赤ちゃんファーストとは
赤ちゃんファーストは、東京都が独自に実施している支援事業の名称です。対象者や支援の内容について見ていきましょう。
コロナ禍における東京都出産応援事業
赤ちゃんファーストの正式な名称は「東京都出産応援事業」です。
コロナ禍で、経済的にも心理的にも厳しい状況にある子育て家庭を応援するため、新生児1人につき10万円相当の育児用品や子育て支援サービスなどを提供します。
対象は「令和3年1月1日~令和5年3月31日に出産し、出生日に出生した子どもを含む住民登録が都内にある世帯」です。
なお、出生日が令和3年1月1日~3月31日の場合は「出生日及び令和3年4月1日」に子どもを含む住民登録が都内にあることが条件です。
該当期間内に出産し、その後一度も住民登録を都外に移していなければ対象に含まれると考えてよいでしょう。
参考:東京都出産応援事業 ~コロナに負けない!~ 東京都福祉保健局
対象家庭にはギフトカードが送付
赤ちゃんファーストには、収入制限は設けられていません。東京都の区市町村の住民基本台帳に記録されていれば、外国人も対象です。赤ちゃんの出生届と住民登録の有無で判別するため、支援を受けるための申請手続きも不要です。
対象家庭には、出生届提出から2カ月を目安に、住民登録がある区市町村より10万円分のポイントがもらえるギフトカードが送付されます。
「赤ちゃんファースト」と記載された、白とピンクが基調の封筒で届くので覚えておきましょう。
ギフトカードの使用方法
ギフトカードが届いたら、専用ウェブサイトにアクセスして好きな商品やサービスと交換できるようになります。初回登録や商品との交換方法、ギフトカードが届かないときの対処法を見ていきましょう。
届いたコードから専用サイトにアクセス
ギフトカードには、専用ウェブサイトにアクセスする「二次元コード」と、初回登録に必要な「ログインID」「パスワード」が記載されています。スマホやタブレットで二次元コードを読み込み、カードの利用登録を済ませましょう。
初めてログインするときには、子育て支援に関するアンケートに回答する必要があります。アンケートは、実際に子育て中の人が感じているニーズを具体的に把握し、今後の施策に活用するためのものです。
これから出産育児を控えている後輩ママ・パパたちのためにも、しっかりと回答しましょう。
商品を選んで申し込む
初回登録が終わると、10万円相当のポイントが付与されます。サイト内で好みの商品やサービスを選んで、申し込みます。
期限内なら、複数回に分けて申し込んでも大丈夫です。商品やサービスは700点以上用意され、洋服・おもちゃ・家電・シッターサービスなど多彩なジャンルから選べます。
すべてチェックするだけでも相当な時間がかかることが予想されるので、どのようなものが欲しいのかをあらかじめイメージしておくとスムーズでしょう。
カードが届かない場合は再交付申請を
出生届提出から2カ月以上経ってもギフトカードが届かないときは、区市町村の窓口に問い合わせてみましょう。区市町村によっては、出生届の反映やギフトカード発送処理に時間がかかっている場合があります。
処理の遅れによる未発送の場合は、発送されるまで待つしかありません。
また、ギフトカードは、確実に受け取れるように簡易書留や特定記録郵便など、発送の記録が残る方法で送られるため、発送済みの場合も問い合わせれば調べてもらえるでしょう。
発送されているにもかかわらず何らかの事情で届かない場合や、初回登録の前にカードを紛失したときは「再交付申請」ができます。申請方法は区市町村によって異なるため、事前に窓口で確認しましょう。
利用時に注意したいこと
赤ちゃんファーストは、申請手続きが不要な制度ですが、ギフトカードが届く時期によっては利用に注意が必要なケースもあります。主な注意点を見ていきましょう。
登録と申し込みには期限がある
ギフトカードの初回登録と、商品交換の申し込みには期限があります。
初回登録の最終期限は「令和5年10月1日」です。その後は登録できなくなるため、これから出産する人は、届いたら早めに行動することがおすすめです。
ポイントの有効期限は「初回登録から6カ月」になります。長いように感じても、育児に追われていると6カ月はあっという間です。気が付いたらポイントが失効していた、という事態にならないように注意しましょう。
里帰り出産の場合は送付先変更の手続きを
ギフトカードは記録が残る方法で郵送されるため、配達員から直接受け取らなくてはなりません。里帰り出産する人で、夫も忙しく自宅に不在がちの場合、なかなか受け取れない可能性があります。
ギフトカードを実家に送ってもらえば、確実に受け取れる上に必要な育児用品や消耗品が早めに入手できます。
ギフトカードの送付先住所変更を受け付けている区市町村もあるので、まずは窓口に問い合わせ、手続きの期限や方法を教えてもらいましょう。
夫が出生届を出しに行くついでに、手続きしてもらうのもアリです。期限に間に合わない場合や、区市町村で変更できない場合は「郵便局の転送サービス」を利用する方法もあります。
赤ちゃんファーストの人気商品は?
赤ちゃんファーストで交換できるサービスや商品のジャンルは、下記の10種類です。
・家事・育児等サービス
・ベビー服・雑貨
・食品
・ベビー消耗品
・生活支援用品
・おもちゃ
・ベビー用品
・多胎児用品
・衛生用品
・金券(こども商品券)
金券を除き、それぞれのジャンルで多数のサービス・商品が紹介されているため、何と交換すればよいのか迷ってしまう人も多いでしょう。
毎日が慌ただしくゆっくり考える時間がない新生児ママ・パパに、特に人気の高いジャンルや商品を四つ紹介します。
こども商品券
既に育児用品を一通り買いそろえている人や、赤ちゃんがもう少し大きくなったときのゆとりが欲しい人には「こども商品券」がおすすめです。
百貨店・玩具店・スーパー・子ども用品店・レジャー施設・タクシーなどさまざまな施設やサービスに使えるので、子どもとのお出かけやプレゼント購入に役立ちます。
こども商品券の使いみちを考えるだけで、育児に忙しい毎日も楽しく乗り切れるかもしれません。
ベビー用品
ベビー用品には、ベビーカー・チャイルドシート・ベビー用寝具・抱っこ紐・授乳や離乳食用品などが含まれます。いずれも育児には欠かせないアイテムですが、使う期間が限られるのが悩みの種です。
長いものでも2歳を過ぎるとほとんど使わなくなってしまうため、買うのがもったいないと感じる人も多いのではないでしょうか。特に、ベビーカーやチャイルドシートは高価なので、購入には勇気が要るかもしれません。
欲しくても我慢していたベビー用品があれば、赤ちゃんファーストのポイントを活用するとよいでしょう。
ベビー消耗品
ベビー消耗品とは、紙おむつとおしりふきのことです。赤ちゃんのお世話が始まってから、おむつ交換の回数の多さに驚くママ・パパは少なくありません。
特に新生児は交換回数が多く、出産前に買いだめしていたおむつもすぐになくなってしまいます。また、紙おむつはかさばるため、子どもを連れて買いに行くのも一苦労です。
しかしながら、おむつは必需品なので、我慢するわけにはいきません。赤ちゃんファーストで紙おむつやおしりふきと交換すれば、毎月の家計が助かる上に買い物の負担も軽減されるでしょう。
家事・育児サービス
赤ちゃんファーストでは、家事・育児サービスの利用券も用意しています。実家が遠かったりパートナーが多忙だったりする場合、1人で家事・育児を担うママ・パパには、家事代行やベビーシッター派遣、一時保育の利用がおすすめです。
数時間でも誰かに手伝ってもらえれば、慣れない育児に疲れたママ・パパも心身ともにリフレッシュできます。保育サービスでは担当のスタッフが育児に関するアドバイスをしてくれることも多く、新米ママ・パパの支えにもなるでしょう。
自費で利用するのはもったいないと感じがちなサービスこそ、赤ちゃんファーストに頼る価値があるといえます。
コロナ禍の出産支援策、その他の事例
コロナ禍で大変な思いをしているママ・パパやプレママ・プレパパは、全国にたくさんいるはずです。東京都以外にも、出産に関する支援を実施している自治体はあるのでしょうか。赤ちゃんファーストと似た他県の支援事例を見ていきましょう。
福岡県久留米市「妊娠出産応援給付金」
福岡県久留米市では、下記全てに当てはまる人に「妊娠出産応援給付金」を支給しています。
・令和3年4月1日~令和4年3月31日に出産または出産予定
・令和3年10月1日時点で久留米市に住民登録している
・親子(母子)健康手帳が交付されている
給付金額は、出産または出産予定の子ども1人につき5万円です。また、給付を受けるためには、所定の手続きが必要です。
石川県志賀町「新生児応援特別給付金」
石川県志賀町は「新生児応援特別給付金」という名称で、下記の条件を満たした場合、子ども1人につき10万円を支給しています。
・令和2年4月28日~令和4年4月1日に誕生した子ども
・対象児の父母で、出生時において本町の住民基本台帳で支給対象児と同一の世帯に記録され、給付申請書の提出時まで本町に住民登録している
赤ちゃんファーストを有意義に利用しよう
赤ちゃんファーストは、新生児を育てる家庭にフォーカスした東京都の支援事業です。東京都民であれば出生届を提出するだけで対象となり、面倒な申請手続きもありません。
分からないことがあれば住んでいる区市町村の窓口で対応してくれるので、出産したばかりで落ち着かない日々を過ごすママや新米パパにとっても、使いやすいサービスといえます。赤ちゃんファーストの有意義な使いみちを考えながら、赤ちゃんに会える日を楽しみに待ちましょう。
構成・文/HugKum編集部