夏バテは不登校を生みやすい? まだ暑さが続く9月に行き渋りなく新学期をスタートさせるにはーー「暑くて学校に行きたくない」への予防&対策

今年も暑いですね。毎年のことながら、あまりの暑さに疲労が積み重なり、メンタルも疲弊しがち。子どもにも影響があるはずです。小学校への行き渋りや不登校につながる可能性もゼロではありません。

そこで今回は、小学生の子を持つ保護者向けに、暑さによる子どものメンタル不調のリスクや心のSOS、解決策を、精神科医の広岡クリニック院長 広岡清伸先生に伺いました。

夏の暑さによる子どものメンタル不調のリスク

猛暑は、大人だけでなく子どもの心身にも大きな負担を与えます。暑さによって体力が消耗し、睡眠不足や食欲低下に陥ると、疲労が十分に回復しません。その結果、イライラしやすくなったり、不安が強くなったり、集中力が低下したりします。

学校生活では、勉強や友人関係などさまざまなストレスがありますが、そこに猛暑による身体的負担が加わることで、心の負荷も大きくなり、メンタル不調につながることがあります。

また、もともと対人関係や刺激に敏感な子どもは、暑さそのものへの感覚的な負担も大きく、疲労が人一倍、蓄積しやすいところがあります。

夏の異常な暑さが行き渋りや不登校につながる理由

猛暑は、もともと学校生活に疲れを感じている子どもにとって、最後のひと押しとなってしまうことがあります。

例えば、体力が落ちると、友人関係や勉強のストレスに対処するための「心の余力」が減ってきます。普段なら乗り越えられる小さな摩擦にも対処できなくなってくるのです。

特に睡眠不足や食欲低下、夏バテによる体調不良が続くと、「今日は学校へ行く元気がない」という状態になりやすくなります。

また、もともと行き渋りや不登校傾向のある子どもでは、猛暑が心身の負担をさらに大きくし、不登校が長引くきっかけになることもあります。

心のSOSのサイン

猛暑による子どもからの「心のSOSのサイン」としては、次のことを目安にしてみてください。

●「頭が痛い」「お腹が痛い」「気持ち悪い」と身体症状を訴えることが増える

●朝になっても起きられず、布団から出てこない

●食欲が落ち、体重が減ってきた

●イライラしやすくなったり、急に元気がなくなった

●好きだった遊びにも興味を示さなくなる

これらの状態が数日から数週間続く場合は、心身の疲労が蓄積している可能性があります。なお、SOSサインの現れ方には個人差がありますので、あくまでも目安と考え、それぞれの子どもをしっかりと見守ってあげてください。

親ができる対応策と声かけ方法

子どもからのSOSサインを感じ取ったら、次のことを心がけましょう。

1.子どもの体調管理

まずは体調を整えることが大切です。十分な睡眠、適度な冷房による室内環境の調整、水分補給、規則正しい生活を心がけましょう。

また、夏場はどうしても食欲が落ちやすくなるため、体重が一つの目安になります。定期的に確認し、減少していないかを見てあげてください。

2.適切な声かけと配慮

声かけとしては、「頑張って学校へ行きなさい」ではなく、まず気持ちを受け止めることが大切です。特に、体力が落ちている子に学校に行けないことの理由を根掘り葉掘り聞かないようにしましょう。説明させようとすると、さらに体力を消耗させてしまうからです。

まずは十分に休養を取り、体調が回復してから落ち着いて話を聞くことが大切です。

食事で必要な栄養素を補おう ーーおすすめの栄養素

小学生は特に伸びざかりですので、食事で必要な栄養素をしっかりと補うことが大切です。加えて夏場に消耗しやすい体力を維持することも考えましょう。栄養素はバランスよく摂取することが重要ですが、特に次の栄養素は、夏場は意識的に摂取するのをおすすめします。

エネルギー源とたんぱく質

食事で最も大切なのは、十分なエネルギー源とたんぱく質を摂ることです。エネルギー源はごはんやパンなどの糖質をしっかりと。たんぱく質は肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを意識して取り入れましょう。

タウリン

イカ・タコ・貝類などの魚介類に多く含まれるタウリンは、疲労回復を助ける成分として知られており、暑さで消耗しやすい時期の食事に取り入れたい栄養素です。
タウリンは、体内環境を整え、疲れが抜けにくい時期や神経の緊張が続きやすい時期のコンディションづくりをサポートします。

ビタミンB群

ビタミンB2やビタミンB6などのビタミンB群を含む食品はエネルギー代謝を助けるため、暑い時期には積極的に取り入れましょう。

電解質

水分だけでなく、汗で失われる電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムなど)にも配慮しながら、食べやすい料理を工夫し、体重が減らないよう見守ることも重要です。例えば味噌汁は水分と塩分(ナトリウム)を同時に摂取できるため、夏場には特におすすめです。

【ポイント】一品の栄養密度を上げるよう工夫する
食欲が落ちている時期は、品数を増やすよりも、「一品の栄養密度を上げる工夫」が効果的です。

<例>
・卵かけご飯にかつお節や胡麻(ごま)を加える
・味噌汁に豆腐や卵を入れる

このように、いつも食べている一品に少し栄養を足すだけでも良いです。無理に品数をそろえようとせず、また無理に多くを食べさせようとせず、量よりも、食べられるものの中身(質)を大切にしましょう。

まずは身体の疲れをいち早く察知すること

猛暑の時期は、心の問題としてみる前に、身体が疲れきっていないかを観察するようにしてください。体調不良が長引くお子さんの中には、もともと人一倍まじめだったり、周囲に気を遣ったりするタイプの子も多く、体の不調が原因でメンタル不調を二次的に併発するリスクが高まります。

まとめ

もし夏場に行き渋りや不登校の気配があるのなら、環境や声かけ、食事面の対策を行ってみるのも良いのではないでしょうか。何より子どもの身体的な疲労や不調に、常日頃から気を配ることが大切といえそうです。

こちらの記事もおすすめ

https://hugkum.sho.jp/800750

お話を伺ったのは

広岡 清伸先生 広岡クリニック院長、精神科専門医、指導医、精神保健指定医

日本大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院、堀ノ内病院、関東労災病院などを経て、1992年に横浜市港北区に広岡クリニックを開設。患者の目線に立って治療する独自の「肯定的体験療法」を提唱し、これまで1万人以上の診療に携わる。著書に『心の病になった人とその家族が最初に読む本』(アスコム、2024年)、『広岡式こころの病の治し方』(日経BP)など。2026年1月5日には『ごめんなさい、もうこれ以上頑張れません 生きづらい社会で傷ついた人が、再び「自分」を取り戻すまで』(アスコム)を刊行。

この記事を書いたのは

石原亜香利 ライター

Web業界からライターに転身し独立。読者のみなさまが知りたい、役に立つ情報を、ライフスタイルから子育て、健康、食、ITまで、取材の上でわかりやすく面白く伝えることを心がけています。

編集部おすすめ

関連記事