
5歳児の次男です。お年玉にいただいたお金は本人のものなので、本人に持たせています。
ところが、そのお金を園に持っていったようです。自動販売機でジュースを買って友達に振る舞ったようです。隠れてしていたようですが、先生にバレてしまい、私に連絡が入りました。ほんとに驚いてしまいました。
私も先生もかなりしっかり叱りました。子どもは泣きました。けれど「じぶんのおかねを、じぶんでつかった」と言います。どう反応したらいいのか困惑してしまいました。
5歳はお金に興味津々の年齢。自分のお金を使ってみたい「本音」をわかってあげて
長いこと保育をしてきましたが、5歳児でお金騒動がなかったことはないのです。つまり、物欲も高まり、お金の存在に気づき、お金があれば買える、自分の自由になると思いますから、お金のことが頭から離れないといっても過言ではないかもしれません。
自動販売機の釣り銭の場所に指をつっこむ姿を見ませんか? お金を拾うことが多くなっていませんか? 子どもは恥ずかしげもなく目を凝らして歩きます。
うまいこと手にしたお金は使いたい…しかし、なんとなくいいことではなさそうな、特に拾ったお金は交番に届けなくちゃいけないという正論は知っています。後ろめたい気持ちもあるので、おとなの目をかすめて自動販売機にお金を入れます。物がガッチャンと落ちてくる音の大きいこと!
そして、多くの場合おとなにバレます。そして、怒られます。ただ、このお子さんの場合は拾ったのでも、盗んだのでもなく、自分のお金です。
多くの子はお年玉やクリスマスなどに親や祖父母からお金をもらいます。しかし、そのお金は親が「貯めようね」とか「預かってあげます」と管理して、子どもの自由にはなりません。自分のお金だけど、自分で使うことは許されないということです。しかし、子どもの本音は使ってみたいのです。
「自分のお金を自分で使ってみたかった」は当然と言えば、当然の話です。
お金の価値や使い方は、使ってみなければわからない
「お金は大事な物だから、粗末に扱ったり、おとながいいと言わないような物を買ってはいけません」が、おとなの言い分。しかし、使ってみたい、自分で買ってみたい衝動は当然ですし、使って見てこそお金の価値や使い方がわかっていくのです。使い方が下手で、一回に全部使ってしまい、残念な思いがあるとなおさら使い方上手になります。
ここでおとなにお願いです。お金を使わせてあげてください。大金でなくていいです。あなたの好きな物を買ったらとお任せしてください。そんなことしたら、もっと、もっとと金銭欲が強くならないか心配ですよね。使い方を知るには月謝が必要。だんだん上手になります。お年玉の一部でも、お手伝いのお駄賃でも、その子の自由にさせてみてください。
もはや電子マネー全盛の時代で、近い将来、お金そのもののやりとりは目にしなくなりそうです。そうなるともっとお金の価値や物の流通がわかりにくくなります。最後のチャンスかも!
今回叱ったことはそれでよいと思います。自分のお金だけど、使い方でこんなことになるという体験になったでしょう。
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監修

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子どもの気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた 春夏秋冬』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
