日以内に使い切るようにしましょう! どうしても、日持ちさせたい場合は、砂糖をまぶして冷凍保存する方法があります。
冷蔵保存する場合
生のむき栗を保存している間に虫が繁殖しないよう、水をはったボウルなどに入れて冷蔵保存し、なるべく早く調理しましょう。
冷凍保存する場合
生むき栗を長期保存するときは、冷凍が一番。ただし、そのまま冷凍保存すると、乾燥して実が縮んで味も劣化してしまいます。
そこで、まんべんなく砂糖をまぶし、冷凍用保存袋に入れて空気をしっかり抜いて冷凍庫で保存しましょう。砂糖をまぶすと、実が縮むことを防止するだけではなく、栗本来の色もキープすることができます。約2カ月保存可能。
解凍での注意点
冷凍した生むき栗は、解凍するとベチャベチャになってしまいます。調理する際は、砂糖を軽く水洗いしてから、凍ったまま使いましょう。
甘露煮にして保存する
むき栗は、甘露煮にしても美味しく保存することができます。
甘露煮の作り方
◆材料
(作りやすい分量)
栗・・・500g(皮をむくと正味400gくらい)
水・・・2カップl
砂糖・・・300g
みりん・・・大さじ2
塩・・・少々
くちなしの実・・・1個
◆作り方
① 栗の鬼皮と渋皮をむく。(一度、冷凍すると鬼皮と渋皮が剥きやすくなります)※渋皮を残さず、むくことが大切。仕上がりが違ってきます。
② 皮をむいた栗を10分ほど水にさらし、あくを抜く。
③ くちなしの実を、お茶パックなどに入れて麺棒などで叩いて割る。
④ 厚手の鍋に水、砂糖、みりん、塩、③を入れて火にかけ、砂糖を溶かす。
⑤ ④に栗を静かに入れ沸騰したら、落し蓋をして弱火で20〜25分ほどじっくり煮る。
◆ポイント
栗が、鍋の中で踊らないよう弱火で煮ましょう。煮崩れの原因になります。弱火でコトコト煮た後、そのまま鍋の中で冷まし、味をしみ込ませます。
甘露煮の保存方法
できあがった甘露煮は、シロップにつけた状態で、常温では3日ほど、冷蔵では1週間、冷凍なら半年ほど保存できます。
また、煮沸消毒した保存容器にシロップごと入れて密封すると、冷蔵庫で3カ月ほど日持ちします。
文/斉藤和美(フードコーディネーター)
栗を使ったスイーツレシピ
栗の甘露煮をたくさん使って、アレンジレシピにも挑戦してみませんか。甘露煮を使ったスイーツレシピを2選紹介します。
【1】栗のマフィン
栗の甘露煮も使ってしっとり仕上げ。まったりと濃厚な栗の甘味がリッチな気分にさせてくれます。
◆材料
(マフィンカップ小6個分)
栗の甘露煮 6個
甘栗(中身) 6個
バター 80g
きび砂糖(または上白糖) 大さじ4
卵 1個
【A】
小麦粉 100g
ベーキングパウダー 小さじ1
◆作り方
【1】栗の甘露煮は汁を取り分け、栗を細かく刻む。甘栗も同様に刻む。
【2】ボウルにバターときび砂糖を合わせてよく混ぜ、栗の甘露煮の汁と溶き卵を加えて混ぜる。合わせてふるった【A】、栗の甘露煮、甘栗(?1/5量を残す)を加え、さっくり混ぜる。
【3】【2】をマフィンカップに入れ、残りの甘栗をのせ、180℃のオーブンで20~25分焼く。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネーター、飾り巻き寿司インストラクター1級。男の子のママ。育児経験を生かした簡単で栄養バランスのとれた料理やかわいいレシピが人気。
『ベビーブック』2014年11月号
【2】あずきクリーム栗どら焼き
卵をしっかり泡立てるのが、生地をふんわりさせるコツ!
◆材料
(8個分)
ホットケーキミックス 150g
卵 2個(100g)
【A】
水 大さじ2
メープルシロップ 大さじ2と1/2
みりん 大さじ2
しょうゆ 小さじ1/2
【B】
ゆであずき(缶詰) 100g
ホイップクリーム(市販) 適量
栗の甘露煮 小8個
◆作り方
【1】ボウルに卵を入れ、白っぽく泡立つ までしっかりと泡立てる(電動なら3分目安)。【A】を加えて混ぜ、ホットケー キミックスを加え、さっくりと混ぜる。
【2】フライパンを中火で熱し、一度、ぬ れぶきんに置いて少し冷ます。弱火に し、【1】の生地大さじ1強を直径7cmほ どに流し入れ、1分30秒~2分して気泡が出てきたら裏返し、1分ほど焼く。
【3】【2】を2枚一組にしてラップに包み、 蒸らしながら冷まし、【B】を等分に挟む。
教えてくれたのは
市瀬悦子さん
フードコーディネー ター、料理研究家。「お いしくて、作りやすい家 庭料理」をテーマに、書籍、雑誌、テレビなどで活躍中。
『ベビーブック』2016年2月号
構成/HugKum編集部