思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、鈴木尚子さん(ライフオーガナイザー)に、今回は、子どものお片付けについて伺いました。
みなさんは、子どもに「片付けなさい! もう捨てるよ?」などと言わなくても進んで子どもが片付けてくれたら、うれしいですよね。そんな夢みたいな話を鈴木さんは「手順さえ踏めば実現できますよ」とにっこり。早速そのやり方やコツを教わりましたので、ぜひ試してみてください。
子どもに片付けを促す理由は
私たちは今日までに何回子どもに「片付けなさい」と言ったでしょう?(笑)
毎日一回?いや10回?「早くしなさい」「宿題しなさい」「片付けなさい」気づいたら子どもとの会話がこの三言で終わるなんて無いようにしたいものですよね。
片付けは子どもの自立の練習!
きちんと手順を踏めば「片付けなさい」と言わなくて済むようになりますから、今日から子どもとの片付けについて考えていきましょう。
「ライフオーガナイズ」とは?
筆者が提案したいのは、アメリカ発祥の片付け術である「ライフオーガナイズ」です。ライフオーガナイズとは、“もの“だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やもの、「暮らしを最適化」する片付け術です。
ライフオーガナイズの手法
単にものを捨てたり、収納グッズを揃えるのではなく、思考や、行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法です。
「片付けなさい」という言葉の意味とは
まずは、ここでおさらいです。
そもそも日頃から便利に使っている、この「片付けなさい」という言葉は、いったいどんな意味を持っているのでしょうか。
それは「使ったものを整えて、元の場所に戻すこと」です。
つまり、片付けという行為は、この「元の場所」の存在なしには行うことはできません。
しかし、「うちの子は片付けられない」と嘆かれるママの元に参りますと、ほとんどのおうちは、下記のような状況です。
【子どもが片付けられない家庭の状況例】
・ 片付ける場所があいまいで、元の場所が存在しない。
・ 一度決めた場所がいっぱいで入らない。
・ 子どものものと親のものが混在していて、責任があいまい。
・ 子どものものを置く場所はあるが、はみ出して床に置かれている為、床も置いていい場所という認識にかわってしまっている。
・ 新しいものが入ってきても、ものの住所を決めないためいつの間にか無法地帯。
これでは、片付かなくて当然!
口酸っぱく「片付けなさい」を連呼してもまたすぐに戻ってしまいますし、子どもにとっても「片付け」と言うのは怒られる言葉として認識するだけで、とても嫌な行為だとということだけ植え付けられてしまいます。
筆者は、これまでたくさんのお宅でお子様との片付けに関わってきましたが、子ども達が最後に言うのは「あー楽しかった!」という言葉。
そう、本来「片付け」とは、とても楽しい行為なのです♪
子どもが片付けられるようになる3つのコツ
子どもと一緒に片付けられる環境作りを行っていきましょう。
子どもが片付けられるようになるには、3つのコツがあります。
【1】子どもが片付けられる量であること
【2】片付ける場所が決まっていること
【3】子どもにとって片付けの方法がむずかしくないこと
【1】子どもが片付けられる量であること
どのくらいの量が適切かと言えば、遊んだ後に10分以内に子どもが片付けられる量であること。
ママが一緒にやっても10分以上かかる場合は、明らかに物量がオーバーしています!
また、床に物が置かれている、収納内に入らない場合は物量の調整が必要です。収納量に対して80%くらいが、この後解説する、コツ【3】の戻しやすさの目安だと思ってください。
【2】片付ける場所が決まっていること
全てのものには、ものの住所が必要です。
筆者が悩んでいるお宅へ伺うと、お子さんから
「これはしまう場所が決まっているんだけど、これは決まっていないんだ」
とよくこのような台詞が出てきます。
一度はママと片付けたけれど、その後に増えたものには住所がない。
買う前にどこにしまうか親子で考えよう
「ものが増えたら、自分でどこにしまったらいいかを考えてね」
という声かけだけでできるお子さんもいますが、できるまではこの行為には大人が知恵を貸してあげましょう。
ママ自身も苦手ならば、「どこにあったら戻しやすいかな?」を合い言葉に一緒に考えてみましょう。
パズルやブロック遊びのように、子ども達は自ら考えてくれるはずです。
何の為の活動の部屋(場所)なのかも重要
その際、気をつけてほしいことは、何の為の活動の場所なのか?をしっかり考えるということ。
つまり、寝る場所、遊ぶ為の場所、勉強する場所など、その境界をしっかり作っておくことが大切です。
混在すると、その活動自体が混在し、机に座って勉強しているようでマンガを読んでいる……とか、寝るといいながらゲームをしている……など問題を引き起こします。
【3】子どもにとって、片付けの方法が難しくないこと
大人にとっては当たり前の感覚でも、子どもにとっては難しいということも少なくありません。
重たい引き出しを開けるのが困難だったり、机の横についたフックにランドセルを掛ける行為などは実は大人でも難しいこともあります。
また、年齢によってできることとできないことがあるため、どんな方法ならできるのか?ママの理想ではなく「これならできる!」を探してあげてくださいね。
また、ママ一人で悩まず、家族みんなで片付けと向き合ってみましょう!
しっかりと場所が決まっていれば、ママも「元の場所に戻しておいてね」の一言で子ども達が動いてくれるようになるはずです。
次回は、筆者に寄せられた‟子どもの片付けについての悩み”をQ&A方式でお答えしていきます。楽しみにしていてくださいね。
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記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている