おいしい松茸の見分け方
松茸の旬は、9~10月。人工栽培が難しいため、収穫期間は短くなります。アカマツやツガの林に自生し、日本では兵庫県の丹波地方などが有名な産地。松茸は時間とともに香りが失われていくので、収穫したての国産のものがおすすめですが、国内での生産量は毎年減少傾向。現在市場で売られている約95%は、中国や韓国、アメリカ、カナダなどの外国産のものが中心です。
松茸を選ぶポイント
松茸は高額だからこそ、おいしいものを選びたいですよね。鮮度が良いものは香りが違います。選び方の基準として3つのポイントを紹介します。
【1】軸がしっかりしていて弾力がある
軸のやわらかいものは、中が虫食いの状態のことがあります。もしも、触れてから購入できる場合は軸がしっかりしているものを選びましょう。
【2】適度に、湿り気がある
しっとりとしたツヤのあるものを選びましょう。表面が乾燥しているものは、収穫から時間が経っており松茸の香りが飛んでしまっています。
また、ヌルヌルしているものは、残念ながら傷んでしまっている可能性大。松茸を切った時、中が茶色くなっているものは傷んでいるので食べることができません。
【3】笠の状態をチェック
松茸は状態によって、それぞれ呼び方が違います。
・「コロ」・・・笠が全く開いていない状態の、太い指のような形をしたもの
・「ツボミ」・・・少し笠が膨らんできた状態のもの
・「ヒラキ」・・・笠が開いて、いわゆるキノコこらしい形をしたもの
一般的に、笠があまり開いていない「コロ」や「ツボミ」の状態の新鮮な松茸が高級と言われています。食感と香りを同時に味わうのであれば、笠の開きが5分程度までのものを選ぶのと良いでしょう。
香り豊かで、お手頃価格の松茸は?
松茸は、笠の部分から香りを出します。「ヒラキ」の状態の松茸でも、新鮮であれば香りが楽しめます。値段も他の状態のものよりお手頃価格なのでスーパーで「ヒラキ」の松茸を探してみて! ‟松茸ごはん”や‟すき焼き”などにすると、香りを楽しめておすすめです。
松茸の下処理方法
松茸は、直接地面に生えているので、砂や土がついています。松茸に限らず、きのこ類は水で洗わないのが基本ですが、この部分から雑菌が増える可能性もあるので、サッと水洗いする下処理をおすすめします。
砂や土の処理は、素早く!
砂や土が残っていると雑菌が増えたり食感が悪くなったりするため、サッと水洗いをしましょう。素早く作業してください。※香りが飛んでしまうので、流水で洗うのはNG。
手順
①根元の固い部分(石づき)を、鉛筆を削る要領で、先端を薄くそぎ落とします。
②水を貼ったボウルで軽くすすぎ、汚れやほこりを落とします。
③キッチンペーパーで優しく水分を拭き取ります。
※水分が残っていると、香りが飛んでしまい、また傷みやすくなるのでしっかり拭き取ってください。
松茸の保存方法
少しでも長持ちさせたい場合の松茸の保存方法と保存期間を紹介します。
常温で保存する場合
まずは上記の通り下処理を済ませ、その後、新聞紙やキッチンペーパーなどに包みます。そして、直射日光の当たらない、涼しいところで保存します。
常温の保存期間
保存期間は1~2日です。松茸は、時間が経つにつれて香りが飛んでしまい、あまり日持ちしません。
冷蔵で保存する場合
同じく、下処理を済ませた松茸をキッチンペーパーで包み、ラップで密封するかジッパー付きの保存袋に入れて冷蔵庫へ。きのこは低温で保存した方が風味が長持ちするので、野菜室ではなく、冷蔵室かチルド室に入れるのが良いでしょう。
冷蔵の保存期間
保存期間は1週間ほど。時間が経てば経つほど香りが失われていくので、できるだけ早めに食べましょう。
冷凍で保存する場合
すぐに食べないときは、香りをキープできる冷凍保存がおすすめ! 冷凍する場合は、下処理を済ませた松茸を1本ずつラップで包み、ジッパー付きの保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて冷凍庫へ。
解凍方法
完全解凍はNG! 松茸の旨みがドリップとして流れ出てしまいます。
使う時は、凍った状態のまま加熱調理しましょう。カットするときは、半解凍の状態で。そのため、調理の用途に合わせて、あらかじめ2~4等分に割いたり、うすくスライスしたりしてからジッパー付き保存袋に入れて冷凍しておくと良いでしょう。
冷凍した松茸は、‟焼き松茸”には向きません。解凍した時に流れ出る旨みをそのまま味わえる‟土瓶蒸し”や‟お吸い物”、‟松茸ごはん”として味わうのが良いでしょう。
冷凍の保存期間
1か月ほどは、香りを残したまま保存できます。
これってカビ?…松茸に白いふわふわが付着していたら
松茸に、カビと思うような物が付いているときがあるかもしれません。松茸を収穫した時の土についている雑菌や空気中のカビ菌などから繁殖している場合があります。松茸を手に入れたら、できるだけ早く下処理を済ませ、密封できるジッパー付き保存袋などに入れ、あまり外気に触れないようにしましょう。
「気中菌糸」は食べても問題なし
松茸に、白くてふわふわしたものが付着していることがあります。これは、「気中菌糸」と呼ばれるもので、松茸の一部。食べても問題はありません。気になる場合は、キッチンペーパーで拭き取るか、軽く水洗いしましょう。
「黒」や「青」のカビは、食べられません!
表面だけ削ったら食べられるかも、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「黒」や「青」のカビは意外と奥深くまで侵食していることもあるので、絶対に食べないでください。
香り&食物繊維も豊かな松茸
松茸の豊潤な香りは、主にマツタケオールと呼ばれる不飽和アルコールと桂皮酸メチル(メチルシンナメート)によるものだそう。この香り成分は、現在人工的に生成できるようにもなり、食品添加物として利用されることも。
また、松茸は、他のキノコ類と同様、「食物繊維」が豊富。食物繊維は便秘やデトックス効果があります。松茸が手に入ったら、慌てず上手に処理して、思いっきり食欲の秋を楽しんでくださいね。
文/斉藤和美(フードコーディネーター)、構成/HugKum編集部