思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、鈴木尚子さん(ライフオーガナイザー)に寄せられた‟子どもの片付けについての悩み”を伺いました。
ママ達から受けるたくさんの悩みの中から、特に多い質問を選りすぐってお話してくれました。どれもそうそう!と思う質問ばかり。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
きれいを伝えられるのはママ!
子どもとの片付けにおいて、お母様からよく聞かれることについて、今日はお答えしたいと思います。
ライフオーガナイザーである筆者は、よく『「片付けなさい!」この言葉を言わずに済む日は来るのでしょうか?』と打ち明けられます。
お母さんが伝え続けることが大切
『うちの子は、一生、片付けられるようにならないのでは……?」と不安な思いで毎日を過ごしている方もいらっしゃるかもしれませんので、こんな実例からご紹介します。
あるマダムから伺ったお話。
30を過ぎた息子さんは、一人暮らしをしていらっしゃるそうですが、お母様が留守中に何かを届けに行った夜のこと。
息子さんから
「植木触った?」
とラインが来たそう。
確かに植木を動かしたそうなんですが、植木が動いたことがわかるくらい、部屋中が片付いていて、リモコンもまっすぐに置いてあるような息子さんとか。
しかし、小さい頃は全く片付けができず、しょっちゅう「片付けなさい」を連呼していたとおっしゃるのです!
それを聞いて、ふと我が子は17歳なのですが、ある日突然片付けるようになったことを思い出しました。
突然片付けるようになった、我が子の話。
きっかけは、お洋服に興味を持ち始め、自分のお洋服をお店のように並べたいと考えたからのよう。
片付ける習慣がある家の子は、どこかのタイミングで片付ける人になる確率が高いので、お母さんが「きれいって気持ちがいいよね」ということを伝え続けることが大切なんですね。
今、お子さんは片付けができなくても、きっとどこかで変わると思ってください!
「ライフオーガナイズ」とは?
筆者が提案したいのは、アメリカ発祥の片付け術である「ライフオーガナイズ」です。ライフオーガナイズとは、“もの“だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やもの、「暮らしを最適化」する片付け術です。
ライフオーガナイズの手法
単にものを捨てたり、収納グッズを揃えたりするのではなく、思考や、行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法です。
では、みなさんから寄せられた質問に対して、回答していきます!
Q.「子どものものは親が勝手に捨てちゃダメなの?全部いるって言うんです」
A.「勝手に捨てるのではなく、『少なくする必要がある』と明確に伝えましょう」
おもちゃの片付けの基本ができるのは1歳からですが(ナイナイしようね〜と箱に入れることがスタート)、おもちゃの管理ができるようになるのは、3歳以上。
つまり、3歳以下まではお母様が片付けられる量を見極め、管理をしてあげる必要があります。
その後も散らかってしまいがちで片付けることを拒む子ならば、どんな年齢でも『少なくする必要がある』と明確に伝えていく必要があります。
少なくする方法
どこにおいていいのか?置ける量はここまで、ということを明確にすることが大切で、「場所は有限である」ことをしっかり教え、そこに合わせて処分を促しましょう。
我が家では、「サンタさんは欲しいおもちゃの置き場所がないと届けてくれないんだよ!」と教えていたので、冬休みに入ると、欲しいものに合わせてものを選び直すことが習慣になっていました。
Q.「思い出や作品って、どうしたらいいですか?」
A.「思い出の品などは厳選して、お気に入りのみを残しておかれるといいでしょう」
幼稚園や保育園での子どもの作品は、小さいうちは増える一方に感じるかもしれません。
また、小さい靴、お気に入りだったタオル、「ママへ」と書かれた小さなお手紙、折り紙などの思い出の品物もたくさんになりますよね。
これら思い出の品は子どもが反抗期の頃に、可愛かった頃を思い出す子どもたちとの「カンバセーションピース」にもなりますので、お気に入りは残しておかれるといいでしょう。
子どもと一緒に厳選して
カンバセーションピースは全部を取っておくのは不可能ですから、これは傑作だね!これは素敵だねとお子さんと一緒に選んで残すことをおすすめします。
ファイルなどで保管
「ここに入るだけ」と場所を決め、そこに入るものを常に取捨選択するように、ここでも「場所は有限である」ことを伝えることが大切です。
例えば、筆者は画用紙に書かれた絵は、小学生になってからも多数持ち帰るので、下記のような「お絵描きファイル」に入れ、一人2冊程度保管しています。
かさばらなくなり、丁寧に保管ができるので、時々見返す時にも扱いやすくおすすめですよ!
Q.「いくら言っても片付けができるようにならないんです」
A.「片付けの動機について、お話ししてあげてください」
「なぜ、片付けをするのか?」話す
お母様は、片付けは何のためにやるものか、それをお子さんに伝えていらっしゃいますか?
小さな子どもと散歩に行き、咲いているお花を見ながら「きれいね〜」と伝えると、そのうちお花=きれいと言う感情と結びつくようになります。
すると、
「ママお花きれいね〜」
って教えてくれようになるはずです。
この感情の結びつきは、片付けでも一緒です。
「片付けは、スッキリして気持ちいいこと」と伝えて
お花と同じで、部屋はどんな状態がきれいなのでしょうか?
「お部屋が片付けばきれいになって気持ちがいいね〜」
のような声かけこそが、片付けへの意識を芽生えさせるのです!
しまいやすい仕組みは親子で考える
「自分でできた!」
子どもだってモチベーションは必要なのです。
それには、しまいやすいことが重要で、古くて、閉めにくい引き出しなどは、やる気も削がれてしまいますので、仕組みを一緒に考えるのも重要です。
A君の成功例
実は、ちょっとお兄さんっぽい部屋に憧れていたと言う小学生の男の子A君のお部屋。
お気に入りのTシャツを引き出しではなく、ハンガーにかけたい!と言うので、仕組みを作ってあげると、他の箇所の片付けにも興味を持ち始め、片付けがスムーズになりました。
美意識を育てよう!
片付けなければならないではなく、片付いた気持ちのいい部屋でゆっくりしようよ。
ものがなくなって怒られるような部屋じゃなく、何がどこにあるか自分がわかるお部屋を作ろうよ。
片付いたら気持ちがいいね!それを教えてあげられるのは、家庭であり、ご両親なのです。
最近は共働きで忙しく、片付けがままならないお宅も増えています。そんな時はプロの手を借りたり、家事代行を利用してもいいと思います。「きれいは気持ちいい」が、連鎖するといいですね!
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記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている