1,000円札の北斎の名画が期間限定公開! 芸術鑑賞と美食体験ができる「すみだ北斎美術館」とアフタヌーンティー「冨嶽三十六景」がオススメ

夏休みのお出かけ先としてイチオシが、1,000円札でおなじみ「神奈川沖浪裏」の版画が展示中の「すみだ北斎美術館」。葛飾北斎の作品の魅力を子どもにもわかりやすく解説した「あ!っと北斎」が開催中です。子どもが鑑賞しやすいおしゃべりOKな時間帯もあります。
さらに水上バスでホテルに移動し、北斎がテーマのアフタヌーンティーで、大人もうれしい美食体験をいかがでしょう? 涼しい室内で親子で楽しめ、夏休みの自由研究にも最適です。

北斎の名作を楽しく学べる「すみだ北斎美術館」の企画展

妹島和世氏によるモダンなデザインの「すみだ北斎美術館」。

日本画や浮世絵を子どもと鑑賞したいけれど、子連れで美術館に行くのは少しハードルが高いイメージがありますよね。

でもご安心ください! 8月31日まで開催の「すみだ北斎美術館」の企画展「あ!っと北斎~みて、みつけて、みえてくる浮世絵~」では、子どもやはじめて浮世絵を鑑賞する人にもわかりやすい解説で、北斎や門人の作品が紹介されているんです。

夏休みの自由研究にもオススメ。会場で「あ!」っと驚く気づきがたくさん。そんな本展の見どころをご紹介します!

見どころ① あの世界的な名画の「Great Wave」に鳥肌が立つほどの感動!

北斎の代表作の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」すみだ北斎美術館蔵(通期)。(※取材許可をもらい特別に撮影。展示室は撮影禁止)。

なんと言っても、見どころはこちらの「冨嶽三十六景」の代表的な一図、「神奈川沖浪裏」。東海道の宿場である神奈川宿(現在の横浜市神奈川区)の沖から富士山を眺めた図です。

波の間に見える船は、江戸湊(現在の東京湾)やその他周辺の地域から江戸へ新鮮な魚を急いで送るための押送船(おしおくりぶね)です。

海外では「Great Wave」とよばれ、日本でも1,000円札の絵柄にも採用された馴染みのある絵ですね。

はじめて見る本物の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」!

北斎の代表作の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」すみだ北斎美術館蔵(通期)。

教科書や様々なデザインで見たことがある方も多いと思いますが、当時摺られた本物を見る機会はあまりないと思います。

大波が水しぶきをあげながら力強く立ち上がり、それに揺さぶられる船に乗る人々、そして、静かにたたずむ富士山。

版画自体は、想像していたものより小さいのですが、間近で鑑賞できるので、小さな版画の中の「Great Wave」の迫力に鳥肌が立ちました。

見どころ② 展示に子どもも楽しめるたくさんの工夫がある!

子どもの興味をひくデザインの展示。

本展では、その名の通り「あっ!」と驚く絵の共通点や違い、隠れた工夫や構図など、なるほど! という発見がたくさんあります。カラフルで可愛らしいイラストやサインがちりばめられて、子どもの興味をひく工夫が随所に。

そもそも、浮世絵ってなに?

展示は浮世絵とはなにかという丁寧な解説から始まります。

「すみだ北斎美術館」によると、「浮世」という言葉は、もとは仏教用語だったそう。北斎の活躍した江戸時代には現代風という意味が加わり、「浮世絵」とは江戸時代の庶民の生活などを描いた絵で、これを描く人を浮世絵師とよびます。

また、浮世絵には浮世絵師が直接描いた肉筆画と、絵師、彫師、摺師(すりし)など、作業を分担して制作する版画があります。木版画の技術の発達により大量に印刷が可能になり、庶民に広まっていきました。

葛飾北斎ってどんな人?

江戸時代中後期に活躍した浮世絵師で、「冨嶽三十六景」シリーズなどの代表作があります。数え19 歳で浮世絵師としてデビューし、90 歳で亡くなるまで生涯絵師として活躍し続けました。北斎の作品は海外の芸術家にも大きな影響を与えました。

違いを見つけてみよう!

初摺に近い「冨嶽三十六景 山下白雨」すみだ北斎美術館蔵(前期)。

こちらは「神奈川沖浪裏」とともに北斎の「冨嶽三十六景」シリーズを代表する作品の「冨嶽三十六景 山下白雨」です。

山裾の黒い雲と雷、上空の青空という対照的な天候を描くことで、富士山の大きさや高さを表現した作品です。

浮世絵版画は一回で200枚ほどを摺ることができるといわれています。初摺(しょずり)は版元や絵師が立ち会い、初摺に近いほど作者の意図が反映されているという特徴があるそうです。

後摺(あとずり)になるほど、板木の傷みの影響が出たり、絵の改変が行われたりすることもあるとのことで、展示ではその違いを見比べることができます。

北斎の直筆の肉筆画や「北斎漫画」も!

北斎が直接描いた肉筆画の「柳に燕図」すみだ北斎美術館蔵(前期)。
  • その他、版画だけではなく、一点しかない北斎の直筆の肉筆画や、お子さんも楽しめる動物や幽霊などが描かれた、いわば絵の百科事典のような「北斎漫画」なども展示されているので、北斎の世界観を満喫することができます。

見どころ③ 子どもが楽しめるトークフリータイムの日がある!

展示内には椅子もあり、トークフリータイムの日には親子で絵について話すことができます。

子連れで美術館に行く際に心配なのが、子どもが静かにしていられるか、という点ですよね。

もちろん、静かな環境で作品をじっくり眺めることも大事ですが、「すみだ北斎美術館」では作品を見て話し合うことや、感想を伝え合うことも大切にしています。

本展ではお話をしてもOKなトークフリータイムを設定! この時間帯は、気軽に会話しながら鑑賞できるので、お子さんのはじめての美術館見学にもオススメです。

トークフリータイム実施日

・7、8月の第4水・木曜日
7月23日(水)、24日(木)、8月27日(水)、28日(木)

・企画展関連イベント実施日
7月19日(土)、21日(月・祝)、8月2日(土)、9日(土)

各日13:00~16:00、会場の館内すべての展示室が対象。どなたでも観覧可能。

見どころ④ 自由研究もできる&謎解きで楽しくまわれる!

左から展示のリーフレット(有料)、謎解き(無料)、自由研究ワークシート(無料)。

本展では、テーマが考えやすくなる自由研究ワークシートを無料配付しています。

さらに、「北斎で自由研究!」のイベントも8月2日に開催。テーマの事例や自由研究の意義を講師から聞いた後、ワークシートを使いながら北斎や浮世絵をテーマとした課題の設定と進め方を考えます。

謎解きやリーフレットもオススメ

また、作品や解説を細かく見て、クイズを解きながら鑑賞する「浮世絵で謎解き! ~北斎の言葉~」もぜひ挑戦してみてください。クイズを解きながら鑑賞をさらに深めることができます。

展覧会の構成に沿って、オールカラーで見どころをたどることができるリーフレットも自由研究の資料にも記念のお土産にもオススメです。

「北斎で自由研究!」

日時:2025年8月2日(土)・14:00~15:00(開場13:30)
料金:無料(企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要)
対象:小中学生
申し込みはウェブサイトの応募フォームから

いつでも見られるわけじゃない!

そのうち行こうかな…ではダメなんです! 実は、作品を守るため、1年のうち1作品の展示は1ヶ月と限られています。今回、オリジナルが展示された作品は「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を含め、企画展が終われば2025年では最終展示になってしまいます。

夏休みに穴場のお出かけ先!

これだけ素晴らしい作品が揃っているのに、まだあまり知られていない「すみだ北斎美術館」。「すみだ北斎美術館」によると多いときは来館者の7割が外国の方で、日本人が少ない日もあると話していました。涼しい館内で、夏休みは穴場のお出かけ先ですよ!

『北斎を学ぶ部屋』には精巧なレプリカもあるので、そちらはいつでも見ることができますが、ぜひ、企画展に合わせて親子で訪れてみてくださいね。

「あ!っと北斎~みて、みつけて、みえてくる浮世絵~」

2025年6月24日(火)~8月31日(日)予定
3階企画展示室(前後期で一部展示替えを実施)
前期:6月24日(火)~7月27日(日)
後期:7月29日(火)~8月31日(日)

>>>「すみだ北斎美術館」ついてはこちらから

移動は、水上バスが便利!

水上バスの屋上デッキからの眺め。東京スカイツリーなどの名所を眺めながら楽しく移動ができます。

美術鑑賞の後は、水上バスの「東京水辺ライン」にて、芸術をテーマにしたアフタヌ ーンティーが楽しめるホテルの「メズム東京」へ向かいます。

ウォーターズ竹芝と浅草・両国・お台場・葛西臨海公園などの各方面を結ぶ水上バス「東京水辺ライン」。予約不要で乗船できるので、電車やバスと同じ感覚で気軽に利用できます。(※葛西臨海公園行きは不定期便のためHPを確認の上、ご乗船ください。)

美術館のある両国リバーセンターからウォーターズ竹芝までは、1時間ほど。屋上デッキにも上がれるので、海風受けながらの乗船は気持ちがいいですし、橋をくぐるときは間近に迫って大迫力の船ならではの体験で、子どもたちも大興奮でした。

テーブル席もある!

涼しくて快適な船内。スカイツリーもバッチリ見えました。

飲食の持ち込みが可能でテーブル席もあるので、景色を楽しみながらおやつタイムも楽しめます。また、東京の観光名所をアナウンスで説明してくれるので、手軽に旅行気分を味わうことができます。

隅田川にかかる佃大橋は、もともとは大阪の佃の漁師が集まる場所で、佃煮の発祥地であるなど思わず「へぇ」となる東京の豆知識も増えました。

>>>東京水辺ラインについてはこちらから

北斎がテーマのアフタヌーン・エキシビションで美食体験!

「メズム東京」の16階のバー&ラウンジ「ウィスク」では、浜離宮恩賜庭園と東京湾を眺めながアフタヌーン・エキシビション「冨嶽三十六景 前期」を楽しむことができます。

名画鑑賞、東京観光を楽しんだ後は、水上バスの乗り場のウォーターズ竹芝の目の前にあるホテルの「メズム東京」で葛飾北斎の「冨嶽三十六景」をテーマにした アフタヌーン・エキシビションを楽しみました。季節のフルーツなどがテーマのアフタヌーンティーはよくありますが、アートがテーマのものは珍しいですよね。

北斎の魅力が満載! 香りと味覚で楽しむ絵画鑑賞

「冨嶽三十六景 前期」のアフタヌーン・エキシビション。そば粉のガレット、「柚子の薬」(左)と北斎の代表作の版画の「神奈川沖浪裏」(右)をイメージしたモクテル、メインのスイーツ(後方)。

本プログラムは、序盤では江戸時代を生きた北斎の暮らしを現代風に表現したアペタイザーから始まります。

質素ながら創作に情熱を注いだ日常を想起させるそば粉のガレット(写真中央)に、北斎が調合していたとされる「柚子の薬」に着想を得たモクテル(左)をそえ、彼の人物像と江戸の食文化を表現しています。

メインでは、「冨嶽三十六景」から象徴的な11作品を選び、甘党として知られる北斎の嗜好に着想を得たスイーツを展開。蓋を開けると煙の中から小菓子が現れるサプライズ演出とともに、アートと味覚が交差するひと時を楽しむことができます。

北斎の世界観が体感できる11種類のスイーツ!

どのスイーツも印象的でしたが、特に注目したいのが「深川万年橋下」という作品をモチーフにした「ライスババロア」。万年橋のアーチ型の下に富士山が現れる構図。橋の下を行きかうお米や野菜を運ぶ船から着想を得て、やさしい甘味のライスとミルクで仕立てたライスババロアです。

スイーツの解説が書かれたパンフレット。

北斎の版画に着想を得たスイーツの解説が書かれたパンフレットもあり、北斎の絵を学びながら、スイーツを楽しむことができます。

特に、「すみだ北斎美術館」で本物の版画を鑑賞した後に北斎の作品にちなんだスイーツを頂くのは、北斎の創作背景や人となりを追体験でき、他では体験できない感動があります。

絵画を鑑賞しただけでは単に見ただけで終わってしまいがちですが、アフタヌーンティーで味覚や香りが加わることで、より強い印象が残り、素晴らしい体験になりました。

東京観光もできるオススメコース

「すみだ北斎美術館」→「東京水辺ライン」→「メズム東京」の「冨嶽三十六景 前期」の順番で、午前中に美術館に行き、午後にアフタヌーンティーを楽しむコースがオススメ! 涼しい美術館とホテルのラウンジで、夏休みのお出かけ先にぴったりですので、ぜひ、親子で訪れてみてくださいね。

「冨嶽三十六景 前期」(メズム東京16階 バー&ラウンジ「ウィスク」)

前期期間:2025年6月1日(日)~8月31日(日)
平日:14:00~/ 14:30~ / 15:00~ / 18:00~
土日・祝日:14:00~/ 14:30~/ 15:00~
料金:7,000 円~ (消費税・15%のサービス料込み)

前期は2025年6月1日(日)~8月31日(日)、後期は9月1日(月)~11月30日(日)までの二部構成で開催予定です。

>>>予約は こちらから(※前日21:00までの予約が必要)

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文・写真/Rina Ota

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