子育て中のパパ・ママの皆さん、最近よく眠れていますか? 親子にとって快適な睡眠は心身ともに健やかに暮らすためには不可欠のはずです。
小学校の高学年になると子どももゲームや「スマホ」を持ち始めて、油断すると夜更かしするようになってしまいがち。一方でそのころは保護者も学費・住宅ローンなど経済的な問題があり、子どもの将来や進路にも具体的な悩みが増えてきて、落ち着いて安眠できない日々を過ごしているかもしれません。
そこで今回はパパ・ママの睡眠実態を明らかにするべく、全国に暮らす20代~50代のパパ・ママ121人に対してHugKumが独自にアンケート調査をしました。見えてきた現状への対策も一緒にまとめましたので、ぜひチェックしてみてくださいね。
寝つきが悪い・眠れないのはなぜ?
まずは全国のパパ・ママがどのような寝つきの状態にあるのか、実態を把握してみましょう。全国の保護者121人に「寝つくまでにどのくらい時間がかかる?」と聞いたところ、次のような結果になりました。
Q.寝付くまでにどれくらいの時間がかかりますか?
- 第1位・・・10分~20分未満(38.8%)
- 第2位・・・10分未満(26.4%)
- 第3位・・・20分~30分未満(16.6%)
- 第4位・・・30分~1時間未満、1時間以上(各9.1%)
意外にも(あるいは全く意外ではないのかもしれませんが)20分未満の人たちが65.2%に達します。現状で半数以上のパパ・ママが寝床に入って20分未満には眠りに入れていると分かります。第3位を合計すると81.8%が30分未満に寝つけています。要するに世の保護者たちはきちんと寝ることができているのですね。
どこからが「寝つきが悪い」といえるの?
『家庭医学館』(小学館)によると不眠症は、
- 入眠障害(横になってもなかなか眠れない)
- 中途覚醒(寝ている途中に起きてしまう)
- 早朝覚醒(早朝のまだ暗いうちに目が覚めてしまう)
- 熟眠障害(ぐっすり眠れない)
に分類できると言います。
この中で1番の入眠障害が寝つきに関係します。専門家によっても見解が異なるようですが、寝床に入ってから30分から1時間以上、あるいは2時間以上眠れない状況を「寝つきが悪い」と呼ぶようです。
上述のアンケート調査で言えば、第4位に該当する人たちが、少し生活を見直したほうがいい部類に入るのかもしれません。
寝つきが悪いと感じるママパパの体験談
特に「時々布団入ってから4時間後に寝付いた」とか、「朝5時半や6時まで寝れていないと感じることもある」といった状況は、かなり深刻そうですよね。
『家庭医学館』(小学館)によれば、このような不眠症状が続き、
<本人や家族の人々に対して、著しい苦痛を与えたり、社会生活や仕事のうえで著しい機能障害をもたらしたりする場合に>(小学館『家庭医学館』より引用)
大人編|寝つきが悪くなる原因
不眠症とまではいかなくても不眠症状が出る・寝つきが悪くなる原因には何があるのでしょうか?
眠る環境が悪い
『家庭医学館』(小学館)によると、眠れない=不眠症状が生まれる理由の1つに睡眠環境の悪さが挙げられています。
- 騒音
- 暑さ・寒さ
- 明るさ
- 多湿
- 寝床の質の悪さ、寝床の変化
- そもそも寝る場所として適していない(高所)
これらの中に思い当たる何かがある場合は、寝心地の良さを求めて環境を整えたほうがいいかもしれません。
心と気持ちの問題
他にも心の問題が挙げられるといいます。不安・心配・悩み・緊張・興奮などの気持ちが眠りを遠ざけてしまうケースは、恐らく多くの人が感覚として知っているはず。
「疲れてるのに頭が働いて中々眠れない時があります。」(40代・北海道・子ども1人)
「悪いと思います。やるべきことなど考えてしまうので。子どもたちもなかなか寝ず、先に寝ることはできないので。」(40代・埼玉県・子ども2人)
HugKum独自のアンケート調査でも、心の問題に該当しそうな印象の回答が見られました。
似たような心と気持ちの問題として「今日も眠れないのではないか」と不安を感じてしまい、かえって眠れなくなる人もいるみたいですね。
寝る前の悪習慣
眠る環境が好ましく、心と気持ちの問題がなくても、寝る前の習慣が悪い場合は不眠症状が出てしまう場合もあるようです。
- 生活が規則的でない
- コーヒーやお茶を飲んでしまう
- 飲酒しすぎてしまう
などの悪習慣は睡眠に悪影響を与えるとさまざまな場所で指摘されています。
「携帯をいじっているとなかなか眠れない」(40代・神奈川県・子ども3人)
このような悪習慣もHugKumの調査では回答として挙がっていました。HugKum過去記事でも「スマホ」のブルーライトが睡眠を妨げるとは専門家が指摘しています。HugKumのこのサイトをご訪問くださる場合にも、時間帯やコンディションには十分ご注意くださいね。
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加齢
おじいちゃん・おばあちゃんになると睡眠時間が短くなる・朝が早くなると聞きます。実際に高齢者と同居している家では毎日目の当たりにしているかもしれません。
『家庭医学館』(小学館)にも同様の記述があり、加齢とともに夜のトイレが増えたり、寝ている時間と起きている時間のパターンが崩れたりして、寝られない状況が起こりがちなのだとか。
パパ・ママ世代にはまだ無関係の話ですが、同居しているおじいちゃん・おばあちゃんの不規則な生活が間接的にパパ・ママの寝つきの悪さを助長している可能性も十分にあります。
病気とけが
心と体、神経など各種の病気が寝つきの悪さの原因になっている場合もあると『家庭医学館』(小学館)では指摘しています。痛みのひどいけがが原因で眠れない場合もあるようです。
環境を整えたり、生活習慣をあらためたり、不安な気持ちを解消してもなお眠れない場合は、病気やけがの可能性を疑ってかかりつけの医師に相談したほうがいいかもしれません。
子どもの寝つきの悪さで考えられる原因
大人の寝つきの悪さを引き起こす要因の数々は、もちろん子どもの寝つきの悪さの引き金となります。ただそれ以外に、子ども特有の寝つきの悪さを引き起こす原因としては、何があるのでしょうか?
親が夜更かし
『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』(小学館)によると、親が夜更かしする家では子どもも引っ張られて生活リズムが狂い、寝つきが悪くなってしまうケースもあるようです。
昼間にたっぷり体を動かして遊んでいない
HugKumの過去記事で専門家が繰り返し指摘しているように、昼間にたっぷりと体を動かして遊んでいない子どもは夜に寝られない傾向があるといいます。
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昼間に怖いものを見た、逆に昼間に楽しすぎる出来事があった
『キッズ・メディカ安心百科 子ども異学館』(小学館)によると、子どもは昼間に怖い出来事があった、逆に楽しすぎる出来事があった場合、夜中に突然怖がって泣き出したり(夜驚症)、寝床から起き出して歩き回ったりする(夢遊症)場合があると言います。
長続きしない一時的なケースがほとんどだと言いますが、繰り返す場合は医師への相談が好ましいみたいですね。
寝つきの悪さの改善策
現状でパパ・ママはどのような寝つき状態なのか。寝つきが悪い場合はどのような原因が考えられるのか。これまでに整理してきました。原因が分かった上で、改善策についてはどうすればいいのでしょうか?
親子で生活習慣を見直す
親の生活リズムが不規則だと、子どもも生活リズムを崩してしまいがちです。睡眠にも当然影響は出てくるので親子で生活習慣を見直したいです。
- 昼間に適度な運動と日光浴をする
- 長すぎる昼寝を避ける
- 大人は飲酒しすぎない
- 起床時間をある程度固定する
具体的な改善策として『家庭医学館』(小学館)では以上のような方法が紹介されています。どれも生活習慣を大きく変えるやり方ですから、なかなか大変だと思います。一気にではなく1つずつチャレンジしたいですね。
寝る環境を整える
寝室の環境・寝具が悪いと親も子どもも気持ち良く眠れません。
- 良い寝具に切り替える(体の動きをさまたげない、適度な形と柔らかさ、吸湿・通気性に優れている)
- 寝具・パジャマを清潔にする
- 寝室の掃除・片付け
- 明るさ・暗さの調整(照明、遮光カーテンなど)
- 気温と湿度の調整
などを意識して工夫したいですね。特に掃除や片付け、寝具やパジャマを清潔にするなどは、予算もかからずすぐに始められます。早速試してみたいですね。
ストレス解消する・リラックスできる方法を見付ける
ストレスがあると大人も子どもも眠れなくなります。ストレスの原因が分かっているなら取り除き、容易に取り除けない場合は親子でストレス解消する・リラックスできる方法を見付けたいです。具体的なストレス解消法としては次のような方法が挙げられるのではないでしょうか。
- つらい気持ちを親子で話す
- 親子で瞑想(めいそう)・深呼吸する
- 家事や育児、習いごとなどの優先順位を考え取捨選択する
- オンオフの切り替え
- ストレスの原因となる負担を家族で分け合う
- 掃除する
実際に上述のストレス解消法はある専門医が朝日新聞の媒体で語っていたストレス解消を参考にしています。眠りをさまたげるストレスの原因をなんとか親子で協力して軽くできるといいですね。
それでも解消しない場合は専門家への相談を
以上が寝つき・眠りに関する実態とその対処法になります。深刻な不眠症状に悩まされている人は、数としてはそれほど多くなさそうですが、中には毎日苦しんでいる親子も確かに存在しているはずです。
上述した内容を参考にしつつ寝つけない原因を突き止め考え、併せて解決を図ってみてください。何も改善しないようなら原因と解決策の選択が間違っているか、また別の可能性として何かの病気の心配も出てきます。なかなか改善に向かわない場合はかかりつけ医に相談したいですね。
文/坂本正敬 写真/繁延あづさ
【参考】
※ 『キッズ・メディカ安心百科 子ども異学館』(小学館)
※ 『家庭医学館』(小学館)
※ メンタルヘルスの専門家が勧める効果的なストレス解消法 人生100年時代を生きるキーワード・ストレス解消法 – 朝日新聞Reライフnet