アトピー性皮膚炎は、継続的な治療・スキンケアが必要な疾患です。まずは病院で診察を受け、患者自身でスキンケアを行い、塗り薬や飲み薬を服薬する治療を使います。しかし、あまり効果が見られないと入院が必要になる場合もあります。入院治療が必要なアトピーの症状には、どんなものがあるのでしょうか。
子供に不必要な苦痛や負担を与えない治療でママ&キッズからの信頼も厚いカリスマ小児科医、北浜こどもクリニック院長の北浜直先生に、子供のアトピーの入院についてお話を伺ってきました。
入院治療が必要なアトピーの症状
一般的には、アトピーで入院することはあまり多くありませんが、ごく稀に入院する場合もあります。
カポジ水痘様発疹症の場合
アトピー性皮膚炎の合併症として起こるのが、カポジ水痘様発疹症です。アトピー性皮膚炎を発症した皮膚にヘルペスウイルスが付くことによって一気に症状が悪化し、カポジ水痘様発疹症を発症する場合があります。カポジ水痘様発疹症は発疹が広範囲に広がり、発熱の他、様々な重篤な症状が出る場合もあるので、入院が必要です。
電解質のバランスが崩れてしまっている場合
皮膚を掻き壊した場合、重度な症状になると体の電解質バランスを崩してしまうことも。電解質には、神経や筋肉の機能を調整したり、水分バランスを維持したりする大切な役割があります。電解質のバランスが崩れると、脱水症状を起こしたり、最悪の場合は死に至る可能性もあるので、入院が必要になります。
アトピーでの入院の目的
アトピー性皮膚炎での入院には、治療を目的としたもの以外に、正しい知識やスキンケア法を身につけるために行うものの2種類があります。
子供や赤ちゃんのアトピーでも入院できるの?
アトピーの治療を目的とした入院の場合は、赤ちゃんでも子供でも、医師が「入院が必要」と判断すれば、入院することができます。
また、アトピーの正しい知識や日常でできるセルフケア法を身につけるための生活指導を、入院という形をとって提供している病院もあるようです。その場合は、本人の意思確認ができる年齢から参加できることが多いようです。
入院中の治療内容
アトピーの入院治療では、どのようなことが行われるのでしょうか。
治療内容
アトピーの重篤な症状のため入院した場合は、炎症を抑えたり、電解質のバランスを整える治療が行われます。点滴や服薬など、医師の診断のもと適切で早急な治療が必要になります。
また、アトピーの正しい知識を身につけるための入院の場合は、病院によっても違うようですが、毎日のスキンケアとストレス緩和ケア、アトピーへの理解を深めてもらうためのレクチャーや実践が行われるようです。
入院期間
症状にもよりますが、カポジ水痘様発疹症の場合は数日間の入院になります。ただし、症状がひどい場合などは、1週間から2週間程度の入院になることもあります。
アトピーケアの生活指導の入院の場合は、プログラムによって期間が異なるようです。
退院の目安
退院の目安としては、電解質のバランスが戻り、皮膚の炎症などが落ち着いて、通常の外来診療で大丈夫になるまで入院が必要ですね。状態によっては、入院を延長してもらう場合もあります。
アトピーの入院は保険が効くの?
アトピーの症状が重篤になった際の入院の場合は、もちろん保険が効きます。正しい知識を身につけるための入院の場合は、保険は効かない場合が多いでしょう。
退院後の治療法は?
退院後の治療も、基本的には入院前の治療と同じです。しかし、入院せざるを得ないほど悪化してしまった原因があるはずなので、そこを見直す必要があります。見直したうえで、退院後の治療を行うべきですね。
アトピーの入院は医師の指示に従って
アトピーの症状が重く、入院をすることになった場合は、医師とよく相談し、診断に従いましょう。
記事監修
神奈川県川崎市・北浜こどもクリニック院長。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている
文・構成/HugKum編集部