この間まで赤ちゃんだったわが子が、立ち上がって歩き出し、親と会話してみたりと目覚ましい成長を感じられるのがこの時期。行動範囲もどんどん広がり、階段にはゲートをつける、湯船の水は抜く、洗濯機や窓のそば・ベランダには踏み台になるものを置かない、ブラインドのひもは巻き付かないよう束ねるなど、事故の予防にも細心の注意が必要になるのが1歳児の成長です。心がけることの目安としても体、心、言葉の発達を理解しておきましょう。
小児科医の渋井展子先生に解説していただきます。
1歳児のからだの成長 チェックリスト
からだ
- ●つたい歩きをする
- ●少しの間ひとりで立つ
- ●つかまらずにひとりで2~3歩ほど歩く
- ●ひざをスムーズに曲げ伸ばして歩く
(歩行が安定すると、デコボコ道を歩くなど難度の高い動きにも挑戦するように。転ぶことも体の動かし方を学ぶ大切な経験です。) - ●小走りする
- ●手をつなげば階段の上り下りができる
- ●前歯が8本生えそろう
- ●ボールを上手投げで投げる
- ●鉄棒にぶら下がる
- ●ジャンプする
赤ちゃんから2歳のイヤイヤ期まで、発達に関するお悩みに小児科医が回答
体も心もぐんぐん成長する、1歳、2歳、3歳の子どもたち。
この時期の発達をサポートするには、親子のコミュニケーションを楽しみながら、さまざ...
手指
- ●クレヨンなどで点や直線をなぐり描きする
- ●親指と他の指で物をつまむ
- ●箱のふたを開けて中の物を取り出す
- ●2つの積み木を積む
- ●スプーンを持ち、すくって食べようとする
- ●ドアを開ける
行動範囲が広がるので、階段にはゲートをつける、湯船の水は抜く、洗濯機や窓のそば・ベランダには踏み台になるものを置かない、ブラインドのひもは巻き付かないよう束ねるなど、事故の予防を心がけて。
- ●スコップで穴を掘る
- ●あまりこぼさずにスプーンで食べる
【保育士監修】1歳、2歳、3歳年齢別「運動」と「心」「言葉」の発達チェックリスト
めざましく成長していく1歳児から3歳児の子どもたち。 あれもこれも覚えさせたい!というママ・パパもいますが、 「1~3歳の今、大事なこと」の...
2歳児のこころの成長
こころ
- ●怒る、喜ぶ、うらやましがるなどの感情表現が出る
- ●親と少し離れて遊べる
- ●探究心が旺盛になり、いたずらや探究をする
- (いろいろなところを探究し、不安を感じるとおうちの方のもとに戻り、安心するとまた探究に出かけるということを繰り返します)
- ●大人のまねをする
- まねをするのは、記憶力が発達したから。大人のまねをしたがる時期なので、歯ブラシやスプーンの使い方を教えるチャンスです。
- ●自分と他社の区別がつき始める
- 自分とおうちの方を区別できるようになるので、気もちを自分で伝えられるように「どうしたいの?」という問いかけを。
- ●自己主張が強くなり、「イヤ!」が増える
言葉
- ●親に話しかけられた言葉の多くを理解できる
- 「ダメ」という言葉の意味を理解できるようになるので、なるべく言葉で気持ちを伝えましょう。
- ●「これ、ちょうだい」などの簡単な指示に従える
- ●意味のある単語を2~3語言う
- ●「ママ」「パパ」など、2語以上の単語を使い分ける
- 動物のなき声のまねをうながしたり、絵本を読み聞かせて言葉のシャワーを浴びせたりして、言葉を発するための基礎作りを。
- ●絵を見て「ワンワンはどこ?」と聞くと指でさす
- ●「新聞を持ってきて」といった簡単なお手伝いができる
- ●目、耳、口など体の部分の名前が2つ以上わかる
※目安を示したもので、発達には個人差があります。
1歳6か月児健診の、主なチェックポイント
- ■身体測定・内科健診
- ■視聴覚障害がないか
- ■ひとり歩きができるか
- ■積み木を2~3個積めるか
- ■話しかけられた 言葉を理解するか
- ■意味のある言葉を いくつか話せるか
- ■歯の生え方
全く歩かない、全く言葉を話さないという場合は相談を。発達には個人差があるため、「様子を見ましょう」と言われても不安になりすぎず、「専門家に継続的に見守ってもらえれば安心」と前向きに考えましょう。
お話:渋井展子先生
しぶいこどもクリニック院長。小児科専門医・小児神経専門医。発達障害診療医。著書『乳児期の親と子の絆をめぐって』(彩流社)では、最新の医学的知識に基づき子育てで大切なことを解説。1男1女の母でもある。
イラスト/seesaw. 出典:『ベビーブック』2018年5月号