子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
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お隣から毎日のように聞こえる子どもの泣き声と叫び声。心配になりながら、ウチの息子に影響はないのかも気になって…
マンションに住んでますが、最近気になる事があります。
窓を開けているとお隣さんの声が聞こえてきます。我が家と同じくらいの男の子が1人居るのですが、その子が、最近、毎朝、毎晩泣いてます。そして、「大人は何がしたいのー!」「早くー」など親に訴えている大声も聞こえてきます。息子は全然気にする様子もなさそうなんですが…。家族の中で私だけ気になっているのかもしれないのですが、息子の脳には耳から入る罵声は何か影響がないのかと、ちょっと心配になっています。私も聞くのは嫌だけど、コロナで外に出られない状態で、みんなストレスが溜まっている今、お母さんの気持ちも子供の気持ちも分かると思って過ごしてます。生活が戻れば気にならなくなるのかなとも思うのですが…。(4歳の息子の母)
年齢的に息子さんへの影響は心配しなくて大丈夫。お母さんは共感してくれる人が必要な状況なのかも
今日も聞こえていますか? お隣さん。まずは息子さんに影響はないでしょう。
例えば、お子さんが通っている園でも誰かが大泣きしていたりしても、平気で隣であそんでいる光景を目にしませんか?
すごく親しい場合は近寄っていったりしますが、一緒に泣き出すことはありません。これは5歳くらいからは変わってきますけどね。なぜかと言えば、仲良しの子の痛みが、我がことに思えるようになるからです。隣の子の泣き声や怒鳴られているのを聞いて「なにがあったのかしら?」という想像は、今の年齢ではしないと思います。騒音程度といっては申し分けないけど、そんなものです。
息子さんに「どうして、あんなに泣いているのかしらね」などは言わないでおきましょう
あなたが「どうして、あんなに泣いているのかしらね」「怒鳴られてかわいそうね」とか言うと、聞く耳を持ち始めますから余計なことは言わない方がいいでしょう。
あなたが気になり、お隣さんに声をかけられるようなら「この自粛、つらいですね」「子どもって言うこと聞かなくていやになりますね」とか声をかけてもいいでしょう。その方にも共感してくれる人が必要なのかもしれません。
私はお隣さんが子どもにあたっているとき電話をかけました。電話が鳴ると、いままでとすっかり違うトーンで声が出てきます。気持ちもクールダウンします。私はそのまま受話器を置きます。つまり、無言電話。
聞いていられないほどだったら、役所の福祉課、もしくは民生委員に連絡してもいいと思います。虐待ではないけど、イライラしているようなんです、くらいにね。
暑くなると窓を開けるから、丸聞こえ! それがブレーキにもなります。気をつけなくちゃね!
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水