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大学選びのその前に… ポイントとなる基準を整理!
大学を選ぶ際は、お子さんの「大学選びの基準」をいくつかに絞っておくことが大切です。まずは、その基準を絞るためにあらかじめ明確にしたいポイントを押さえておきましょう。
大学で何をしたいか
最も大切な大学選びの基準となるのは、お子さんが「大学で何をしたいか」。
興味や関心は何なのかを今一度明確にしながら、大学で何をしたいか、どんなことを学びたいかを探ります。
もしも将来やりたい仕事やビジョンがあれば、その目標に向けて学ぶべき科目を洗い出してみましょう。
気になる大学をリサーチする
「大学で何をしたいか」が明確になったら、それが実現できる大学をリサーチします。ホームページはもちろん、資料を請求したり、オープンキャンパスに足を運んだりしながら、学部やゼミ、卒業生の進路、サークルなどをチェック。
やりたいことが分からないときの対処法
もしも「やりたいことが分からない」という時は、お子さんが自分の「得意」や「好き」を、勉強科目・趣味問わず、多角的に振り返ることが大切です。
そして、それらがどの分野に分類され、どんな学部・学科で学べるのかを調べながら、進路にどのように発展していけるか、じっくり検討していきましょう。その過程の中で、高校卒業以降の目標が見えてくるはず。
以上のことを前提に、ここからは、志望校選びのポイントをジャンル別にお伝えしていきます。
学部から選ぶ|文系・理系・その他学部の種類
まずは、学部を選ぶ際に最低限知っておきたい、文系・理系・その他学部の種類を見ていきましょう。
文系の学部
文系の主な学部としては、
・法学部
・社会学部
・経済学部
・文学部
・教育学部
・外国語学部
…などが挙げられます。
大学によって学部名や、細かな学科の区分けは異なります。
理系の学部
理系の主な学部としては、
・理学部
・工学部
・農学部
・医学部
・薬学部
・歯学部
・看護学部
…などが挙げられます。
その他の学部
文系・理系のほかにも、芸術系や体育系など、自身の表現や技術を磨くことに専念した学部・学科もあります。
偏差値や難易度から選ぶ
また、大学選びの指標のひとつに、偏差値や難易度があります。ここでは偏差値とは何なのかを知っておきましょう。
大学受験の偏差値とは
偏差値とは、試験の平均点を基準につけられる数値のことで、自分がその試験の受験者全体の中でどのくらいの位置にいるのかを示すものです。
その試験で自分が上位何%に入っているのか、現在の学力や志望大学に合格する確率はどれくらいあるのかを可視化してくれます。
志望校は偏差値で決めるべきか
志望校を自分の偏差値に見合った大学や学部・学科の中から決めよう、というお子さんも多いはず。けれども、それは決しておすすめの方法ではありません。
志望校を決める前に、自分にどんなことが向いているのか、将来どんなことがやりたいのか、あれこれと悩み考える時間はとても大切なものです。それらを蔑ろにして偏差値だけで大学を決めてしまうと、入学後の学習内容やその後の進路決めに難航してしまうかも。偏差値はあくまでも受験のひとつの指標として考えましょう。
志望校に偏差値が足りない場合
とはいえ、模試を受けて、自分の偏差値が志望校の偏差値に届いていないと、志望校を変更した方がいいのかも?と思ってしまいますよね。
けれども、試験本番までに時間があるのなら、まだまだ挽回のチャンスはあります。たとえ間近に迫っていたとしても、最後まで頑張ってみる価値はあるかもしれません。
将来就きたい仕事や目標から選ぶ
将来就きたい仕事や大学卒業後のビジョンが見えている子は、その目標に向けた学びや活動ができる大学・学部を選びましょう。
将来就きたい仕事につながる学部はどこか
なりたい職業がある場合は、その職業に就くためにはどんな知識や勉強が必要なのかを洗い出します。それらが学べる学部がどこにあるのかを調べ、大学ごとのカリキュラムにどのような違いがあるのかも比較しておきましょう。
就職サポートはどうか
大学の就職支援体制についてもリサーチしておくと◎。大学によっては、1・2年時からの就活セミナーやインターンシップに力を入れている場合もあります。ホームページや入学案内の資料等にも卒業生の進路が書かれている場合があるので、あわせて参考にしてみましょう。
将来の夢が決まっていない場合は……
大学受験の際に、「将来の夢」をはっきりと決めておく必要はありません。決めておいても、大学入学後に気が変わってしまう可能性もあります。
ただ、好きなことや、大学でやりたいことは志望校選びの際に明らかにしておいたほうがベター。繰り返しになりますが、自分の「好き」や「得意」をまずは振り返ってみましょう。
立地や環境から選ぶ
大学の立地や校風など「環境」も志望校選びの大切な要素です。気になっている大学が、お住まいの地域から離れており、高校卒業後はご実家を離れての一人暮らしを視野に入れているお子さんもきっと多いはず。大学の立地や環境をチェックする際に注目したいポイントを見ていきましょう。
都心か郊外か
都心か郊外かによって、キャンパスライフ自体にはさほどの変化はありません。ただし、都心ではアルバイトが探しやすかったり、郊外では都心に比べて交通の便が良くなかったりする場合も。都心で就職したいか、郊外で就職したいかでも利便性は異なります。
キャンパスはどんな場所にあるか
都心か郊外かにかかわらず、キャンパスがどんな場所にあるのかもチェックしておきましょう。大学のキャンパスによっては駅からバスに乗り換える必要があったり、アクセスがかなり不便な場合もあります。あらかじめオープンキャンパスや説明会に足を運んで、下見をしながら学生生活をイメージしてみましょう。
校風はどうか
もちろん学部や学科、サークルによってもその特色は異なりますが、各大学ごとの校風はさまざま。どんな大学なのか、自分が快く学生生活を送れそうか、オープンキャンパスや説明会、もしくは文化祭等の機会を活用して、シミュレーションしておくと◎
設備・施設の充実度も
キャンパス内の施設や設備も、志望校選びの際の大切なポイントです。自分がやりたいことがあれば、それを実現するための十分な研究施設や学習施設があるか要チェック。キャンパスの清潔さや学食の充実度も、人によっては重要なのではないでしょうか。
費用はどれくらいかかるか
大学選びの際に誰もが必ずチェックすることのひとつに、費用がありますよね。大学進学にどのような費用がどのくらいかかるのか、ざっくりとおさえておきましょう。
大学の費用の内訳は?
大学の学費には、基本的に
・入学料(1年目の前期のみ)
・授業料
・施設設備の維持管理費
・研究費用
などが含まれます。
入学料が含まれる1年目がもっとも高く、以降は毎年同程度の金額が見込まれます。
その他にも、進学までの受験料や、入学後には生活費・交通費もかかります。
大学の費用はどのくらいかかるか?
大学に4年間通った場合の費用は、国公立か私立か、また、学部によっても大きく差が生じます。国公立の場合はざっくり240万〜260万円。私立大学の場合は、文科であればおよそ400万円、理系ならおよそ550万円、医歯系ならおよそ 2400万円ほどと考えられています。
奨学金制度はあるか
「費用的に難しい…」という場合は、大学の奨学金制度もチェックしておきましょう。奨学金とは、進学に必要な費用を支援してくれる制度です。
大学卒業後に返還する必要がある「貸与型」と、返還の必要がない「給付型」があります。
「貸与型」or「給付型」、支給金額、受け取り資格などは、支給団体によって異なるため注意しましょう。入学前に申請が求められる場合もあるので、受験準備とともに情報収拾をしておくのがベターです。
生活費はどれくらい必要か
お子さんが一人暮らしをする場合は特に、生活費についてもあらかじめシミュレーションをしておく必要があります。住む地域によっても住まいの相場は変わるので、こちらも受験準備とともに下調べをしておきましょう。
4年制大学・短期大学・専門の違い
大学選びの際、4年制大学のほかに、短期大学や専門学校で迷っている方もいるかもしれません。ここでは、それぞれの特徴をお伝えします。
4年制大学とは?
4年制大学では、学術的かつ理論的に専門分野を学びつつ、幅広い教養を身につけるための教育も受けることができます。
修業年月が長い分、より深い知識や技能が身につけられる点がなんといってもメリット。クラブやサークルも充実しています。
短期大学とは?
基本的に2〜3年間で修了する短期大学。4年制大学と同じく教養を学びつつ、4年制大学よりも「職業に役立つ」ことに注力した能力の向上を目指しています。早く就職したい人にとっては、短期間で卒業できることがメリットです。学校の選択肢が少なく、学習内容が2年間に集約されているので4年制大学よりも忙しないというデメリットも。
専門学校とは?
専門学校は、特定の職業に直結する知識やスキルを身につけられる、実践的な教育機関です。短大と同様、2〜3年で修了することができ、即戦力として仕事につきやすいというメリットがあります。一方で、専門分野に特化しているため、その他の分野について学ぶ機会がなく、進路の変更が難しいというデメリットもあります。
大学選びに親が望むこと
ここまで、志望大学を選ぶ際に注目したいポイントについてお伝えしてきましたが、中でもどんなことが気になりましたか?
HugKum読者のママパパには「大学選びに親が望む」ことをアンケートで聞いてみました。みなさんから寄せられた回答を見ていきましょう。
Q.お子さんの大学選びに親が望むことをお聞かせください。
寄せられた回答で、もっとも多かったのは「子どもの希望」でした。親がどんなにさまざまなビジョンを思い描いても、結局のところ、行くのは本人。お子さん本人の希望を尊重してあげたいですよね。
次に多かったのは、「自宅からの距離」。自宅からあまりにも遠いと、「学費の他にかかる費用があまりにも多すぎる」ことが主な理由です。
同じくらいの票が集まったのは、やはり「学費」でした。子どもの希望をかなえてはあげたいものの、費用を心配する声が見受けられます。
その後は、「難易度や偏差値」「就職に有利かどうか」「資格取得」「学校の評判」が同程度の票を集めます。
子どもの希望を優先してあげたいものの、現実的な問題との兼ね合いや、大学卒業後の進路についても懸念するみなさんの親心がうかがえますね。
以下では、各項目に寄せられたコメントを引用しました。
子どもの希望
「行くのは本人なので、本人の気持ちを尊重したい。」(40代・兵庫県・子ども3人)
自宅からの距離
「子供の希望が1番だけど、県外は費用が半端ない」(30代・岡山県・子ども2人)
学費
「行かせたいけれど学費が心配」(40代・千葉県・子ども2人)
難易度や偏差値
「一般教養として」(40代・東京都・子ども2人)
就職に有利かどうか
「就職が大事だから」(30代・奈良県・子ども2人)
資格取得
「資格を取らせたり、知識を身につけさせたい」(40代・宮城県・子ども2人)
学校の評判
「子供には自分の行きたいところに行かせたいという気持ちがあり、行くからには安心できる大学だったらいいなという希望があります。」(30代・愛知県・子ども2人)
有名校かどうか
「女の子は出産などで転職する可能性があり、その際は学歴もある程度必要だから。」(30代・群馬県・子ども2人)
校風
どんなことを重視するのか、まずは話し合ってみましょう!
今回ご紹介してきたように、志望大学を見極める際のポイントはさまざま。まずは、「大学選びの際にどんなことを重視したいのか」お子さんと話し合ってみましょう。大学入学後に「思っていたのと違った……」なんてことにならないように、志望校選びの時点で、将来についてじっくりと考えられると良いですね。
構成・文/羽吹理美