子どもが他人に褒められたときに「いえいえ」と謙遜していませんか?それ、わが子に思わぬ影響が…!【ビッグデータが導く「伸びる」法則】

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タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者である今木智隆さんに、ビッグデータから見えてくるさまざまな法則について伺います。今回は、わが子について謙遜する保護者の姿勢と、それがもたらす子どもへの影響について解説していただきました。

皆さんは、思いがけず我が子を褒められた時に、ありがとうと受け入れていいものか、そんなことない!と否定すべきか、どうしたら良いのか迷ってしまったという体験をされたことはないでしょうか。

「勉強もスポーツもよく頑張っていてえらいね」
「いつも元気に挨拶ができて、礼儀正しいわよね」

こんなふうに褒められると、

「家ではだらだらしていて、お手伝いもしないんですよ」
「元気だけしか取り柄がないんですよ」

など、思わず謙遜の言葉で、お子さんを否定してしまうような言葉で返してしまう方も多いでしょう。

しかし、その行動が子ども達の自尊心を傷つけてしまう可能性があることをご存じでしょうか。

そこで今回は、子どもが褒められた時、チャンスを最大限に活かしてお子さんの自尊心を高める方法についてお伝えします。

謙遜は子どもにはNG!一緒に喜んで

個人主義が強い欧米では、自分の意見を主張することを是としているのに対し、日本では他人に気を配って、自己主張はせず周りと同じように振舞うことが是と考えられてきました、

「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されるように、傲慢に受け取られるようなことを言うと嫌われる可能性が高いので、謙遜は自己防衛の手段でもあります。

しかし、謙遜は子どもの教育上よくありません

なぜなのでしょうか。

謙遜しないほうがいい理由

子どもはとても純粋で素直です。聞いた言葉をそのまま受け取ります。ですから、謙遜だとしても、自分が褒められた際に、

「うちの子は本当に勉強が苦手で……」
「うちの子は本当にできが悪くて、何もできないんですよ」

などと親が答えるのを耳にしてしまうと、子どもたちは言葉通りに受け取ってしまいます。その結果、自己暗示的に

「僕は勉強が苦手なんだ……」
「私は何もできないんだ……」

と思い込んでしまい、無意識のうちに子どもたちの行動を支配し、出来ないことが現実になってしまいます

年齢を重ね社会性を身に付けていくと、どうして親が謙遜したようなことを発言したのかを理解できるようになるのですが、幼いうちに理解することは難しいのです。

トップクラスの学校を受験するようなお子さんたちに体験談を聞くと、出てくるのはポジティブに褒められた話ばかりです。

「バカなうちの子でも受験に合格できました」といったような言動は、一切発せられていません。

古くから日本には「言霊」という言葉がありますが、言葉には魂が宿りますので、例え謙遜だとしても、子どもにとってネガティブな言葉は控えましょう。

子どもと一緒に喜びましょう

では、子どもが褒められた時にはどのように答えるのがよいのでしょうか。

子どもが褒められれば、親御さんとしては自分のことのように嬉しく思うでしょう。お礼と共に、それを素直に表現するだけでいいのです。

「そんなに褒めていただいて嬉しいです。ありがとうございます」
「親の見えないところで頑張ってるんですね。とっても誇らしいです」

子どもたちは、自分のしたことを褒められて、それを親が喜ぶ姿を見たら、これからも頑張ろうと思うはずです。達成感や親に愛されている実感を持つことで、自尊心が高まり、自己肯定感が上がっていきます。

せっかく周りが与えてくれたチャンスですから、謙遜せず、褒められたことを素直に受け止め、子どもと一緒に喜び、共感し合える親子関係を築いていきましょう。

できないこと、苦手なことにばかり目を向けないで

我が子を褒められた時に、ついついネガティブな返答をしてしまうのは、子どもたちが出来ていること(長所)ではなく、子どもたちが出来ていないこと(短所)に目が向いてしまっているためではないでしょうか。

将来苦労しないためにも、子どもの苦手なことは早いうちに得意にしてあげたい、という親心からくるものだとは思いますが、悪いところばかり指摘されるのは大人でも気持ちのいいものではありません。

だからといって、良いところに目を向けるだけでよいものか、迷うところかもしれません。

長所にはなかなか気付きにくい

親心からつい、

「これができていないんだから、できるようにしないと!」
「大人になった時にこれができないと困っちゃうよ。」

とできないことを指摘して直そうとしていないでしょうか。

しかし、人材育成のプロフェッショナルの多くは、長所だけを取り上げ、短所には触れません

子ども達だって自分のできていない部分に気が付いていないわけではありません。気が付いていて直したいと思っているのに、なかなか直るものではないことについて、指摘されたり、頭ごなしに注意されればイライラしてしまい、素直に聞き入れることなど出来ません。

しかし自分の長所は、普段から当たり前にできていることですから、自分では意外と自覚できていないことがあります。

それは親御さんにも言えることで、自分の子どもの長所について自覚できていないために、他人から褒められても素直に受け入れることができないのです。

苦手にフォーカスすると成績は下がってしまう

勉強においても、親御さんが子ども達の苦手なこと(短所)を一生懸命探して、克服しようとすればするほど、成績は下がる傾向にあります

この子はここが苦手だ、と口にすることで、子どもは「自分がこれは苦手なんだ」と思い込みます。そしてできたとしても、

「この子はここが苦手なので、非常に時間がかかってしまった」

と言われれば、せっかくできても褒められることなく、また短所を探されてしまうのです。これでは自己肯定感を持つことができるはずもありません。

運動や習い事などにも同じようなことが言えます。

例えば、ボールを投げることが得意だけれど捕ることが苦手な子どもは、投げる練習をしたほうが良いのです。本人も楽しんで練習できますし、教えるほうも楽です。また、投げる練習をしようとすれば、必然的に取る行為もセットになります。自然に練習の回数を重ねることになります。

ですが、短所を克服しようとして、何度も何度も捕る練習ばかりさせてしまうと、スポーツ自体を嫌いになってしまうかもしれません。

苦手なことを克服させようとするあまり嫌いにさせるようなことはせず、好きなこと、得意なことにどんどんチャレンジさせ、これは得意なんだと自信を持たせるほうが、よほど有意義なのです。

まとめ:褒められた時は自尊心を高めるチャンス!

これからはお子さんが褒められた際には、自尊心を高めるチャンスと思って、是非素直に受け入れ、お礼とともにポジティブな言葉で返してみてください。

お子さんの自尊心を育んでいくことで、自ら人格を磨こうとしたり、品位ある行動を取ろうとするようになります。

人から褒められた時に親御さんの行動次第で、自発的に行動できる子どもになるのなら、一石二鳥ならぬ一石三鳥、こんな嬉しいことはないのではないでしょうか。

記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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構成/HugKum編集部

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