8割以上が「ペットの死を経験」
皆さんの家では、犬、猫などのペットを飼っていますか? 経済産業省の調査によると、犬の登録頭数は2010年前後をピークに右肩下がり、ペット用品販売額もここ数年で頭打ちとなっていると分かります。
ただ、現在はいないけれど、昔は飼っていたという人を含めれば、かなりの人がペットとの生活を経験しているのではないでしょうか。
実際、ランダムに選んだ全国の読者会員(有効回答数639)に「飼っていたペットが死んだ経験は?」と聞くと532人が「ある」と答えています。
「ペットを飼ったことがない」は66人、「ない」が41人ですから、大半の人がペットとの別れを経験していると考えられます。
都市におけるペットの弔い方
そうなると、素朴な疑問が生じます。ペットが最期を迎えた時、飼い主たちはその亡きがらをどうしているのでしょうか。
筆者が子どものころは(筆者の育った地域の場合)、近くの山に埋めるといった考え方が一般的でした。しかし、今思えば、誰の所有かも分からない山に勝手に入って埋めていたのだと予想されます。
また、都市部への人口集中が続く現代は、山そのものが近くにない地域に暮らす人も少なくないはずです。現に、日本の都市化率は9割以上、言い方を変えれば、都市部に住んでいない人の割合は全人口の1割以下です。
庭もなければ、身の回りに土すらない地域に暮らしている人からすれば、ペットの最期はどのように弔えばいいのでしょうか。
犬・猫の場合は「業者に依頼」が主流
HugKumが独自に行った調査では、死んだペットの種類別に弔いの方法を聞いています(複数回答可)。
犬、猫、および(または)その他ほ乳類のペットの死を経験した人の弔い方を多い順に並べると次のとおりでした。
- ペット用の埋葬業者に依頼・・・240人
- 自宅の周辺に埋めた・・・170人
- 自宅から遠いところに埋めた・・・27人
- 有機物のごみとして処分した・・・13人
- 自分で焼却・散骨した・・・3人
- その他・・・53人
「ペット用の埋葬業者」とはペット霊園や斎場を意味します。さすがに「家族の一員」に心理的にも近く、個体も大きな犬・猫の場合は、業者を利用する人が主流派なのですね。
ペットの葬儀、骨上げを専用のお寺で行った。その後、遺骨は、骨つぼに入れて専用のお寺の納骨堂に個別に安置している(女性・神奈川県)
火葬場でお骨にした(女性・東京都)
車で火葬できるペットの葬儀屋さんにお願いしました(女性・千葉県)
2番目に多かった「自宅の周辺に埋めた」との回答は、自宅の庭を意味する場合が多いようです。
愛犬火葬してから骨つぼに入れて写真の横に1年くらい置いていましたが、自宅の庭に埋葬しました(男性・新潟県)
自宅の庭に穴をあけて埋めました(女性・愛知県)
庭に埋めた(女性・奈良県)
同じほ乳類でも、ペットの個体と種類によって、業者と庭への埋葬を使い分けている人も目立ちます。
1匹は家の脇に埋め、1匹は業者で火葬してもらいました(女性・埼玉県)
犬は火葬して、集団埋葬へ。シマリスは庭に埋めました(女性・大阪府)
もちろん中には「有機物のごみとして処分」する人も一定数いると分かります。
燃えるごみの袋に入れて処分した(女性)
ただ、大型の動物は埋葬業者へ、小型の動物は庭に埋めるといった回答者一般の行動から考えると、ごみ袋で処分されたペットの種類は、犬・猫よりも小型のほ乳類の動物と予想されます。
鳥、爬虫(はちゅう)類は「自宅の周辺に埋める」
現に、死んだペットが、鳥、爬虫(はちゅう)類、両生類、魚、および甲殻類など、一般に小型の生き物の場合、業者への発注が極端に減り、自宅周辺に埋めて対処する人が主流派になります。同時に、有機物のごみとして処分する人も上位に目立つようになります。
・鳥の亡きがらをどのように処理したか(複数回答可)
- 自宅の周辺に埋めた・・・97人
- ペット用の埋葬業者に依頼した・・・5人
- 自宅から遠いところに埋めた・・・4人
- 有機物のごみとして処分した・・・1人
- 自分で焼却・散骨した・・・1人
- その他・・・6人
・爬虫(はちゅう)類・両生類の亡きがらをどのように処理したか(複数回答可)
- 自宅の周辺に埋めた・・・58人
- 有機物のごみとして処分した・・・4人
- ペット用の埋葬業者に依頼した・・・3人
- 自宅から遠いところに埋めた・・・2人
- 自分で焼却・散骨した・・・1人
- その他・・・5人
・魚・甲殻類の亡きがらをどのように処理したか(複数回答可)
- 自宅の周辺に埋めた・・・187人
- 有機物のごみとして処分した・・・31人
- 自宅から遠いところに埋めた・・・6人
- 自分で焼却・散骨した・・・3人
- ペット用の埋葬業者に依頼した・・・1人
- その他・・・15人
いずれにしても、生き物の最期の瞬間を粗略に扱わず、真心をもって弔っている飼い主の行動が読み取れます。
ペットの死から「命」について学ぶ
ペットの弔いの際、命のはかなさについて、何らかの感情を抱いた人が過半数を超えることも調査で分かりました。わが子がその場にいた場合、命について・死について、子どもと語り合ったと答える人も目立ちます。
命や死との向き合い方・弔い方についての詳細は、識者にアドバイスしてもらった記事も公開していますが(リンクは記事末)、今回の調査でも、ペットの死を通じて親子でさまざまな会話をしている様子が明らかになっています。
短い命だったけれど夏の暑い日を頑張って生きたね、一緒に夏休みを楽しく過ごせたねと(子どもを)慰めました(女性・東京都)
命の大切さを(子どもに)教えました(男性・東京都)
命あるものはいつかなくなるんだと教えます(女性・鹿児島県)
(ペットに対する)イタズラのお詫びを(親子で)手紙にしたためた(男性・岐阜県)
「ペットはぬいぐるみとは違って生き物なのだから、いつか必ず死んでしまうときが来る。ペットを飼うときには、こういったことをしっかりと頭に入れておかなければいけない」というようなことを話した(女性・埼玉県)
一生懸命生きたけど星になって天国に行ってしまったよ。いつもママと一緒にお世話してくれてありがとう(と伝えた)(女性・静岡県)
天国へいったんだよ(と伝えた)(女性・山形県)
※ かっこは筆者補足
* * *
ペットとの生活は、最期の瞬間も含め、楽しい時間ばかりではありません。しかし、人間よりも寿命の短い生き物との生活を通じて、人生の一時期、何らかの特別な感情をペットと共有できると分かる調査結果になりました。
今、家庭内でペットを飼おうか迷っている方もぜひ参考にしてみてください。
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文/坂本正敬
参考・ペットブームは頭打ち? – 経済産業省
・2050年 世界人口の7割が都市住民へ – NISSEY
・国際情勢 2012年~2022年 日本の都市化率 – statista