外来種が引き起こす問題とは? 原因や対策、意外と身近な具体例も紹介

近年、外来種によるさまざまな被害が懸念されています。外来種は具体的に、どのような問題を引き起こすのでしょうか? 主な問題とあわせて、原因や対策、身近な外来種についても紹介します。知識を深め、被害を防げるように心掛けましょう。

外来種とは?

「外来種」とは、どのような生物を指すのでしょうか?  まずは言葉の定義を確認しましょう。また、外来種に関する法律についても紹介します。

他の地域から入ってきた生物のこと

「外来種」とは、本来の生息地から別の地域に入ってきた生物のことです。「外来種」に対して、その地域に長年生息している生物は「在来種」と呼ばれます。

「外来種」は、必ずしも国外から入ってきた生物というわけではありません。

国内の場合でも、本来の生息地ではない地域に入ってきた時点で「外来種」に該当し、「国内由来の外来種」と呼ばれるようになります。

例えば、「カブトムシ」はもともと本州以南に生息していた昆虫ですが、今では北海道にもいます。

なお、海流の影響で移動してくる魚類や、自然の力で移動する植物の種などは例外です。

特定外来生物は「外来生物法」で規制

外来種の中でも、自然環境に多大な影響を与える恐れのあるものは「侵略的外来種」と呼ばれます。

危険で恐ろしい生き物のように思われがちですが、そういう意味ではありません。本来の生息地以外に持ち込まれると、その地の生態系を脅かす可能性があるという意味です。

中でも被害が大きいとされる「特定外来生物」に指定されている生物は、「外来生物法」で厳しく規制されています。

この法律で「特定外来生物」の飼育・栽培・保管・輸入などを禁止し、日本への侵入を防止することが目的です。違反した場合は重い刑罰が課せられるため、注意しましょう。

参考:外来生物法 | 日本の外来種対策 | 外来生物法 (env.go.jp)

法律で規制されていない外来種も

法律で規制されていなくても、問題になり得る外来種は数多く存在しています。中でも特に注意が必要な場合は、「総合対策外来種」「産業管理外来種」「定着予防外来種」の三つに区分され、対策が取られています。

「総合対策外来種」は、国内での定着が認められている生物です。対策の緊急性が高く、積極的な防除が必要なものは「緊急対策外来種」、甚大な被害が予測され、対策の必要性が高いものは「重点対策外来種」と呼ばれています。

「産業管理外来種」は、産業において重要で、適切な管理が必要とされるものです。国内に未定着のものは「定着予防外来種」とされ、侵入を防ぐ必要のあるものは「侵入予防外来種」と呼ばれて管理されています。

参考:生態系被害防止外来種リスト|環境省

外来種が及ぼす問題

「外来種」に対して漠然とよくないイメージを持ってはいても、その理由を説明できない人も多いでしょう。どのような問題を引き起こすのか紹介します。

農作物被害として報告されるアライグマ

生態系に影響

生態系は、自然の中で食べる・食べられるということを繰り返すことで、絶妙なバランスを保っています。そこに外来種が入ってくると、生態系のバランスが崩れてしまうリスクがあるのです。

例えば、外来種によって捕食されたり、エサを奪われたりして、在来種が絶滅する可能性があります。そのほか、在来種と交雑することで雑種が生まれることも考えられるでしょう。

実際に、固有の生き物が存在していることで知られ、世界遺産にも登録されている小笠原諸島では、外来種のトカゲに固有の昆虫が食べられてしまい、絶滅の危機に直面してます。

人体への被害

人体への被害も大きな問題です。外から入ってきた生き物が、毒を持っている可能性もあります。かまれたり刺されたりすることで、命にかかわる事態に発展することも考えられるでしょう。

例えば、都内でオーストラリア原産の外来種「セアカゴケグモ」が発見された事例があります。このクモは毒を持っており、かまれるとまれに中毒症状を引き起こすとされています。オーストラリアでは死亡例もあるため、注意しましょう。

農林水産業への被害

外来生物の中には、農家の畑を踏み荒らしたり、農作物を食べてしまったりするものもいます。魚類などを捕食してしまうこともあるでしょう。

そうなると、農林水産業に従事している人の生活だけでなく、消費者の食生活にも影響が及びます。

例えば、雑食の外来種であるアライグマやハクビシンが、カボチャやスイカ、ブドウなどの農作物を食べてしまうという被害が報告されています。

外来種が発生する原因と対策

外来種は、どのようにして日本に入ってきたのでしょうか?  主な原因を紹介します。また、対策方法を知り、外来種の侵入や被害を防ぎましょう。

意図的・偶発的な原因がある

外来種が発生する原因には、意図的なものと偶発的なものがあります。

意図的な原因としては、ペットや観賞用として輸入されたことが挙げられます。食用あるいは試験用に持ち込まれたケースも、意図的な原因の一つです。

対して、建築資材や食料などを輸入する際に、偶然紛れ込んで侵入したというケースもあります。意図的・偶発的という違いはありますが、いずれの場合も人の活動によって入ってきたといえるでしょう。

外来種被害予防三原則を守ることで対策

外来種の発生を防ぐには、本来の生息地以外に生物を入れないことが重要です。海外旅行先で手に入れた生物をむやみに日本に持ち込むと、大きなトラブルになりかねないので注意しましょう。

ペットとして外来種を飼っている場合は、最後まで責任を持って飼う必要があります。逃げ出してしまわないように、きちんと管理することも大切です。

すでに外来種が繁殖している場合は、定着していない地域に入れないように配慮し、これ以上は増やさないように努めるしかありません。

注意が必要な主な外来種

ここでは、特に注意が必要とされている「特定外来生物」を中心に紹介します。外来種であるにもかかわらず、身近な存在となっている生物もいるので、これを機に認識をあらためましょう。

哺乳類・昆虫類

「アライグマ」は北アメリカ原産の生物で、農作物への被害が懸念されています。

1970年代にアライグマが登場するテレビアニメが放映され、アライグマブームが起こったことが、日本に持ち込まれたきっかけです。ペットとして大量に輸入されたものの、捨てたり逃げられたりして野生化したのです。

ヨーロッパ原産の「セイヨウオオマルハナバチ」は、農業用に輸入されたのがきっかけで日本に入ってきました。在来種の「マルハナバチ」との競争が問題視されています。

いったん繁殖してしまうと根絶が難しいとして「緊急対策外来種」に指定されているのが、南米中部に生息している「ヒアリ」です。船や飛行機の荷物に紛れて入ってくるとされており、2017年には日本でも確認されています。

魚類・甲殻類・爬虫類

アメリカ中東部などが原産の「オオクチバス」は、1925年に神奈川県の芦ノ湖に放流された後に繁殖を続け、2001年には全国各地で確認されました。「ブラックバス」の一種で、在来魚の生態系に大きな影響を及ぼしています。

また、「外来ザリガニ」の繁殖によって、在来種のニホンザリガニが絶滅の危機に直面しています。外来ザリガニは、在来種に対してだけでなく、水草を切断したり、水生動植物を食べたりといった被害も与えているのです。

そのほか、1950年代にペットとして輸入されたものが野外に放たれ、現在では全国に分散しているのが「アカミミガメ」です。在来種のカメのエサやすみかが奪われることや、農作物への被害が確認されています。

植物

北アメリカ原産の「オオキンケイギク」は、1880年代に観賞用および緑化用に導入され、現在では全国各地で見られるキクです。貴重な在来種の植物や、生態系への影響が指摘されています。

繁殖力旺盛なオオキンケイギク

 

北アメリカ原産の「アレチウリ」が広まったのは、輸入大豆に種子が混入していたことが原因です。アレチウリが大量に見られる場所には、他の植物がほとんど育たないことが確認されており、固有種との競合が懸念されています。

アフリカ原産の「ボタンウキクサ」は、1920年代に観賞用として導入されて野生化しました。浮遊性の水草なので水面を覆って日光を遮ってしまい、ほかの植物の光合成を阻害してしまうことが指摘されています。

また、魚介類や水流への悪影響も問題になっています。

外来種による被害を防ごう

「外来種」は国内外に限らず、生息地以外の地域から入ってきた生物のことです。中でも、特に生態系や人体、農林水産業への被害が懸念されるものは「特定外来生物」に指定され、「外来生物法」で規制されています。

外来種による被害を防ぐには、まず外から入れないことが大切です。すでに定着している外来種は適切に管理し、まだ定着していない地域に広げないようにしましょう。

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文・構成/HugKum編集部

今回の記事で取り組んだのはコレ!

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