一人っ子の割合は?
国立社会保障・人口問題研究所が2021年6月に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、子どもをほぼ生み終えた結婚持続期間15~19年の夫婦では、出生子ども数の割合は以下のように分布しています。
- ・0人:7.7%
・1人:19.7%
・2人:50.8%
・3人:18.6%
・4人:3.2%
この調査結果によると、2021年の一人っ子の割合は19.7%でした。
一人っ子の割合の推移
一人っ子の割合がどのように推移しているかも見ていきましょう。同調査によると、結婚持続期間15~19年の夫婦のうち、出生子ども数が1人の割合は、以下のように推移しています。
- ・1977年:11.0%
・1982年:9.1%
・1987年:9.6%
・1992年:9.3%
・1997年:9.7%
・2002年:8.9%
・2005年:11.7%
・2010年:15.9%
・2015年:18.5%
・2021年:19.7%
2005年までは10%前後で推移してきた一人っ子の割合は、それ以降上昇が続いており、2021年には20%近くになっています。
参考:国立社会保障・人口問題研究所|第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
一人っ子が増加している理由
一人っ子が増えているのはなぜなのでしょうか? ここでは一人っ子増加の理由として「晩婚化」と「就職氷河期の影響」について解説します。
晩婚化
一人っ子が増えている理由として、晩婚化が挙げられます。晩婚化により一人っ子が増えている根拠として、二つの調査を見ていきましょう。
内閣府男女共同参画局の「結婚と家族をめぐる基礎データ」によると、2000年の平均初婚年齢は女性27.0歳・男性28.8歳で、第1子出生時の妻の平均出産年齢は28.0歳でした。
一方2019年の平均初婚年齢は女性29.6歳・男性31.2歳で、第1子出生時の妻の平均出産年齢は30.7歳となっており、平均初婚年齢・平均出産時年齢ともに上昇していることが分かります。
また「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、妻の初婚年齢が高いほど、平均出生子ども数が少ないことが分かっています。
2021年調査では、妻の初婚年齢が25歳未満だと平均出生子ども数は2.11人、25~29歳だと1.87人、30~34歳だと1.61人、35歳以上だと1.03人でした。
参考:内閣府男女共同参画局|結婚と家族をめぐる基礎データ
:国立社会保障・人口問題研究所|第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
就職氷河期の影響
就職氷河期の存在も、一人っ子の増加に影響していると考えられています。就職氷河期世代とは、1990年代~2000年代に就職活動を行った世代のことです。
国立社会保障・人口問題研究所の実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」で出生子ども数の調査対象となっているのは、2021年時点で45~49歳の人のため、ちょうど就職氷河期世代に当たります。
日々の暮らしに手いっぱいの状況の中、経済的な理由から「第二子は育てられない」と生むのをためらう環境があったと考えられます。
一人っ子のメリット
「一人っ子だと寂しいでしょ」「一人っ子は協調性がないから」などと言われることもありますが、一人っ子だからこその良さもあります。ここでは一人っ子ならではの、育児のメリットをチェックしましょう。
子どもとしっかり向き合える
一人っ子だと子どもと1対1でじっくりと向き合えます。他の子どもとのバランスを考えることなく、目の前にいる子どもの遊びや勉強などに付き合うことも可能です。
時間に余裕を持ちやすいため、精神的にも安定した状態を保ちやすいでしょう。子どもが親の愛情を一身に受け、安心して自分らしくのびのびと成長していける環境をつくりやすくなります。
経済的な負担を減らせる
子どもを育てるにはお金がかかります。教育費はもちろん、日々の食事や衣類を購入する費用なども必要です。
一人っ子であれば子どもを育てるために必要なお金は、兄弟姉妹がいる場合よりも少なく抑えやすいでしょう。経済的な負担が減る分、将来に向けて貯金をしたり、暮らしを豊かにしたりすることが可能です。
例えば、子どもが「習い事をしたい」と言ったときに希望をかなえやすくなるほか、旅行やレジャーへも行きやすくなります。
計画を立てやすい
キャリアプランを考えるときに、今後の見通しを立てやすいのも一人っ子のメリットです。一人っ子であれば産休や育休を取得するのは1回のみのため、兄弟姉妹がいる場合よりも休む期間を少なく抑えられます。
比較的短い期間で復帰できる上、その後は休む必要がないため、キャリアを計画通りに形成しやすいでしょう。
また家族で出かけるときや学校行事へ参加するときにも、一人っ子であれば兄弟姉妹の予定を確認する必要がない分、計画を立てやすいメリットがあります。
一人っ子のデメリット
愛情やお金を集中させやすく、キャリアの見通しも立てやすい一人っ子ですが、育児をする上でデメリットもあります。
「かわいそう」といった偏見
周りの人が抱く偏見は、一人っ子のデメリットといえるでしょう。
実際には寂しい思いをしていなくても「一人っ子だから寂しいでしょ」と言われたり、かわいそうな思いを抱くようなことはないにもかかわらず「一人っ子でかわいそう」と言われたりすることがあるそうです。
また「一人っ子だからわがまま」というように、性格や行動についてレッテルを貼られて指摘されるケースもあります。
子どもだけの自由時間を取りにくい
兄弟姉妹がいない分、一人っ子は親と過ごす時間が多くなります。親は休日になると子どもにつきっきりになることも多く、自由に過ごす時間をなかなか取れないかもしれません。
特に小さなうちは一人遊びがうまくできないため、子どもの遊びに付き合って休日が終わってしまう、といったことも起こり得ます。
自由時間を取りにくいときには、親として子どもに付き合うのではなく、親も子どもと一緒に好きなことをする時間を過ごすとよいでしょう。例えば子どもがお絵描きをしている横で親は読書をするというように、同じ空間でそれぞれが楽しむ過ごし方もあります。
一人っ子は今後も増える?
一人っ子の増加傾向は、今後も続くとは限りません。国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、結婚後5~9年と10~14年の夫婦では、平均出生子ども数が下げ止まっているためです。
結婚後5~9年・10~14年の夫婦は、これから子どもが生まれることも考えられるため、この年代が結婚後15~19年になったときの調査では、一人っ子の割合が低下する可能性もあります。
ただし一人っ子の割合が低くなったとしても、少子化が解消されるとは限りません。こども家庭庁の「結婚に関する現状と課題について」によると婚姻数が減少しているためです。これにより今後も出生数は減っていくと考えられます。
参考:国立社会保障・人口問題研究所|第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
:こども家庭庁|結婚に関する現状と課題について
[まとめ]およそ5人に1人が一人っ子
晩婚化や就職氷河期の影響を受けて、近年の調査では一人っ子の割合は上昇傾向です。
「一人っ子はかわいそう」「一人っ子は協調性がない」といった偏見を持たれることもありますが、実際には親の愛情たっぷりに育てられますし、経済的にも余裕を持ちやすく、キャリアの見通しも立てやすいメリットもあります。
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構成・文/HugKum編集部