「膾炙」とは?
まずは、『膾炙』の読み方と意味を確認しておきましょう。
読み方と意味
この言葉は『膾炙』と書いて「かいしゃ」と読みます。「世の人々の評判になって知れ渡ること」を意味します。
由来・語源
「膾」は「なます」、「炙」は「あぶり肉」という意味があります。
「なます」と言えば、おせち料理の紅白なますを思い浮かべる方もしれませんが、古くは、魚・貝・獣などの生肉を細かく刻んだものを指します。どちらも味がよく、多くの人の口に喜ばれるというところから、世の人々の評判になって知れ渡ることを『膾炙』といいます。「人の口に喜ばれる」ことが由来になっていることから、悪い評判では使われません。
四字熟語「人口膾炙」という表現も
『膾炙』そのものにも「広く人々に知られている」という意味がありますが、「人口」と合わせて使われることが多い言葉です。ここでの「人口」は人の口。ただしここでは上述した「人の口に喜ばれる」の意味ではなく、「多くの人の口にのぼる」「話題になる」という意味での人の口です。
そのため、四字熟語「人口膾炙」は、広く世間に知られてもてはやされることを表します。
使い方を例文でチェック!
ここからは、『膾炙』の使い方を例文を通してチェックしていきましょう。
1:このキャッチフレーズは広く世間に『膾炙』して、流行語大賞を受賞した。
老若男女に知れ渡り、流行語となるような言葉は『膾炙』していると言えます。
2:彼の発明品はすっかり人口に『膾炙』している。
人々に知れ渡り、役に立っている様子は『膾炙』が使えます。
3:ノーベル賞を受賞した彼女の名前はあっという間に『膾炙』した。
ノーベル賞という栄誉ある賞を受賞し、名前が知れ渡る様子は『膾炙』と表現できるでしょう。
類語や言い換え表現は?
ここでは、『膾炙』に似た意味を持つ言葉をご紹介します。
1:もてはやす
「もてはやす」はしきりに褒めるという意味。「他にくらべるものがないほど優れている、と大勢で褒める様子を表した言葉です。いい意味で名前が知れ渡る『膾炙』に似た言葉と言えそうです。
2:ブームになる
「ブームになる」とは、多くの人々から高い関心を得ること、世間から評価されて人気が出ることを表します。多くの人の人気や評価を得る点で、『膾炙』の言い換え表現となりそうです。
3:話題になる
「話題になる」は人々からの評価や関心が高くなる様子を表す言葉。評判になって知れ渡る『膾炙』に近い表現と言えそうです。
4:脚光を浴びる
世間の注目の的となる「脚光を浴びる」。世間の評判になるさまが『膾炙』と似た表現です。
対義語は?
ここでは、『膾炙』の逆の意味にあたる表現を紹介します。
1:知る人ぞ知る
「知る人ぞ知る」は広く知られてはいないけれど、ある一部の人にはその存在が非常によく知られているさまを表した言葉。人々に広く知られている「膾炙」の逆の意味になります。
2:マイナーの
「マイナーの」はあまり人々に知られていない様子を表す言葉。世の人々に知れ渡る『膾炙』とは反対の意味の言葉と言えます。
3:無名の
世間に名が知られていないことを表す「無名の」。広く人々に知られている『膾炙』とは逆の意味と言えるでしょう。
英語表現は?
では、『膾炙』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『膾炙』の英語表現をご紹介します。
1:be well‐known
「be well‐known」は「よく知られている・周知の」という意味のフレーズ。The saying is well‐known to everybody .(その諺はよく知られている)のように使います。『膾炙』と同様の表現と言えます。
2:on everybody’s lips
直訳すると「みんなの口に乗る」という言い回しで、「みんなの話題になる」という意味です。『膾炙』と同じく、口を使って評判であることを表しています。
3: popular among ~
「~の間で人気のある」という表現です。「popular among girls」(女の子たちに人気がある)のように使います。
書けなくても読めると便利な「膾炙」
今回は『膾炙』という言葉の意味や語源から、使い方、類語、対義語、英語表現までをご紹介してきました。一見難解な漢字ではありますが、語源を聞けば、忘れにくい言葉でもありますね。類語や対義語などの関連語もあわせて覚えておきましょう。
あなたにはこちらもおすすめ
構成・文/kidamaiko