「ドローンの操縦」は子どもでもできる? 知っておきたいルールや注意点も解説

縦横無尽に飛び回るドローンは、大人だけでなく子どもも興味をもつもののひとつです。せがまれて「子どもにドローンを買ってあげたい」と考える親御さんも多いでしょう。では、子どもはドローンを操縦できるのでしょうか。知識を身につけて安心してドローンで遊べる環境を整えましょう。

そもそも子どもでもドローンを使えるの?

基本的にはドローンの操縦に年齢制限は設けられていません。そのためドローンは、年齢に関係なく誰でも操縦できます。しかし、子どもが扱う際にはさまざまな点に注意が必要です。ドローンと対象年齢、注意点について解説します。

製品ごとに対象年齢は設定されている

法律上、ドローンの操縦ができる年齢に制限はありません。しかし、実際にドローンを操縦するときには、製品ごとに定められている対象年齢を守りましょう。

設定されている対象年齢に満たない子どもが機体を扱う場合、うまく操縦できなかったり、けがを負う可能性があるため、好ましくありません。

航空法の規制を受けない機体の場合、多くの製品が対象年齢を10歳以上に設定していますが、中には対象年齢を5歳以上としている製品もあります。

国家資格を取れるのは16歳以上

ドローンには国家資格が存在します。資格の正式名称を「無人航空機操縦者技能証明」といい、受験資格があるのは16歳以上です。

技能証明を取得することで、レベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を含む、高度な飛行が可能になります。実現できる飛行の幅が広がるので、この国家資格はプロのドローンパイロット必携の資格といえるでしょう。

なお資格を取得するには、国土交通省が認定した登録講習機関で講習を受けて試験に合格する方法と、講習を受けずに直接実地試験に挑んで合格する方法があります。

無人航空機操縦者技能証明|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト – 国土交通省

子ども向けドローンに関するルール

ドローンを子どもに買い与えるのであれば、親がドローンに関する法律や条例を知っている必要があるでしょう。子どもにドローンを与える際に知っておきたい基本的なルールを解説します。

100g未満のドローンは航空法上の「無人航空機」に当たらない

ドローンを屋外で飛ばす上で守らなくてはいけない法律の筆頭が「航空法」です。機体の重量が100g以上のドローンは、航空法が定める「無人航空機」に分類され、屋外で飛ばすためには機体登録が必要になります。

また、無人航空機に分類されるドローンで航空法の定める「特定飛行」を行う場合には、事前に国土交通省の許可や承認が必要です。「空港周辺の飛行」や「人口集中地区上空の飛行」などが特定飛行に該当します。

なお、100g未満のドローンであっても、航空機の飛行に影響を与える可能性がある飛行については、航空法の規制の対象となります。

出典:航空:飛行ルール(航空法第11章)の対象となる機体 – 国土交通省

小型無人機等飛行禁止法はすべてのドローンが対象

ドローンを子どもに買い与えるのであれば、「小型無人機等飛行禁止法」の存在も頭に入れておきましょう。

小型無人機等飛行禁止法の正式名称は「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」といいます。重要性の高い施設の上空とその周辺をドローンが飛行することを禁止する法律です。

飛行が禁止されている重要な施設の一例は以下の通りです。

・国会議事堂
・内閣総理大臣官邸
・最高裁判所

小型無人機等飛行禁止法では、機体の重量にかかわらずすべてのドローンが規制の対象となります。

出典:小型無人機等飛行禁止法関係|警察庁Webサイト

自治体によっては条例でドローンの飛行を禁止している

都道府県によっては、条例でドローンの飛行を規制しているところもあるため、ドローンを屋外で飛行させる際には確認が必要です。

例えば東京都では「東京都立公園条例」の中で、都立公園内ではドローンの飛行などの都市公園管理の妨げとなる行為をしてはならないと規定しています。

千葉県浦安市も条例でドローンの飛行を禁止する自治体のひとつです。「浦安市都市公園条例」の中で、ドローンを飛ばす行為を近隣施設を破損させたり近隣の住宅に迷惑をかけたりする可能性が高い行為と位置づけ、公園や緑地では原則禁止としています。

東京都立公園条例
公園などでの小型無人飛行機(ドローンなど)の使用について|浦安市公式サイト

子どもにドローンを与えるときの注意点

ドローンを子どもに買い与えるときに意識しておきたい注意点を解説します。子どもと安心してドローンで遊べるように、気を付けるべき点をしっかり頭に入れておきましょう。

100g未満の製品を購入する

子どもに買い与えるドローンを選ぶときには、機体の重量に着目することが大切です。バッテリーと本体とを合わせて、100g未満の製品を選ぶようにしましょう。

2022年6月に行われた航空法の改正により、航空法の規制を受ける無人航空機に分類されるドローンの機体重量が200g以上から100g以上に改正されました。

航空法改正よりも前に販売されていたドローンの中には、100g以上の機体重量があっても、「おもちゃドローン」や「トイドローン」などと記載されている場合があるため、注意が必要です。

「技適マーク」が付いている製品を購入する

子ども向けのドローンを選ぶときには、「技適マーク」が付いている製品を選びましょう。技適マークとは、電波法で規定する技術基準を満たしている無線機であることを証明する印のことです。

ドローンを飛ばす際には無線通信を行います。そのため、技適マークを取得していない機体を飛ばすには、無線局の免許が必要になります。

国内で正規流通している製品であれば通常は技適マークが付与されていますが、海外から直接購入する場合には必ず確認しましょう。

技適マーク

けが対策を十分に行う

子どもとドローンで遊ぶときにはけが対策が欠かせません。プロペラが高速回転するドローンは、けがのリスクをはらんだおもちゃといえます。操縦している本人はもちろん、周囲の人に機体が接触すれば、出血や失明につながる可能性があります。

ドローンを飛ばす際に実施したいけが対策の一例は以下の通りです。

・プロペラガードが付いている製品を選ぶ
・親の監視下で飛行させる
・操作に慣れないうちは屋内で練習する

後悔することのないようしっかり対策を取りましょう。

ファミリー向けのドローン活用法

子ども向けドローンはただ「飛ばして楽しい」だけのおもちゃではありません。ファミリーで実践したいドローンの活用方法を2つ紹介します。

ダイナミックな写真で家族の思い出づくり

カメラ付きのドローンを使えば、ダイナミックな家族写真が撮影できます。

ドローンから空撮すれば、美しい景色を大胆に切り取った写真が撮影可能です。家族と雄大な景色を被写体に写真を撮れば、一般的な家族写真にない特別感を演出できます。

また、子どもがドローンを操作して写真を撮ったとなれば、プロセスも含めて大切な思い出になります。写真を見返すたびに我が子の成長を実感できるでしょう。

なお、ドローンで家族の記念写真を撮影するときは、法律や条例を守るのが大前提です。ルールを守って思い出づくりをしましょう。

ドローンを通してプログラミング学習

ドローンの使い方を工夫すれば、プログラミング学習を実践することもできます。

ドローンは、飛び方をプログラミングすれば自動飛行も可能です。成果を視覚的に実感できるドローンのプログラミングは、プログラミング初心者でも楽しくプログラミングのいろはを学べる取り組みといえるでしょう。

ドローンでプログラミングを学ぶときは、課題を設けるのがおすすめです。スタートとゴールを決めてコース通りにドローンを飛行させるなど、具体的な目標を定めることで、ゲーム感覚でプログラミングを学習できます。

子どもにおすすめのドローン

子どもにおすすめのドローンを2機紹介します。子どもに買い与えるドローン選びで迷ったときは、紹介するドローンを検討してみましょう。

Holy Stone HS420

「Holy Stone HS420」は、HDカメラを搭載した手のひらサイズのトイドローンです。重量は31gのため機体登録は不要で、航空法上の「特定飛行」の許可・承認の対象外です。ただし、小型無人機等飛行禁止法や各自治体の条例など、他の法令や規制は別途遵守する必要があります。

また、プロペラ部分にはプロペラガードが付いています。そのため、ドローンの接触によるけがのリスクを軽減できます。

さらには、初心者でも簡単に操縦できるように配慮されたさまざまな機能を搭載しているのも魅力です。ドローンが初めての子どもでも直感的に操作できるでしょう。

RyzeTech Tello

「RyzeTech Tello」はプログラミングができるトイドローンです。子どもの課題解決力や論理的思考力などを伸ばしたい人におすすめといえるでしょう。

また、機体と連携させることでスマホから操縦できるのも特徴のひとつです。スマホアプリを通じて直感的に操作できる点も魅力です。

さらには、アクロバティックな飛行が画面をタップするだけで簡単に決められるのも魅力のひとつです。初心者でもまるで熟練のドローンパイロットになったような気分が味わえます。

知識を付ければ子どもでもドローンで遊べる

ドローンは子どもでも操縦可能です。機体ごとに対象年齢は設定されているものの、基本的にドローンの操縦に年齢制限はありません。しかし、屋外でドローンを飛ばすには、さまざまな法律や条例を遵守する必要があります。

必要な知識をしっかり身に付けて、安心かつ安全にドローンを楽しみましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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