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TikTokが抱える問題点
動画を投稿して楽しむTikTokは、多くの問題点を抱えています。利用するのであれば、TikTokが抱える課題をしっかり理解しておくことが重要です。TikTokの問題点を4つ解説します。
個人情報流出のリスク
TikTokに動画を投稿している場合、投稿した動画から個人が特定されるリスクが懸念されます。「個人の特定につながる情報は撮影しないようにしよう」と意識して動画投稿を行っていたとしても、動画に映り込んだ些細な情報から、個人情報が流出したり、個人が特定されたりする可能性があるのです。
また、TikTok上でつながった他人とDMやコメントを通してやり取りする中で、「この人なら信頼できる」と思い込み、個人の特定につながる情報を教えてしまう場合もあります。
流出した個人情報が悪意のある第三者の手に渡れば、オンライン上での嫌がらせやストーカーなどの被害に遭う危険性があるため、注意が必要です。
誹謗中傷を受けるリスク
TikTokに動画を投稿している場合には、投稿した動画をきっかけに誹謗中傷を受けるリスクがあることを理解しておきましょう。
悪意のあるユーザーは、問題のある動画はもちろんのこと、全く問題のない動画に対しても、投稿者を傷つけるようなコメントを投げかけます。また、たとえ相手を傷つけようと目論んでいなくても、「無自覚な悪意」で相手を誹謗中傷してしまう一般ユーザーも存在します。
TikTokは活発にユーザー同士のコミュニケーションが行われているSNSなので、コメントを通して誹謗中傷を受けるリスクも高いといえるでしょう。個人の努力だけではリスクをゼロにできないのが、誹謗中傷問題の難しいところです。
見ず知らずの人とつながるリスク
TikTokはSNSの1つであるため、使い方を制限しなければ、見ず知らずの人とつながることができてしまいます。赤の他人とつながる最大のリスクは、自身に対して好意的な人だけでなく、悪意を持った人とつながってしまう危険性をはらんでいることです。
悪意を持った人の代表例が、TikTokを通してリアルな出会いを求めている人です。場合によっては性的な接触を目的に出会いを求めている人もいるため、十分注意する必要があるでしょう。
SNSは、リアルな世界では言いにくい本音を打ち明けやすい環境といえます。本音を言い合える環境では、知り合った相手と心の距離が縮まりやすいため、相手の悪意に気づかず、自ら進んで悪意のある他人と接触してしまうケースがあります。
動画が無断転載されるリスク
投稿した動画が、投稿者のあずかり知らぬところで他者の目にさらされてしまう危険性があるのも、TikTokの問題点といえるでしょう。
TikTokの動画は、投稿者が許可している場合、ユーザー個人のデバイスにダウンロード可能です。ダウンロードされた動画が再度SNSにアップされれば、簡単に無断転載ができてしまいます。
不適切な動画を投稿してしまい、その動画がTikTokユーザーにダウンロードされれば、元の動画を削除したとしても、TikTokユーザーのデバイス上やSNS上に動画が残り続けます。
また、もしもダウンロードされた動画が加工されて再投稿されれば、さらに事態は深刻です。元の動画の趣旨とは違うメッセージを付加されて発信されれば、あらぬ誤解を生んでしまうかもしれません。
世界は「TikTok禁止」にかじを切っている
今世界は「TikTok禁止」の方向に歩みを進めています。TikTokを普通に使用している一般ユーザーからすれば、この動きは理解し難いかもしれませんが、この動きは紛れもない事実です。世界が「TikTok禁止」に乗り出している理由と現状を解説します。
なぜTikTokは規制の対象になっているのか
世界各国が「TikTok禁止」に動き出している背景には、中国国内で制定されたある法律が関係しています。「TikTok禁止」の発端となっているのが、2017年6月に中国国内で制定された「国家情報法」です。
国家情報法とは、中国国内にある企業や市民に対して、中国政府による情報収集活動に協力することを義務付ける法律です。
この法律の制定により、中国に本社を置くTikTokの運営会社「ByteDance」は、中国政府に求められれば、TikTokユーザーに関する情報を中国当局に提供せざるを得ないと考えられています。
出典:#192 【米国『TikTok』禁止法成立】その後の各国の状況と日本への影響 | 株式会社JOETSUデジタルコミュニケーションズ
TikTok規制に関する近年の動向
重大な情報漏洩のリスクが指摘されているTikTokについて、イギリス・フランス・カナダなどの各国政府は、公用端末でのTikTok利用を禁止しました。日本政府においても、公用端末においてTikTokに代表されるSNSの利用を禁止しています。
中でもTikTokに対して厳しい姿勢を取っているのがアメリカです。2020年当時のトランプ政権下で、アメリカ国内でのTikTokの使用禁止が方針として示されたのです。即時の禁止には発展しなかったものの、TikTok規制の流れは止まりませんでした。
2024年4月、アメリカ議会でいわゆる「TikTok禁止法」が可決されます。TikTok運営会社のByteDanceに対し、アメリカ事業の売却が求められました。
これに応じなかったByteDanceは、2025年1月19日、アメリカ国内でのサービスを一時停止しました。しかし、トランプ次期大統領(当時)の方針転換により、その日のうちにTikTokのサービスは復旧されるに至りました。
また昨今でいえば、TikTokに対して制裁金を科す動きを見せている国々もあります。代表例がイタリアやアイルランドです。
出典:アメリカでTikTokが停止から再開へ:規制問題とマーケティング戦略について考える
TikTokを安全に使用するための対策
TikTokはさまざまな問題をはらむSNSです。しかし使い方を工夫すれば、TikTokが抱えるリスクを最小限に抑えられます。TikTokを安全に使用するためにできる4つの対策を紹介します。
動画を撮影して投稿しない
動画に映り込んだ情報に端を発する個人の特定を防止するには、TikTok上に動画を投稿しないのが最も確実です。動画を投稿しなければ、悪意のあるユーザーからの個人攻撃を受けることもなければ、不適切な動画投稿で炎上する心配もありません。
ただしTikTokは、自分で動画を投稿してこそ真の楽しさを感じられるSNSともいえます。見る専門のユーザーで居続けさせることは楽しみを制限することでもあるため、子どもに強制する場合には、「動画を投稿するリスク」について子どもに理解させる必要があるでしょう。
しかし、たとえ動画を投稿しない場合であっても、TikTokに代表されるショートビデオに依存してしまうことで、生活に支障が出る可能性は拭いきれません。投稿をしない場合でも、視聴時間の制限も重要です。
個人の特定につながる情報を映さない
TikTokで動画を投稿するのであれば、個人の特定につながる情報が動画に映り込まないようにすることが肝心です。個人の特定につながる情報の例としては、下記のようなものが挙げられます。
・顔
・本名
・制服
・部屋から見える景色
・自宅付近の飲食店や病院
・マンホール
例えば、人物の映像を投稿するときは「首から下を映す」「ステッカーやエフェクトを使って顔を隠す」などの対策が重要です。
インターネット上で暗躍する特定班(個人情報を調べ上げる活動を行う人々)は、「まさかこんなところから」とびっくりするような情報を元に個人を特定します。動画を投稿する際は、被写体や背景に十分注意しましょう。
DM機能やコメント機能を使わない
悪意のある他人とつながるリスクを回避するには、DM機能を使ったり動画にコメントを書き込んだりしないことが有効です。見ず知らずの人とやり取りをする機会をなくせば、リアルで会うことを求められたり、個人情報を教えてほしいと頼まれたりすることはなくなるでしょう。
ただし、DMやコメントを制限すると、人とのコミュニケーションを取るチャンスが一気に失われてしまいます。DMやコメントの制限は、SNSであるTikTokのおもしろさを制限することにつながります。
「リアルでのつながりがある友だちに対してはDM機能を使う」というように、臨機応変に対応するのが望ましいといえるでしょう。
アカウントの設定を非公開にする
TikTokのリスクを最小限に抑えるには、使用するアカウントを「非公開」に設定するのが適切です。アカウントの設定を非公開にすると、許可した相手以外は下記のアクションができません。
・非公開アカウントをフォローする
・非公開アカウントが投稿した動画や自己紹介などを閲覧する
・非公開アカウントのフォローリストやフォロー中のユーザーリストを閲覧する
アカウントを非公開にすると、友だちや家族など許可したユーザー以外とつながれなくなるため、悪意のあるユーザーからアカウントを守ることが可能です。
親ができる子どものTikTok管理方法
子どもにTikTokを使わせるのであれば、保護者である親の管理の下で利用させるのが理想的です。親が実践できる子どものTikTok管理方法を紹介します。適切に管理し、子どもを悪意のあるユーザーから守りましょう。
利用する前に子どもとルールを決めておく
TikTokを子どもに使わせるのであれば、子どもと一緒に「TikTokを使うルール」を決めておくのがおすすめです。
TikTokは、子どもからすれば楽しいことがあふれている世界といえます。そのため、何のルールも設けないままTikTokの世界に子どもを放り込めば、どんどん楽しいことを求める中で、知らず知らずのうちに危険に身をさらすことになります。
TikTokを子どもに使わせるのであれば、そばにいる大人がTikTokの特性やシステムを理解した上で、子どもと一緒にルールを作りましょう。一方的にルールを押し付けるのではなく、子どもと共によりよいルールを考えることが大切です。
ペアレンタルコントロール機能を活用する
子どもにTikTokを使わせるのであれば、TikTokに搭載されている「ペアレンタルコントロール機能」を活用しましょう。ペアレンタルコントロールとは、保護者による子どものTikTok利用を制限する機能です。
ペアレンタルコントロール機能を活用すれば、下記のようなことが可能です。
・1日の視聴時間の上限を設定する
・視聴時間やアプリを開いた回数を観察する
・プッシュ通知のミュート時間を設定する
・検索キーワードを制限する
・DM機能を完全にオフにする
ペアレンタルコントロールを上手に活用すれば、TikTokが抱えるリスクから子どもを守ることができます。
TikTokを使うなら問題点を理解しておこう
そもそもTikTokは、規約上13歳未満の子どもは使えないことになっています。もし小学生以下の子どもにTikTokを使わせているのであれば、今すぐに利用を停止させるのが適切です。
13歳以上の子どもがTikTokを使うのであれば、子どもと一緒にTikTokの問題点を共有し、「TikTokを安全に使用するにはどうすればいいのか」を共に考える必要があります。問題点を正しく理解し、適切なリスク対策を講じた上でTikTokを楽しみましょう。
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構成・文/HugKum編集部