【保育園の費用】認可・認可外で違いは? 保育無償化でもお金はかかる? 

幼児教育・保育の無償化がスタートしています。これからわが子を保育所(もしくは、認定こども園の2号・3号認定)に入れようと考えているパパ・ママからすれば、制度の仕組みが分からない部分もあるかもしれません。そこで今回は保育所と認定こども園(2号・3号認定)の費用についてまとめました。

認可保育園の費用の決まり方

幼児教育・保育の無償化を考える際には、都道府県に認可された保育所と、認可されていない保育所があると知っておきたいです。認可とは、国が定めた各種の基準を満たした保育所が、都道府県知事や政令指定都市の市長、中核市の市長に認められた保育所になります。

認可された保育所と認可されていない保育所では、費用の決まり方が異なります。結果として、無償化のされ方も異なってきますので、まずは全国に3万4千カ所ほどある「メジャー」な認可保育所(認定こども園含む)の無償化から説明します。

子どもが3~5歳だと無料

認可保育所(認定こども園)にわが子を通わせる場合、原則的には例外なく保育料は無償化されます。ただ、ちょっとした誤解が生じる恐れもあるので、まずは何歳からわが子を保育所に入れたいのか考えてみてください。

入所を考える年度の4月1日時点で、わが子が3~5歳の場合は(「以上児」とも呼ばれます)一律に保育料が無料になります。保護者の納税額の違い、私立・公立の違いなども関係ありません。

ただし、あくまでも保育利用料が無料なだけであって、給食費、通園送迎費、行事費などは別途発生します(例外として第3子以降の子どもはおやつ費用などは免除)。

子どもが0~2歳の場合は、自治体ごとに世帯所得で変わる

入所する年度の4月1日時点でわが子が0~2歳の場合(「未満児」とも呼ばれます)、保育料が無償化されません。

自治体ごとに独自の利用料が定められます。保護者の世帯年収によって変わりますので、自治体の料金表をチェックしてください。自治体の公式ホームページ上に公開されています。

ただし、子どもが0~2歳であっても、認可保育所と認定こども園で利用料が無料になる場合があります。その条件は以下の通りです。

  • 住民税が非課税の世帯
  • 障害児の発達支援を利用する子ども

世帯年収別の認可保育園(未満児クラス)の費用

認可保育所のいわゆる「未満児」(0~2歳)クラスに通う場合、自治体の定めに応じて、世帯年収によって利用料が決まると紹介しました。その平均額はどの程度なのでしょうか?

認可保育園の費用の平均

認可保育所の0~2歳児(未満児)クラスにわが子を通わせる場合の費用(保育利用料)は、全国の自治体でそれぞれ異なるのですが、全国平均は月額4.2万円とされています。この数字は後に紹介する認可外保育所の利用料にも関係してきますので、なんとなく頭に入れておいてください。

一方で3~5歳児(以上児)のクラスに通わせる場合、現在の費用(保育利用料)の全国平均は0円です。

ただし、どちらの場合も別途で給食費や送迎費などは自己負担が求められます。

世帯年収400万円

以上のような全国平均を踏まえ、次は実際に東京都(品川区)と大阪府(大阪市)を例に、年収別の利用料を比べてみます。利用料は細かく言えば年収ではなく、所得金額に比例して課税される住民税額で決まります。

同じ年収でも控除額が違えば、所得割額も変わってきます。その意味で以下の数字は正確ではないのですが、例えば年収400万円の場合、所得割額が67,000円~77,000円だと試算されていますので、この額で認可保育所の未満児クラスの利用料を比較します。

  • 東京都品川区・・・第1子18,400円、第2子9,200円
  • 大阪府大阪市・・・第1子21,500円、第2子10,750円

※あくまでも目安です。

世帯年収500万円

次は世帯年収が500万円を想定します。所得割額を97,000円~115,000円と試算すれば、認可保育所の0~2歳児(未満児)クラスの利用料は以下の通りになります。

  • 東京都品川区・・・第1子25,800円、第2子12,900円
  • 大阪府大阪市・・・第1子28,300円、第2子14,150円

※あくまでも目安です。

世帯年収600万円

世帯年収が600万円の世帯では、所得割額が133,000円~169,000円程度だと試算されています。この数字で利用料を計算すると、以下の通りになります。

  • 東京都品川区・・・第1子30,500円、第2子15,250円
  • 大阪府大阪市・・・第1子39,400円、第2子19,700円

※あくまでも目安です。

世帯年収700万円

世帯年収が700万円の場合は、所得割額が189,000円~199,000円程度だと試算されています。この額で利用料を計算すると次のようになります。

  • 東京都品川区・・・第1子33,000円、第2子16,500円
  • 大阪府大阪市・・・第1子45,100円、第2子22,550円

※あくまでも目安です。

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認可外保育園の保育料について

ここまで認可保育所の保育利用料について、具体例を示してきました。では一方で、認可外保育所の利用料はどのようになるのでしょうか。認可外と言われると数が少ないように思うかもしれませんが、実際は全国に1万2千カ所、利用者が17万人ほど存在しています。

認可外保育園の費用

認可外保育施設とは、具体的にはベビーホテルや事業所内保育施設、居宅訪問型保育事業(ベビーシッター)などが挙げられます。

これらの施設は、サービスの提供者側によって利用料が自由に決められているので、定められた額の利用料を利用者が負担しなくてはいけません。

保育料無償化の対象条件

この認可外保育所の利用料も、無償化されるのでしょうか、されないのでしょうか? 結論から言えば、0~2歳の「未満児」クラスは原則的に無償化がされず(保護者が住民税非課税世帯の場合は例外)、3~5歳の「以上児」クラスは無償化がされます。

幼児教育・保育の無償化はそもそも、

<幼児教育の重要性に鑑み、すべての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指すもの>(関係閣僚・与党実務者連絡会議の資料より引用)

という目的で始まっています。認可外保育施設を利用する子どもとその保護者にも公平に、無償化の恩恵を与える設計になっているのですね。

ただし、「以上児」クラスの無償化にも額に上限があります。入所の年度の4月1日時点で、わが子が3~5歳(以上児)の場合は、3万7千円を上限として無償化、もしくは割引が行われます。

幼児教育・保育無償化の適応範囲

ここまで、保育所の費用の具体例などを見てきました。あらためて認可・認可外を含めた、幼児教育・保育無償化の範囲を整理します。

子どもの年齢・対象となる子ども

無償化の対象となる子どもの年齢は、3~5歳の子どもだと、公立・私立、世帯の年収の違いに関係なく、全ての認可保育所と認定こども園で保育利用料が無料になります。

認可外保育施設の場合、住民税が非課税世帯の0~2歳の子どもは4万2千円、3~5歳の子どもは全世帯が3万7千円を上限に、利用料が無償化、もしくは割り引かれます。

対象の施設やサービス

幼児教育・保育の無償化が無条件で対象となる施設は、保育所以外にも、認定こども園と幼稚園があります。

  • 公立と私立の幼稚園(一部の独自に授業料を設定している私立幼稚園は上限額があり)・認定こども園(1号認定)
  • 公立と私立の保育所(一部の認可外保育施設は上限額があり)・認定こども園(2号・3号認定)の3~5歳児クラス

無償化の計算方法と上限額

幼稚園の中には、一部の私立幼稚園(子ども・子育て支援新制度に移行していない学校)のように、授業料の無償化に対して上限額が設定される学校があります。上限額は授業料に対して25,700円までが無償化、もしくは割引とされています。

ただし、その手の学校に子どもを通わせる保護者に対しては、自治体から補助金によるサポートがあり、保護者の手出しの負担が軽くなる場合もあります。

認可外保育施設に関しては、3~5歳児クラスに限り、月額利用料のうち上限3万7千円までが無料、もしくは割引になります。認可外保育施設の0~2歳児クラスにわが子を通わせる場合、住民是非課税世帯であれば月額4万2千円までは無償化されますが、課税している世帯では無償化は行われません。

原則として「以上児」は無償化され、「未満児」は無償化さないと考えておくと分かりやすいかもしれません。

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保育園の費用まとめ

細かい条件がいろいろ重なるので、ちょっとややこしく感じるかもしれませんが、保育所と認定こども園に関して言えば、3~5歳クラスに通わせる限り、無条件で保育利用料が無料になります(給食費や送迎費などは除く)。

各自治体の情報と照らし合わせながら、わが子の場合の保育園費用を具体的にイメージして園選びに役立ててください。

文・坂本正敬 写真・繁延あづさ

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【参考】

※ 平成 30 年度 認可外保育施設の現況取りまとめ – 厚生労働省

※ 「保育所等関連状況取りまとめ(平成 30 年4月1日)」を公表します – 厚生労働省

※ 保育園等保育料一覧(2020年度) – 品川区

※ 令和2年度の保育施設等の保育料のお知らせ – 大阪市

※ 見てみよう 教育 – 文部科学省

※ 学校基本調査 – 文部科学省

※ こんなときはどうするの? – 文部科学省

※ 幼児教育の現状 – 文部科学省

※ 幼稚園、保育所、認定こども園等の無償化について – 内閣府

※ よくわかる「子ども・子育て支援新制度」 – 内閣府

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