年長さんとなる5~6歳の子どもには、どのような特徴があるのでしょうか。身長や体重などの基本情報のほか、体や心の成長度合いについても知っておきましょう。また、小学校入学を控えるにあたり、入学前に済ませておきたいことも紹介します。
年長さんの成長と特徴
小学校入学を控える年長さんは、年齢でいうと5~6歳で、この時期にぐっと成長する子どももいます。精神的にも成長し、さまざまな遊びを覚える時期ともいえるでしょう。
平均身長と体重
5~6歳の平均身長は、110~116cm程度です。男子のほうがやや高めですが、ほぼ差はありません。以降、成長期の間は年に6cm程度ずつ身長の平均値が上がっていきます。
5歳の平均体重は、男女ともに18~19kg程度です。6歳になると21kg程度まで成長します。
ただし、身長も体重も個人差があるので、必ずしも平均に近づいている必要はありません。3~4歳ころは100cm以下の子どもも多く、年長さんになって成長を実感することも多いでしょう。
遊びの幅がどんどん広がる
年長さんくらいになると、走ったり狭い場所を歩いたりと、自由に行動する姿が目立つようになります。小さいころの危なっかしい歩き方がなくなり、バランス感覚も優れてくるので、ブランコで立ち漕ぎができるようになるなど、遊びの幅も広がるでしょう。
指先の動きも器用になり、細かい部品のある道具も使いこなせるようになってきます。「以前よりも複雑な遊びができるようになった」と感じることが増えてくるでしょう。
身の回りのことができるようになる
年長さんになると、着替えや周囲の片付けなど、自分だけでできるようになることが増えていきます。食事やトイレなど、毎日の習慣はほぼ1人でできるようになっているでしょう。
周囲が促してあげれば、服をたたんで片付けることや靴をそろえるなど、マナーを守った行動もできます。まだ手伝いが必要な場合でも、段階的に自立を促すことで、成長が見込めるでしょう。
お友達とのつながりも深くなる時期
身体的な能力だけでなく、精神的な部分にも変化が出てきます。コミュニケーションが上達するため、友達や家族と楽しく付き合っていけるでしょう。自分の気持ちをぶつけるだけだった幼児期と比べると、成長を感じられます。
相手の気持ちを思いやれるようになる
赤ちゃんのうちは、誰でも自分のことしか考えられません。しかし、年長さんくらいになると、周りの友達や家族の気持ちがだんだんわかってきます。
泣いている友達をなぐさめることや、慌ただしく家事や育児に励んでいるママやパパにエールを送ることもあるでしょう。
「何をすれば相手が喜んでくれるのか」「人が嫌がることをしてはいけない」など、集団で過ごすときに必要な社会性も身に付いてくる時期です。
会話でのコミュニケーションを楽しむ
年長さんになると、話す言葉もバリエーションが増えてきます。大人びた子どもなら、大人と同じような言葉を使うことも増えてくるでしょう。
簡単な言葉だけでコミュニケーションを取っていた幼児期とは異なり、自分の気持ちを言葉で伝えることができます。しりとりなど、言葉を使った遊びも楽しめるでしょう。
友達やママ・パパとおしゃべりをして、さらに言語能力はアップしていきます。子どもとの会話を楽しみつつ、コミュニケーション能力の成長にもつなげましょう。
育て方のポイントは?
子どもを育てるときには、褒め方や叱り方などで悩むことも多いでしょう。子ども本人の性格や個性によって対応が異なってくる部分もありますが、よいところを伸ばすには褒めることが効果的です。
まずは自尊心を大切に
小さい子どもといっても、「自尊心」は尊重してあげる必要があります。「すごいと思われたい」「優秀だと思われたい」などの気持ちは、年長さんでもすでに持っているものです。
そのため、叱るときに「〇〇くんはできているのに」など、友達や兄弟と比較して責めるのは避けましょう。
褒めるときは、本人のプライドをくすぐる言葉が効果的です。「ママ・パパは自分のことをたよりにしてくれている」と感じれば、お手伝いをしてくれたり言いつけを守ってくれたり、その気持ちに応えようとしてくれるはずです。
褒めるにも叱るにも具体的な言葉で
年長さんのなかには大人びている子もいて、大人が考えているよりも精神的に成長しています。そのため、幼児あつかいして適当にあしらう態度ではなかなか納得してくれません。
褒めるときも注意するときも、具体的な言葉のほうが響きます。例えば友達を思いやって遊び道具を譲れたことを褒めるときには「お友達のことを大切に思えるのはすごいことだね」と、何がよかったのかを伝えましょう。
叱るときも同様に、何がどういう理由でいけないのか、何が本人のためにならないのか、どのように他の人に迷惑をかけるのかなど、具体的な理由を添えて注意しましょう。
ただし、具体的に述べるのは本人の話にとどめておきましょう。「〇〇ちゃんより早くできてえらい」「〇〇ちゃんより出来映えが悪い」などの褒め方・叱り方は、友達と自分を比べる癖がついてしまいます。本人がどれだけ頑張ったのかなど、子ども本人を見て感じたことをそのまま伝えるのがベターです。
小学校入学前にしておきたいこと
小学校に入学する前に、ある程度準備しておきたい事柄がいくつかあります。先生や保護者がサポートしてくれる幼稚園・保育園とは異なり、小学校では登校から帰宅まで基本的には子ども一人で行動します。
入学してから慌てることのないよう、練習や勉強をしておきましょう。
必要な生活習慣を身に付ける
小学生になると、ある程度のことは子ども一人で行います。学校で困ることがないように、基本的な習慣は身に付けておきましょう。
学校では、自分の物を道具箱に入れて整理整頓します。親が見ていないところでもきちんと片付けられるよう、普段の生活で小物などの片付けを練習しておきましょう。
また、トイレの使い方を教えるのも重要なポイントです。家のトイレしか知らないと、学校で身構えてしまうこともあります。外出先でも一人で用を足せるように練習してきましょう。和式トイレの使い方も覚えておくと役立ちます。
体育の授業などで着替えることも多いため、着替えもひとりでできるようにしておきましょう。
ひらがなを練習しよう
小学校に入学すると、自分の名前を書くことが増えてきます。ひらがなを覚えておけば、名前を書くときにも役立つでしょう。
また、勉強面でもひらがなは欠かせないものです。ノートを取ったりテストに答えたりできるように、入学までにひらがなを覚えておくとスムーズに学習が進みます。
完璧ではなくても、ある程度文字の書き方や読み方がわかっているほうが授業の理解も早いでしょう。
受け忘れている予防接種がないか確認
ワクチンが重要とされるのは、幼児期だけではありません。小学校入学前の1年間に受けておきたいワクチンがいくつかあります。
年長さんの間であれば、「麻疹風疹混合ワクチン(MR)」は無料です。そのほかに、ジフテリア・破傷風・百日咳に効果がある「3種混合ワクチン」「ポリオワクチン」「おたふくかぜワクチン」が任意で受けられます。
麻疹風疹混合ワクチンとおたふくかぜワクチンは幼児期に接種していますが、2回目が必要です。新たな集団生活を迎える前に、受け忘れがないか確認しておきましょう。
できたことを大切に! 成長を見守ろう
年長さんになると、幼児期よりもできることが増え、子どもの成長をより一層感じることでしょう。とはいえ、成長には個人差があるため、慌てずに子どもの成長を見守ることも大切です。
また、小学校の入学を控える時期でもあるため、自分の身の回りのことがある程度できるようになっていると、入学後の生活にも役立ちます。少しずつ練習しておきましょう。
構成・文/HugKum編集部