目次
もしも夜に、地震などの災害で停電したら…
こんにちは。管理栄養士・防災士・災害食専門員の今泉マユ子です。
皆さんは、「もしも夜に、地震などの災害で停電したら…」と想像してみたことはありますでしょうか? 現代の私たちの暮らしでは、どこかに灯りがついていることがほとんどなので、灯りが一つもない状態というのはなかなか想像しにくいかもしれません。でも、突然まっ暗闇になったら……。その場から動くこともできず、何もできない、とても怖いものです。
入浴中に停電しても大丈夫!「停電時自動点灯ライト」が暗闇を回避!
たとえば、お風呂に入っているときに停電したら、どうなるでしょうか?
もしかすると、次にもっと大きな揺れがくるかもしれませんし、どこかに避難しなければならないかもしれません。危険な時は風呂桶をヘルメット代わりにしてバスタオルを巻いてすぐに避難してください。すぐに避難しなくても大丈夫なときは、衣服を着て余震に備える必要がありますが、真っ暗で何も見えなかったら、体を拭いて服を着ることも難しいはず。
さらにその時に、ガラスが割れて床に破片が散らばっていても、それに気づくこともできずに足を怪我してしまいます。ちょっと想像しただけでも危険がいっぱいです。そして、暗闇というだけで恐怖心は膨らみますから、落ち着いて行動ができなくなってしまうかもしれません。
なぜ、今、私がこのような「入浴中」というシチュエーションを例に挙げたかというと、実は私自身が入浴中に地震で停電した経験をしたからです。でも、その時、私をそんな恐怖感から救ってくれたのが洗面所につけておいた、「停電時自動点灯ライト」でした。
停電した際、洗面所につけてあったこのライトがパッと点いてくれたおかげで、私は本当に心の底から「これをつけておいてよかった」と安堵して、落ち着いて服を着ることができました。
これは、コンセントに差しておくと充電され、停電時に自動で点灯。コンセントから引き抜けば、懐中電灯としても使用することができます。「停電時自動点灯ライト」には人感センサータイプや明暗センサータイプなどがあり、我が家では場所によって使い分けています。
電気を消すと30秒光るタイプの「ピオマここだよライトS」を2階廊下のコンセントにさしています。
廊下の電気を消しても寝室に行くまで明かりがついているので、子どもが小さい時から愛用しています。停電すると自動に点灯するので、普段から役立ち、もしもの時も活用できます。
そして、コンセントから引き抜けば、懐中電灯としても使用することができます。
おすすめ!声だけで灯りを操作できるLED電球。取り外して懐中電灯として使用も可能
こちらは、部屋の電球として使用するタイプの「音声操作防災LED電球」。
電球の中にリチウムバッテリーが内蔵されていて、普段、電気をつけている際に自動充電されます。つまり、家の中のシーリングライトの電球をこれにしておけば、停電時も「普段通りの明るい部屋」が7、8時間は持続できるので安心です。
また、取り外して懐中電灯として使用も可能。
AI音声認知システムを搭載していて、呼びかけ一つで、点灯させたり、SOS救難信号の発信もできます。
株式会社ビザイア 音声操作防災LED電球>>
日光をためて夜間に点灯するソーラーライトは家の周囲に
また、我が家では、玄関周り、庭にソーラーライトを置いています。
日光をためて夜間に点灯してくれるので、普段から節電にもなりますし、停電の際には家の周囲の灯りとして役立ちます。
懐中電灯がどこにあるのかが一目でわかるように
また、灯りの備えとして、まず思いつくのは懐中電灯ですよね。懐中電灯は準備しているお家も多いと思いますが、大切なのは、真っ暗な状態でもすぐに手に取れる場所においてあるかどうか。
よく「避難リュックの中に入れています」とおっしゃる方がいますが、その避難用リュックがどこにあるかと伺うと、押し入れの奥だったり、クローゼットの棚だったり。それでは、真っ暗闇の中、懐中電灯を探すのは難しいと思います。ぜひ、置き場所を確認してください。
「灯り」は各部屋に一つ、家族一人につき一つ以上を用意
なお、懐中電灯にはいろいろなタイプがあります。
一般的な手持ちタイプだけでも大小さまざまな商品あり、どの大きさの電池でも使えるタイプや、ラジオが一体になっている多機能ライトもあります。
ヘッドタイプはおでこにつけるので両手が空き、避難する際にお子さんの手を引いたり、荷物を持ったりすることができます。首掛けタイプも便利。ランタンタイプはテーブルの上などに置くと、食事の際などに役に立ちます。
灯りは各部屋に1つと家族1人につき1つ以上、複数用意するのがポイントです。いろいろなタイプのライトを組み合わせて備えることをおすすめします。
発光する「蓄光テープ」がお役立ち!懐中電灯に貼っておけば安心です
さらに、私がおすすめしているのが、懐中電灯に「蓄光テープ」を貼っておくこと。
皆さん「蓄光テープ」をご存じでしょうか。これは、日光や電球の光が当たるとその光を溜めておき、暗いところでは発光するという素材を使ったテープです。東急ハンズやロフト、ホームセンターやインターネット通販で購入できます。
なんと、釣り道具屋さんでも購入できます。釣り竿の錘に貼っておくと暗い海中で光るので、魚を引き寄せるために使用するようです。100円ショップでも売っていますが、できれば「高輝度」と書かれているものがおすすめ。光の持ちがよく、数時間持つと思います。
私はこれを、家中の懐中電灯に貼っているので、停電した際は、このテープが光って懐中電灯の場所を教えてくれます。また、懐中電灯以外にも、ドアノブに貼っておくと逃げ道となる扉の位置が一目でわかってとても役に立ちます。
また、普段の生活でも役立ちます。部屋の電灯のスイッチにも貼っておけば、真っ暗な部屋に入っても、スイッチの場所がすぐにわかるので便利です。階段の滑り止めにも蓄光テープが貼ってあるので、もしもの時も安心です。
停電時の命を守るための「灯り」は、日常の生活で使ってこそ
さて、ここまでご紹介した「停電時に役立つ灯り」は、停電時用の特別なものではなく、普段の生活で使用しながら、万一の時に備えるものが多くなっています。
というのも、最近の防災では「日常」と「非常時」を分けて考えない「フェーズフリー」という考え方が主流になっています。フェーズフリーとは、防災グッズとして特別なものを用意するのではなく、普段の生活の中で使いながら、非常時にはそのまま役に立つものを備えることを言います。
たとえば、食品の場合、特別な時の「非常食」を購入してストックすると、しまいこんだままになり、気づいた時には賞味期限が切れということも多いのではないでしょうか? フェーズフリーの食の備蓄では、普段食べ慣れている好きな味のレトルト食品や缶詰を少し多めに購入して備蓄。普段の食事で定期的に消費するようにします。
灯りも同様に、普段の生活で使いながら、非常時の備えにするようにしましょう。
真っ暗闇を経験することでさまざまな気付きがあります
私は入浴中に地震で停電するという体験によって、灯りを備えることの大切さを実感しましたが、普段の生活からはなかなかイメージが湧きませんよね。まずは一度、夜に家中の電気を消して真っ暗闇を体験してみましょう。明かりを消して懐中電灯で食事をしてみてください。それだけでもさまざまな気づきがあると思います。
防災というと、やるべきことがいろいろあり、何から手をつけていいかわからないという方もいらっしゃいます。そんな方に私がお伝えしたいのは「まずはやれることから、ひとつでもいいから、何かやってみる」ということです。ひとつやってみると、次に何をしたら良いかがわかってくると思います。
生活用水の備えについて。こちらの防災記事もおすすめ
教えてくれたのは
株式会社オフィスRM 代表取締役。管理栄養士として大手企業社員食堂、病院、保育園に長年勤務。食育、災害食、SDGsに力を注ぎ、2014年に管理栄養士の会社を起業。レシピ開発を行い、防災食アドバイザーとして全国で400以上講演を行う。2024年「日本災害食学会2024年学術大会ポスター発表」1位受賞。著書は「SDGsクッキング」「もしもごはん」「防災教室」シリーズなど22冊。レトルトの女王、缶詰の達人とも呼ばれ、テレビ出演300以上、ラジオ出演280以上になる。新聞、雑誌、WEBサイトなどでも活躍中。