子ども用に電子ピアノの購入を検討しながらも、どんなものを選べばよいのか分からない…そんな悩みを抱えてはいませんか? ここでは電子ピアノの選び方や必要な機能を具体的なおすすめ製品とともに紹介します。子どもにぴったりな1台を選びましょう。
目次
電子ピアノの特徴とメリット
そもそも、昔ながらの「アコースティックピアノ」ではなく、「電子ピアノ」を選ぶメリットにはどのようなものがあるのでしょうか? 電子ピアノの特徴と合わせて詳しく見ていきましょう。
ヘッドホンが使えていつでも演奏可能
電子ピアノを選ぶメリットとして、まず挙げられるのが「ヘッドホンが使える」という点です。
「家でピアノを楽しみたい」「子どもにピアノを習わせたい」と思いながらも、「音が迷惑になるのでは…」という近隣への配慮から諦めてしまう人は少なくありません。
しかし、デジタル回路を通じてスピーカーから音を出す電子ピアノなら、端子を接続することでヘッドホンを使っての演奏が可能です。
住宅密集地や集合住宅に住んでいる家庭にとって、特に大きなメリットといえるでしょう。
コンパクトサイズで置き場に困らない
家庭用のピアノとなると「置き場所をどうするか」も無視できない重要なポイントです。
子ども用として購入するのであれば、子ども部屋やリビングに無理なく設置できる大きさの物を選ぶ必要があるでしょう。
自宅用のアップライトピアノ(アコースティックピアノの一種)の場合、高さ110~130cm程・奥行き50~65cm程のスペースが必要になるのが一般的ですが、電子ピアノであれば高さ70~80cm程・奥行き30~40cm程で設置できます。
「設置場所の自由度」という点から見ても、電子ピアノには大きなメリットがあるといえるでしょう。
音量や音色を変えられる
音源がデジタル化されている電子ピアノでは、「音量」や「音色」も必要に応じて自在に変えられます。
音量を調節することで、ヘッドホンでは難しい「自宅でのピアノレッスン」や「家族に演奏を披露する」といったことも実現できるでしょう。
また、機種によって違うものの、電子ピアノには「コンサート・グランドピアノ」「ジャズオルガン」「ギター」など、さまざまな楽器の音源が搭載されています。
曲や気分に合わせて音色を使い分けられるため、楽器を演奏する楽しみの幅をグッと広げられるでしょう。
電子ピアノの選び方
電子ピアノを購入するにあたっては、どのような点に注目すればよいのでしょうか? 選び方の詳しいポイントをチェックしていきましょう。
ペダル3本と鍵盤が88鍵あるかを確認
一般的なアコースティックピアノでは、白鍵・黒鍵合わせて88の鍵盤が備えられています。
一方、電子ピアノの場合、モデルによって鍵盤の数が異なり、88鍵に満たないものも少なくありません。88鍵を前提に作られた曲を演奏する場合、鍵盤の数が足りないといった事態が起きることもあるでしょう。
また、電子ピアノのペダルには、音を長く伸ばす・音色を柔らかくするなどの役割があり、あるかないかによって演奏の味わいが大きく変わります。
電子ピアノを購入するのなら、鍵盤は88鍵・ペダルは3本と、アコースティックピアノと基本設計が同じ製品を選ぶようにするとどんな曲でも思う存分楽しめるでしょう。
鍵盤のタッチ具合
電子ピアノを購入する際は、「鍵盤のタッチ具合」にもこだわった製品選びをするのがおすすめです。
通常、電子ピアノでは、モデルによって違いはあるものの、アコースティックピアノに比べて軽いタッチの鍵盤が使用されています。
「アコースティックピアノに近い弾き心地を楽しみたい」という人や、「将来的にアコースティックピアノへの移行を検討している」という人は、あらかじめアコースティックピアノに近いタッチの製品を選ぶようにしましょう。
最大同時発音数の多さ
より奥行きのある音色を楽しむのなら、「最大同時発音数の多さ」にも注目しましょう。
最大同時発音数というのは、「同時に鳴らせる音の数」のことで、電子ピアノでは64~128音程度が一般的です。
この音数が演奏で必要な数に満たない場合、先に出た音から強制的に消えてしまうため、なめらかさのない違和感のある演奏になってしまいます。
特に、ペダルを使って演奏をする際は、必要とする音数も増えるため、最大同時発音数の多さがより重要になるでしょう。
ピアノ初心者であれば64音でも一定の演奏はできますが、ペダルを活用するのであれば最低でも128音以上、よりハイレベルの演奏に挑戦するのであれば、192音や256音を備えた製品を選ぶようにすると安心です。
音源やスピーカーも大切
デジタル化した音源を鳴らすことで音を出す電子ピアノでは、どのような「音源」や「スピーカー」を使っているかによって音色が大きく変わります。
よりアコースティックピアノに近い音色を求めるのであれば、音源データの作成に使用されているピアノのグレードにも注目する必要があるでしょう。
また、どんなに優れた音源が備わった電子ピアノでも、スピーカーの数や質によってはその音色を十分に生かすことができません。
臨場感のある生き生きとした音色を楽しむのなら、本体の底面や背面など合わせて4機以上のスピーカーを搭載した製品を選ぶようにしましょう。
子ども用電子ピアノでチェックしたい機能
子ども用に電子ピアノを選ぶ際は特に注意したい、いくつかのポイントがあります。中でも重要なものをチェックしていきましょう。
鍵盤の素材
子ども用の電子ピアノを検討するのなら、ぜひしっかりと確認しておきたいのが「鍵盤に使用されている素材」です。
電子ピアノに使用されている鍵盤の素材は、主に以下の3種類に分けられます。
- 【樹脂鍵盤】:軽くて丈夫。弾いたときの重さや手応えなど、アコースティックピアノのタッチ感とのギャップが大きい
- 【木製鍵盤】:しっかりとした重さと手応えがあり、アコースティックピアノに近い弾き心地
- 【ピアノアクション搭載モデル】:鍵盤は木製で、鍵盤部そのものがアコースティックピアノと同じ構造。『ハイブリッドピアノ』と呼ばれ、よりアコースティックピアノに近い弾き心地を堪能できる
ピアノに不慣れな子どもの場合、普段使用するピアノの鍵盤に指が慣れてしまうため、先を見通した慎重な鍵盤選びをする必要があります。
あらかじめ木製タイプやピアノアクション搭載モデルを選ぶようにすると、いざアコースティックピアノを弾いた際もギャップが少なく、スムーズに演奏を楽しめるでしょう。
センサーの精度と数
鍵盤を叩く力が直接音色に影響を与えるアコースティックピアノでは、微妙なタッチのニュアンスでさまざまな音色を表現できます。
一方、電子ピアノの場合、鍵盤に加わった力をセンサーが読み取ることで音を出す仕組みのため、「センサーの精度と数」によって表現の幅が大きく変わります。
おすすめは、二つから三つの高精度センサーが搭載された製品です。センサーの質と数にこだわることで、「音の強弱やニュアンスの高い再現性」「連打時の反応のよさ」といったメリットが得られるでしょう。
子どもならではの繊細かつ大胆な表現力を余すところなく発揮するためにも、ぜひしっかりとチェックしておきたいポイントといえそうです。
エスケープメント
アコースティックピアノを弾いていると、その構造上、ゆっくりと鍵盤を押したときに、ある深さで独特の「ひっかかり(クリック感)」を感じます。
このひっかかりは「エスケープメント」と呼ばれ、アコースティックピアノの弾き心地を再現する上で必要不可欠なものです。
デジタル回路で音を鳴らす電子ピアノの場合、本来このエスケープメントは存在しません。しかし、中には、あえてこのエスケープメントを再現することで、よりアコースティックピアノに近い弾き心地を実現している製品もあります。
子ども用に選ぶ電子ピアノだからこそ、細やかな弾き心地にまでこだわった製品選びをしたいものですね。
電子ピアノのおすすめ人気ブランド
中には、「選び方や見るべきポイントが分かっても、そもそも電子ピアノの種類が多すぎて候補を絞り込めない」という人もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、名の知れたブランドから候補をピックアップするという方法です。電子ピアノメーカーの中でも、特に人気を集めているブランドをチェックしていきましょう。
世界も認める老舗 『ヤマハ』
日本国内だけでなく、世界でもトップクラスのシェアを誇るピアノの老舗メーカーです。
電子ピアノの分野では、鍵盤を押したときの手ごたえを再現する「エスケープメント機能」や、音切れせずに高速の連打ができる「ダンパーセンサー」など、よりアコースティックピアノに近い弾き心地を目指した製品作りが大きな特長といえるでしょう。
初心者向けのエントリーモデルから、上級者向けのハイグレードモデルまで、使う人の目標や環境に合わせた製品選びがしやすい人気のブランドです。
コストパフォーマンスなら『カシオ』
電卓や時計・電子辞書・電子楽器など、幅広いアイテムを手掛ける電子機器メーカーです。
電子ピアノにおいても、低価格帯モデルが主力ながら専門性を生かした製品作りが行われ、「三つのセンサーが内蔵された鍵盤」や「音色の無段階変化」など、他メーカーでは上位モデル限定の機能を多数搭載しています。
コストパフォーマンスを重視した電子ピアノ選びをするのなら、まずチェックしておきたいブランドといえるでしょう。
デザイン重視なら『コルグ』
日本初の国産シンセサイザーの開発や、チューナー・エフェクターなどの製造販売で知られる電子楽器メーカーです。
中でもシンセサイザーは、国内はもちろんのこと海外での評価も高く、有名アーティストたちの間でも広く愛用されています。
そんなシンセサイザーの技術を生かして開発されるコルグの電子ピアノの魅力といえば、何といっても「コンパクト」「スタイリッシュ」といった高いデザイン性でしょう。
リビングの一角に置いても違和感のないモダンでおしゃれなデザインで、「高品質&インテリアになじむ電子ピアノが欲しい」という人たちに広く選ばれているブランドです。
デジタル・ピアノ / ホーム・プロダクツ | KORG (Japan)
子どもや初心者におすすめの電子ピアノ3選
では、実際におすすめの電子ピアノにはどのようなものがあるのでしょうか。まずは、初心者向けの製品からチェックしていきましょう。
【1】グランドピアノの弾き心地 ヤマハ ARIUS YDP-164R
「二つのスピーカー」「最大同時発音数192」「3本のペダル」「10種の音色」など、ヤマハのエントリーシリーズ「ARIUS」における最上位の製品です。
初心者向けのモデルでありながら、ヤマハ最高峰のグランドピアノ「CFX」の音色をサンプリングした音源を搭載し、本格的なアコースティックピアノのような弾き心地を楽しめます。
ハイレベルの機能や音質を気軽に楽しみたいという人におすすめの製品といえるでしょう。
【2】レッスン機能搭載 カワイ CN29
ピアノのレッスンにぴったりの練習曲が多数内蔵されています。右手・左手ごとの練習や、曲の一部のみのリピート練習など、レベルに合わせた選曲で楽しく上達を目指せるでしょう。
練習というとつい身構えてしまう子どもには、指一本で内蔵曲を演奏できる「コンサートマジック」機能がおすすめです。自分の力で演奏する楽しさを知ることで、自然な形で電子ピアノに親しめます。
そのほか、どんな角度からも見やすい有機ELディスプレイや、誰でも直感的に扱える操作ボタンのアイコンなど、子どもや初心者におすすめの機能が満載の製品です。
【3】練習履歴を自動で記録 ローランド 電子ピアノ HP704
スマートフォンやタブレットなどの機器とBluetooth接続すると練習中の音を自動的に録音できるので、練習履歴として活用できます。
録音した演奏データはスマホでいつでも再生可能なので、ちょっとした隙間時間に聞き直して弱点をピックアップするなど、効率的な上達に役立つでしょう。
また、アコースティックピアノの発音プロセスを先進技術で再現した「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」により、弾くたびに違う生きた音色を楽しめます。
高い技術と表現力を同時に磨き上げたいという人にぴったりの製品といえるでしょう。
上級者におすすめの電子ピアノ3選
ピアノを弾く腕前が上がってくると、よりリアルで豊かな音色を楽しめる上位モデルの製品が気になってくるものです。上級者向けの電子ピアノの中でも、特におすすめの製品をチェックしていきましょう。
【1】タッチで変わる表現力 ヤマハ Clavinova CLP-645
アコースティックピアノの音色の変化に着目し、奥深い表現を実現した高品位モデルです。
アコースティックピアノならではの「音の鳴り始めから鳴り終わりまでの、なだらかな音量の変化」「タッチの仕方で表現できる音の鋭さや柔らかさ」を無段階で自然に表現できます。
また、鍵盤の美しさや手触りにこだわっているのも特徴で、象牙調の白鍵と黒檀調の黒鍵が肌に吸い付くようになじみ、滑りにくい抜群の使い心地を実現しています。
長時間の演奏も疲れない手触りと本格的な音色を併せ持つ、本物志向の製品といえるでしょう。
【2】オーケストラと共演 カシオ CELVIANO AP-710
世界に知られるアコースティックピアノの名品「ベルリン・グランド」「ハンブルク・グランド」「ウィーン・グランド」の3つのピアノの音色を再現した「AiR Grand音源」を搭載したカシオの人気モデルです。
オーケストラの生演奏データを多数収録しているのも大きな特徴で、自宅にいながらにしてオーケストラとの共演気分を味わえるでしょう。
高い技術と遊び心を兼ね備えた、上級者におすすめの製品といえそうです。
【3】音の余韻も表現 コルグ C1 Air
奏者の指先の微妙な強弱やニュアンスを余すところなく表現してくれるモデルです。
独自の「キーオフ・シミュレーション」により、鍵盤から指を離したときの余韻や、弾き方の違いによる弦の残響までもリアルに再現してくれるため、弾き方の癖や細やかなアレンジなど、奏者の個性を生かした演奏ができるでしょう。
微妙な音の余韻や表現にこだわりを持ち、よりアコースティックピアノに近い音色を楽しみたいという人はぜひ検討したい製品といえるでしょう。
デザイン重視 おすすめの電子ピアノ2選
電子ピアノを購入するのなら、品質だけでなく、見た目にもこだわりたいと考える人も多いのではないでしょうか。どんな空間も邪魔しないデザイン重視の製品をチェックしていきましょう。
【1】コンパクトな1台 ヤマハ アリウス YDP-S34
「モダン&スタイリッシュ」をテーマにヤマハが手掛けたコンパクトモデルです。
直線をメインにしたスマートなデザインに、「ブラックウォールナット」「ホワイト」「ホワイトアッシュ」という定番のカラーラインアップで、どんな空間でも悪目立ちせずスッキリと収まるでしょう。
基本的な機能を備えつつ、インテリアの一つとして空間を彩ってくれるおしゃれな製品です。
【2】グッドデザイン賞受賞 ローランド Kiyola KF-10
国内大手家具メーカー『カリモク家具』とのコラボレーションによって生み出されたもので、その高いデザイン性により、2015年の「グッドデザイン賞」を受賞したローランドの人気製品です。
職人の手によって作られた木の温もりあふれるキャビネットは、電子ピアノの枠を超えて一つの芸術作品といっても過言ではありません。
ローランドの高い技術はそのままに、インテリアのアクセントとしても活躍してくれるでしょう。
お気に入りの1台を見つけよう
電子ピアノを選ぶ際は、鍵盤の本数や素材、最大同時発音数など、基本としてチェックしておきたい項目があります。また、内蔵されたセンサーやスピーカーの数によっても、表現できる音色は異なります。
音質や録音機能の有無など、付随する機能は各メーカーでさまざまです。求める性能の付いたお気に入りの1台を見つけて、充実した練習ができるとよいですね。
文・構成/HugKum編集部