子どもを育てるためには何かとお金がかかるもの。では、日本の子育て家庭の平均世帯年収はいくらなのでしょうか?子育て世帯の年代別の年収や世帯年収の中央値を紹介するほか、子育て家庭の理想の世帯年収についてもご紹介しましょう。
日本の子育て家庭の平均世帯年収を調査
日本の子育て家庭では年収はどのくらいあるものなのでしょうか?
世帯年収とは?手取りの金額の違い
年収の話をするときに基本として知っておきたいのが、年収と手取りの金額について。年収は1年間の間の収入のことを指し、毎月の給料のほかボーナスも含めた金額を言います。会社員の場合は毎年源泉徴収票を受け取りますが、その中の「支払金額」にあたります。
一方、給料を受け取ってもそこから所得税や住民税などの税金と、厚生年金保険や健康保険、雇用保険などの社会保険料が引かれて、残った金額が給料として振り込まれることとなります。これが「手取り」と呼ばれるものです。
つまりさまざまな調査で言われる「年収」と、私たちが受け取る「手取り」には差があるということを覚えておきましょう。また「世帯年収」は夫や妻など、住居と生計をともにする家庭の合計年収のことを言います。
子育て家庭の平均年齢
まず、子育て家庭というのは親が何歳くらいの世帯を指すのでしょうか?末子が 18 歳未満のふたり親世帯またはひとり親世帯の合計4,000世帯を対象に行われた、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「第3回(2014)子育て世帯全国調査」によると、父または母の平均年齢は40.1歳でした。子育て家庭をしている親の平均年齢は、40歳前後といえそうです。
第3回(2014)子育て世帯全国調査(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
子育て家庭の世帯年収
では子どもがいる家庭の世帯年収はどのくらいでしょうか。厚生労働省「平成29年国民生活基礎調査」の結果から、18歳未満で未婚の児童のいる世帯の所得金額についてみてみましょう。
500~600万円 12.4%
世帯年収500~600万円の世帯は、18歳未満で未婚の児童のいる世帯全体のうち、12.4%を占めました。
600~700万円 12.1%
世帯年収600~700万円の世帯は、18歳未満で未婚の児童のいる世帯全体のうち、12.1%を占めました。
700~800万円 9.5%
世帯年収700~800万円の世帯は、18歳未満で未婚の児童のいる世帯全体のうち、9.5%を占めました。
800~900万円 10.3%
世帯年収800~900万円の世帯は、18歳未満で未婚の児童のいる世帯全体のうち、10.3%を占めました。
1000万円以上 18.6%
世帯年収1000万円以上の世帯は、18歳未満で未婚の児童のいる世帯全体のうち、12.1%を占めました。
子育て家庭の世帯年収の中央値
子育て家庭の世帯年収の中央値については、648万円でした。全世帯の中央値が442万円ですので、子育て家庭は働き盛りの世代ということもあり、世帯年収が高くなる傾向にあることがわかります。ちなみに子育て家庭の世帯年収の平均値は739.8万でした。
子育て家庭の平均世帯年収の推移
子育て家庭の世帯年収の平均が700万円を超えたのは、2014年調査の時点から。2014年には712.9万円、2015年は707.6万円、2016年は739.8万円と、毎年平均収入額の上下の変動は見られますが、少しずつではあるものの収入が上がってきているようです。
夫と妻の平均年収中央値
子育て家庭の世帯年収の平均が約700万円前後であることがわかりましたが、では夫と妻の年収の内訳はどうなるでしょうか?
明治安田生命による0~6歳までの子どもがいる家庭の男女に行われた調査結果によると、男性の年収は600万円未満が19.3%ともっとも多く、500万円未満(17.1%)、700万円未満(12.2%)と続き、平均は606万円でした。
同じく妻に行われた年収の調査では、100万円未満が14.9%ともっとも多く、200万円未満(13.5%)、300万円未満(9.1%)と続き、平均は149万円でした。
夫と妻、世帯年収の割合の平均値
これらの結果を合わせると、夫(606万円)と妻(149万円)の収入をあわせた世帯年収の平均は755万円でした。
子育て家庭の理想の世帯年収はどれくらい必要?
子育てを行う家庭にとって、現在の年収は十分といえるものなのでしょうか?理想の年収金額はどれくらいになるのでしょう。
HugKum編集部では、0~12歳の子がいる親を対象に、子育てにはどのくらいの世帯年収が必要だと思うかアンケート調査しました。子どもの人数1人~3人について、それぞれ聞いてみました。
Q.子ども一人育てるには、どれくらいの世帯年収が必要だと思いますか?
子ども一人の場合、一番多い回答は同率の15.7%となった「400万円~499万円」と「500~599万円」。続いて14.9%の「800万円~899万円」でした。家庭の生活スタイルや教育方針によると思いますが、子ども一人育てるには400万円~899万円のあいだで回答が割れました。それぞれの理由も見てみましょう。
400万円~499万円・500万円~599万円
600万円~699万円・700万円~799万円
800万円~899万円
現状400万円~500万円台で足りていると考える方や、子どもの進学や老後のことを考えると600万円~700万円台の世帯年収が必要との声が聞こえてきました。600万円がゆとりを持てる最低ラインと回答した方もいらっしゃいます。また、500万円でも全く足りない、子どもが望む教育を受けさせたいなどの理由から800万円以上と回答した方も。
続いて、子ども2人になるとどれくらいの年収が必要になるか聞いてみました。
Q.子どもを二人育てるには、どれくらいの世帯年収が必要だと思いますか?
子ども2人の場合、子ども一人では9.9%だった世帯年収「1000万円以上」が21.5%に上昇。続いて「700万円~799万円」が17.4%、「500万円~599万円」が12.4%の結果になりました。
1000万円以上
700万円~799万円
500万円~599万円
子どもが一人のときに比べて教育にかかる費用も衣食も倍になる、兄弟で同じ習い事をさせたいと考えるため必要な世帯年収も上昇。1500万円くらいは欲しいと回答の方も。さまざまな習い事させたい、旅行にも連れて行ってあげたいと考えると理想の金額もあがってきます。
そして、子どもが3人いる場合はどのくらい必要かも聞いてみました。
Q.子ども3人育てるには、どれくらいの世帯年収が必要だと思いますか?
子どもが3人になると、世帯年収「1000万円以上」がさらに上昇して33.1%に。続いて多かったのは「700万円~799万円」が12.4%、「900万円~999万円」が9.9%と続きます。それぞれの理由も見てみましょう。
1000万円以上
700万円~799万円
900万円~999万円
子ども三人、全員に習い事や塾通いをさせたいと思うと1000万円以上は必要、2000万円は欲しい、などの声が聞こえてきました。衣食や教育のほかに子どもに持たせる携帯代や、人数にあわせた家や車を持つとなるとそれなりにお金もかかります。国や自治体の制度を利用すれば700万円台あればいいと考える人も。
子どもの人数によってもそれなりの世帯年収があれば暮らしていけると考える方がいるいっぽう、教育にお金をかけたり、私立に通わせると考えるとより多くのお金が必要となります。余裕を持って子育てをするにはお金も必要になってくるのですね。
子育てにお金の不安を感じるなら
現実に得られる収入と、理想とする収入には開きがあることがわかりました。では、できるだけ世帯年収を増やして、余裕を持って子育てできるようにするためには、どんな工夫をしたらいでしょうか。
夫婦2人で働く
子育て世帯では、妻が仕事をしないで家庭にいるケースが多いですが、世帯収入を増やすのならぜひ夫と妻の2人で働くことを選択肢として考えてみましょう。妻が仕事に出れば、子どもを保育園に預ける必要性や妻の配偶者控除を受けられなくなるといったデメリットもありますが、妻の収入が増えればトータルで考えてプラスになることでしょう。
夫婦それぞれの副業も考えてみる
副業が広く認識されるようになってきています。平日の夜や週末などの時間を利用して、本業とは別の仕事をして収入を得る方法です。「仕事は1つ」という固定概念をなくして、無理なくできる範囲で副業についても考えてみれば、毎月数万円でもプラスアルファの収入を得ることができるかもしれません。
固定費が大きいものは見直しを
毎月の固定費として家計を占める割合が大きいのが、車や携帯電話代など。これらの金額をすこしでも抑えられるプランに変更するなどすれば、年間で数万円程度を節約することも可能です。「毎月かかるものだから」と見過ごさず、思い切って見直してみると家計を少しでも楽にすることができるかもしれません。
転職を考えてみる
収入を大きく増やす方法に転職があります。今までのキャリアを活かした仕事に就ければ、大きな収入アップも夢ではありません。もちろん転職にはリスクもありますので、夫婦でよく話し合い、転職という選択肢の可能性について考えてみることも方法の1つとしてあるのではないでしょうか。
子育て支援制度を活用する
各自治体でさまざまな子育て支援制度が設けられています。出産一時金から育児休業給付金、児童手当、医療費助成など。これらは広く知られていないことも多く、子どもを持つ家庭であれば自分が暮らす自治体の子育て支援制度にどんなものがあるのか、申請すれば自分たちも利用できるものがないか、一度調べてみると良いでしょう。
子育てはお金が必要!年収アップの方法も検討してみて
子育てにはお金がかかります。実際の年収と比べて理想と大きな差が出るのも、そんな理由があるからでしょう。でも年収をアップさせる方法はありますから、ぜひ夫婦や家族で一丸となって子育てを楽しく体験できるように工夫をしてみてはいかがでしょうか。
文・構成/HugKum編集部